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【完結】異世界転生してモンスターを倒してそこそこ成功したので故郷に帰ったら、幼なじみを奴隷として買う事になった  作者: よぎそーと
第3章

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61回 奴隷の今後とこれからと未来について 2

 年季が明けたら、ミオを引き取っていく。

 具体的には嫁にする。

 これは突飛な考えに思えるところはある。

 なのだが、間違ってるかというとそうとも言えない。



 元奴隷というのはそれだけでおかしな偏見がつきまとう事がある。

 その一つが、奴隷はいつまでも奴隷、というしかないような扱い方である。

 奴隷が所有者の指示に逆らえないのは確かで、それは世間一般にひろまっている。

 これが間違ってるという事はないのだが、それがいつまでも続くと思ってる者が多い。

 奴隷が命令や指示に従う、絶対服従なのはあくまで魔術による契約・強制によるものだ。

 それが終われば奴隷だった者は自由を取り戻す。

 何時までも言いなりになってるわけではない。

 なのだが、世間の多くはそう思ってない者達が多い。



 奴隷だった者達には他の者達より過酷な指示を出す者が結構いる。

 普通の労働者だったらまずやらせない、そんな事をすれば確実に逃げたり反発するような事をだ。

 何故そんな事をするのかと言えば、「奴隷だったんだから、これくらいの指示には従うもんだろ」というのが答えになる。

 そういう身分や立場だったのだから、指示に逆らう事はないだろう、と漠然と思ってる。

 そんな事は全くないのだが、なまじ階級社会なだけにこういった誤解は根強く残っている。

 王侯貴族と平民や庶民の間にある身分差と同じく、奴隷との間には更に一線が引かれると思ってるのだ。

 そして、その境はずっと続くのだと。

 語弊はあるが、奴隷は職業の一つと言える。

 固定された身分ではない。

 変えようと思えば変える事が出来る職業と同じだ。

 もちろん奴隷というのを職業ととらえるのは無理がある。

 だが、何に近いかと言えば、職業と言う事になる。

 あくまで契約によってなった一時的な立場や役職と言える。

 この契約は労働契約に近いものがある。

 もちろん労働者より悲惨な立場であるのだが、厳然たる境のある身分とは違う。



 しかし、そう思わない者は多く、元奴隷が不当な扱いを受ける事は多い。

 身分社会に適応しすぎて、どうしても出身や所属階層で一線を引く癖がある。

 人の出入りが多い町などではこういった傾向はやわらぐが、無くなるわけではない。

 あくまで日常的にはさして問題視しないという程度である。

 厳然とそういった意識は存在している。

 このため、元奴隷というのはどれほど人格・能力が優れていても、正当に評価されない事がある。



 これには身分制度だけでなく、人間の意識も関わっている。

 全てがそうであるというわけではないが、人間は自分よりも下のものをいたぶって楽しむ癖がある。

 強い者にこびへつらい、弱い者に居丈高になるというのは、人間がもって生まれた性質なのだろう。

 道徳や倫理はこれを否定し、人を人として尊重するように求めるが、それが出来る者は少ない。

 そんな人間にとって、奴隷や奴隷であったという者達は容易にいたぶって楽しむ事が出来る存在なのだろう。

 そう、楽しむ為だけにいたぶるのだ。

 そこに実利があるかどうかなど関係が無い。

 むしろ損失や損害が発生する可能性すらある。

 それでも利益よりも精神的な快楽を求めて相手を虐げようとする。



 こういった条件が存在している。

 これらが積み重なった結果、奴隷への対応は酷いものとなる。

 元奴隷も例外ではなく、これが改善される可能性は今のところ低い。

 現代日本の感覚をもってるタカヒロは、こういった社会では極端なまでに公平で公正な見方をしているが。

 それはあくまでも例外的な少数であって、世間の大勢ではない。

 それ故にどんな身分であっても等しく人して扱う。

 ミオなど生粋のこの世界の人間からすれば、それはお人好しの甘ちゃんに見えるほどだ。



 サキとカズマはそういった世間の風潮を知ってるから言ってるのである。

 タカヒロの性質を見込んででもある。

 それが、奴隷としての年季明けのミオの面倒を見ろという事である。

 嫁にもらえというのはさすがに冗談になるが、それでも面倒を見るという範囲の中に含まれもする。

 実際、元奴隷というのは結婚がままならない事が多い。

 この世界において結婚出来るような者はそう多くはないというのもある。

 そんな中において、不当な扱いを受ける元奴隷は更に悲惨なものになる。

 だからこその言葉でもあった。



 それくらい所有者は責任をとれ、というのがまともな考えを持つ者達の認識である。

 そして、サキもカズマも比較的まともな考えを持ってる方である。

 理由は様々であろうが、奴隷となってしまったミオを気遣っての発言である。

 このままでは、年季が明けても、奴隷契約が切れても生き場所がないだろうと思っての。

 タカヒロもそれは分かるので、無碍にその言葉を一蹴する事は出来なかった。

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