6回 今後の身の振らせ方について考える
義勇兵。
本来の意味で言うならば、軍人でないが戦争時に志願して戦闘に出た者を言うのであろう。
だが、この世界における義勇兵はもう一つ別の意味がある。
すなわり、軍人でないのにモンスターと戦っている者達。
この世界、何時の頃からかモンスターが蔓延り、人類に害を為している。
それを撃退するために軍隊が常時展開している。
なので、モンスターを倒すのは本来であれば軍隊の役目となる。
義勇兵はそこに自ら進んで突入している事になる。
当然ながら、最前線の危険な地域などにまで出向く事はない。
たいていが、前線の後方に回り込んだ少数のモンスターを相手にする事になる。
軍隊とは比べものにならないほど楽と言えるだろう。
実際、義勇兵とはそうした楽な場所での仕事を専らとしている。
このあたり、義勇兵というのが侮蔑や嘲笑の対象になっている。
そう、義勇兵は決して褒められたものではない。
少なくとも、モンスターを相手にしてる者達はさほど尊敬を得る事は無い。
むしろ馬鹿にされたりする事の方が多い。
何せ、もっとも危険な最前線ではなく、そこから漏れてきたモンスターを相手にしてるのだ。
数も質も比べものにならない程低い連中を相手にする事が多い。
それは最前線で本当に命がけになってる軍隊に比べれば、お遊びのように見えるのだ。
「軍隊に入れなかった連中が、負け惜しみでやってるおままごと」などと言われる事もある。
実際にはそれほど簡単なものではない。
最前線ほど厳しくなくても、たいていのモンスターは人間と同じくらいの強さはもっている。
小型のものでも中型犬くらいの大きさをもち、犬とは比べものにならないほど獰猛だ。
また、たいていの動物がそうであるように、小型で比較的弱いものほど群れる傾向がある。
中型犬くらいの大きさであっても、数体で押し寄せてくれば対処が難しい。
そんなものを相手にすれば死ぬ可能性が出てくる。
もう少し大型の、それも比較的遭遇しやすいものになると、クマくらいの大きさがある。
強さも相応に大きく、戦闘技術や経験のない者達では容易く返り討ちにあう。
戦場に比べれば容易く、出現する数も少ないとはいえ、それでも危険である事に変わりはない。
モンスターを相手にする義勇兵というのも、そう簡単にやっていけるものではない。
ただ、義勇兵が残された唯一の就職口というのも確かである。
なにせ、あらゆる条件が不問なのだ。
就職条件がないと言っても良い。
能力や経験は言うに及ばず。
出身地や身分、年齢に性別。
極端に言えば犯罪者であっても犯罪歴があってもなれる。
そもそもとして、公式に認められた団体や機関に所属するわけではない。
役所などに申請をするわけでもない。
『モンスターを倒して、成果を得てくる』という事をこなせば良いだけなのだから。
守るべき事はせいぜい、世間に迷惑をかけない程度に規律を守るという事くらいであろうか。
義勇兵に限らず、社会の中で生きていれば当然求められる事である。
あとは稼ぎがあれば税を支払うというような義務があるが、これも国民ならば当然課せられるものである。
なので、そう名乗りさえすれば義勇兵にはすぐになる事が出来る。
あとは実績をあげられるかどうかだ。
そして、実績をあげるには、危険なモンスターとの戦闘を行わなくてはならない。
そんなものに女を引きずり込みたくはなかった。