1 転移
実際に強奪できたらキメラだよね。
マコトは一般的な高校生だった、だったと言うのは一瞬のブラックアウトの後、現在大自然に１人ポツンと立っている訳で。
「あり得ねぇ……」
これはあれか？異世界転移とか。
でも神様とかに会ってないし、召喚陣とかも無いけど。
「ステータスオープン」
「システムオープン」
うっわー、なんも出ねぇ……
嘘だろ、転移チートとか無いのかよ。
そんな事を考えていると頭に声が響き渡る。
『特性：強奪』
おぉ！有るじゃんチート能力
奪えたら一気に強くなりそうだな、それまでに人のいる所に行けるといいんだが。
あれ？俺のバッグはどこだ？
スマホも無いし、持ち物全て無いじゃん。ハードモード過ぎる。
とりあえず森と反対方向に進む。小動物はいるっぽいけどまぁ捕まえられる訳がない。
腕の長さの枝を拾っておく。素手よりましだろ。
途中でぐにょりとした物を踏んだ。
うわっ！何だ？
「スライムか？これ」
透明でぐにょぐにょしている。枝を突き刺してみる。
表面が裂けてどろどろ液体が流れる。あれ？しんだ？
一瞬目が痛み変な光が見える。
これはスライムの視覚でも強奪したのか？
光る場所を見てると動いた所の草が揺れる。生命感知ってとこだろう。オンオフは出来るな。
ステータス見えるようになりたいな。
生命感知をオンにして進んでいくと道にやっと着いた。
「で、どっちの方向が正解か」
枝を地面に立てる。
そう！困った時の棒頼み！
倒れたのは森の方角……やり直しで
「よし！右だな」
枝をブンブン振りながら道を進んでいく。
おや？前に光がいくつか見えるな。
テンプレイベントだろ。走って近付く。
犬？オオカミと人が二人。
あっ、１人死んだ。
これは急がないと１人でオオカミと戦うことになる。
ダッシュで落ちてた剣を拾って、死体を食っているオオカミの胴体に突き刺す！
次はジャンプしてオオカミを飛び越えて、生きてる人の腕を噛んでるオオカミに剣を振り下ろす！
二匹死んだ、オオカミ3匹が引いていく。鼻に痛みがきた、臭……くはないな。
匂いとその元が分かる感じだ、頭が痛い。情報が増えてるからだろう、オフにしておく。
さぁ、転移で難易度が変わる瞬間。
この男性と会話ができるか！
「大丈夫ですか？」
「glmwtaduw」
おぉ！神よ！何故言葉が違うのですか！
これは困った、女性なら助けて言葉を教えて貰うのもありなんだが。
右手ズタボロの言葉を知らない彼と？
うーん。
笑顔で彼に近付いて首をへし折る。
彼は失禁し、徐々に生命光が弱まる。
あぁ、さっきの言葉は『助かった』ね。残念、助かってないのよね。賭けには勝った、言葉も分かる、剣の振り方も良くなった。
強奪様々だ。
荷物を剥ぎ取る。
胸当てと剣、ナップサックみたいな袋には固そうなパン、マント、小銭、ナイフ。
袋に縛ってるのは水の入った袋、生水……だよなぁ。
小銭は銀貨三枚と銅貨沢山と割れた銅貨。
ふーむ、百倍で金貨か？半銅貨は五円みたいな。
判断つかないな、売る用にもうひとつの剣も持ってくか。
水……飲むか、強奪を信じて！
生ぬるいけどうめー。
考えると転移って結構なチート無いと直ぐに死ぬよな。
言葉に水に食事、清潔な人間が生きれる環境じゃないし。
これは強奪チート以外は詰んでないか？
後は病原菌か、先住民を減らす要因だけどこれはどうしようもないな！
死体を草むらに放り投げておく。オオカミが食べるだろ。
筋力が上がってる。ステータスも強奪か。
道が大きな道と合流した。馬車が通ってる方に向かうことにした。明らかに生命光が沢山見える。
町に着いたら何しようか考えてたら馬車に乗ったおっさんに声をかけられた。
「坊主！銅貨１枚で乗ってかないか！」
うーん、貨幣価値が分からない。値切っとくか。
「半銅貨でどう？」
「あー、いいだろう！ただし何かあったら手伝えよ！」
多少がめついけど商人って感じだ、殺されはしないだろ。
「なぁ、おっさん。頭が悪くても町で稼ぐなら何処に行った方がいい？」
「腕っぷしがあるなら入って右の冒険者ギルドだな。無ければギルドに貼ってある肉体労働」
「やっぱそうかー。楽して稼げないよな」
「おぅ、そりゃそうよ！」
分かってて聞いた感を出してみた、あんまり素を出すと商人だしカモられそうだ。
町に入るのは銅貨１枚だった。
服屋を見つけて入る。マントをしてるが流石に制服は目立つ。
制服は売っていくつかの下着と服の上下を２つ買って着替えて出てきた。
トントンで交換したけど口止め料としては高いのかなぁ？
まぁ、いいか。
強奪チートで冒険するんだし。直ぐに稼げるだろ。
問題は冒険者登録のゴタゴタだ。
絶対何か起こる！
