79回 いよいよ始まるお引っ越し 3
とにもかくにも三週間、タカヒロ達はひたすらに土嚢を積み上げた。
小型モンスターを遮るのに充分な厚みと高さを積み上げていく。
それ以上のモンスター相手だと効果は薄いが、万全の対策など現時点では無理である。
今はまだ小さな脅威を排除出来るものがあればそれで充分だった。
それに、土を掘り出したことで自然と堀も出来ている。
土嚢の分の高低差とあわせれば充分な高さは確保出来ている。
即席で出来る防備としてはこれで充分だった。
「それじゃ、そろそろ大工さんを呼ぶか」
頃合いだろうと見計らって次の段階へと進んでいく。
とにかく、廃屋の片付け。
これをまずはこなさなければならない。
でなければ何も進まない。
しかし、素人だけではどうしても無理である。
職人を呼ばなくてはならない。
「それと作業員も」
「俺達だけじゃ足りないですしね」
周旋屋の方にも発注が必要になる。
予想はしてたが金がかなり減っていく。
「こりゃ、予想してたより出費が多いかもな」
色々と見越して金を貯めてきたが、それでも足りるかどうか不安になっていく。
幸いにもモンスターは結構出てくる。
倒すのは手間だが、核を手に入れる事が出来る。
出費の分を補うのもそう難しくはない。
自転車操業であるが、工事を進めながら金を稼いでいける。
それでも出費の方が大きいが、差し引きで考えればそれほど大きくはない。
そして、作業を一気に進めるために、可能な限り人員を手配する。
下手に金をけちって作業員を減らすと、その分だけ日数がかかる。
作業日が増えればその分だけ出費も大きくなる。
時間がのびれば、不意の出来事も発生するかもしれない。
それらを避ける為に、出来る限り多くの人員を用意していった。
その人数で、一気に作業を進めるために。




