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【完結】異世界転生してモンスターを倒してそこそこ成功したので故郷に帰ったら、幼なじみを奴隷として買う事になった  作者: よぎそーと
第4章

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70回 ついでに言われる奴隷への処遇や扱いについてのあれこれ

 ミオに身の回りの世話をさせるのは、楽がしたいからだけではない。

 生活全般の手間を減らしたいのは確かだが、無駄な仕事をさせたくないというのもある。

 この世界における家事はかなりの重労働であるのは言うまでもない。

 冷蔵庫がない、ガスコンロがない、掃除機がない、洗濯機がない、ミシンがない。

 このため、全てにおいて時間と手間がかかる。

 身の回りの世話をさせる存在というのは、生活の為に必要になる。

 それをタカヒロは奴隷という形で手に入れていた。

 あくまで結果としてそうなってるだけではあるが。

 だからこそ、外に仕事に出す余裕などあるわけがない。

 というのが建前として用いる事が出来た。



 実際、タカヒロはミオの居場所を作らねばとは思っていた。

 仕事をする事で、それをやっていこうとも。

 だが、仕事をさせるのが目的ではない。

 しなくて良いなら、そんな事までさせたくはなかった。

 働いて糧を得ねばならないのは誰もが一緒であるので、労働は何らかの形でせねばならない。

 だが、無理して働かせたいとも思わなかった。

 家での事があるので、強制や強要は避けたかった。

 奴隷であり、タカヒロの身の回りの世話を優先というのは、そういった強制を避ける為である。



「本人が嫌がってるわけではないから、都合が付けばこっちによこすけど」

「それでいいから頼む。

 でないと仕事が滞りかねない」

「そんなに酷いのかよ、周旋屋の仕事は」

「そんな事はない。

 いなくても今まで通りの状態は保てるさ。

 あの娘がいると、すごくはかどるだけで」

 どれだけ他の連中の勤労意欲が低いのかが気になってしまう。

「それでいい。

 助かるよ」

 オッサンはそう言って安堵した。



「でも、本当にミオはこっちに連れてきてよ」

 サキは念を押すように言いつのる。

「うちらの洗濯もしてくれるとありがたいし。

 てゆーか、ミオがやってくれないと困る」

「そこは自分らで改善しろよ」

 大変なのは分かるが、それもどうなのかと思った。

 もっとも、これはタカヒロ達も同じなので大きく出ることは出来なかったが。



「ついでに」

「あんた、もう少しあの娘に何か買ってあげなよね。

 年頃の女の子なんだよ」

 話があらぬ方向へと向かっていく。

「作業着に普段着とかがあるのはいいけど、もう少し可愛いものとか買ってあげなって」

「……そこまで?」

 やらねばならないのか、と疑問を抱く。

 所有者として奴隷の世話を見なければならないのは分かるが。

「そのあたりは自分で買ったりしていった方がいいんじゃないのか?」

「そりゃそうだけどね。

 あの娘ってそういうの遠慮するみたいだから。

 少しはおしゃれでもしたらって言ったら、『今は貯金しないと』って言ってたんだから」

「出来た女だ」

 物事の優先事項が分かってるようでありがたい。

「でも、それはそれでしょ。

 少しは欲しいものとかあげなよ。

 自分じゃなかなかそこに踏ん切りつかないようだし」

「節約や倹約が出来るのはありがたいんだが」

「ものには限度があるでしょ。

 だいたい、奴隷を綺麗にさせて楽しむのは、あんたみたいなご主人様の楽しみなんじゃないの?」

「俺にそういう趣味はねえ」

 ふと、頭の中に前世の記憶が蘇る。

『おかえりなさいませ、ご主人様』という入店の言葉が代表的な店だ。

 それをミオが言うところを想像して、気分が落ち込んでいく。

「無理だ、俺には出来ねえ」

 こういうものは、人によって受け入れられるかどうかが分かれる。

 タカヒロの場合、どうにも違和感を強く感じてしまい、受け入れづらいものがあった。

 羞恥心をおぼえるというのもある。

(悪くはない、悪くはないんだが……)

 決して嫌悪感があるわけではないが、小っ恥ずかしさが先に立ってしまう。

 そのため、どうしてもこういった台詞をミオに言わせる事は出来なかった。

 何より、自分がご主人様と言えるようなたいそうなものではないと思ってる。

 そういうのは屋敷や館を構える本物のお大尽の話である。

 タカヒロのような、他より少し稼ぎが良いだけの一般人には過ぎたものだと思っていた。



「でも、やっぱり少しは遊ばせてやった方がいいのかな」

「あの娘の場合、そういう指示を出してやった方がいいかもしれないよ。

 真面目だから、自分から羽目を外せないだろうし」

「考えておくよ」

「考えるだけじゃなくて実行しろ」

「はいはい」

 奴隷の待遇について少しばかり考える事になった。

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