47回 義勇兵集団の今後のためにやらねばならない事 3
「でもまあ、今のままってわけにもいかないだろ」
「まあ、それは」
「確かにのぉ」
「やる気のある奴、出来そうな奴にそっち方面の能力をのばしていってもらおう。
先の事を考えるとな」
この先どれだけ猶予があるか分からない。
タカヒロが行動不能になる事もありえる。
そうなった場合、代わりに誰が指揮を執るのかという問題になる。
「別に、この集団を保つ必要もないけど。
でも、他に行くあてが無いってのも出て来るだろうし。
そうならないように、俺達だけで動けるようにしておかないと」
心配するべきはそこだった。
モンスターはそこらにいるし、それと戦うだけならどうとでもなる。
外に出てモンスターを探して戦えばいい。
生きるか死ぬかは別だが、戦うだけなら幾らでも出来る。
義勇兵がやりたいのはそういう事ではない。
本来のあり方から考えれば、そうやってモンスターと戦うのが正解に近いかもしれない。
何せ、モンスターと戦うために立ち上がったのが義勇兵なのだから。
だが、今の義勇兵は、モンスターを倒して、核を手に入れて売り払い、生活費を捻出しなくてはならない。
戦うだけでは終わらない。
むしろ、そんなの手順の一つでしかない。
求められるのは、怪我も問題もなく、成果をあげて帰還する事。
そして、核を換金して金を手に入れる事。
これが出来る状態を保たねばならない。
義勇兵の集団はそのために存在していると言える。
まとまって行動しなくてはならないという取り決めや法律があるわけではない。
生還率を高め、一人当たりの負担を減らし、なおかつ生産性をあげるためだ。
移動や運搬用の馬車を使うにも、一人より何人かいるほうが良い。
何より、モンスター相手に一人で戦うなど無謀でしかない。
だからこそ、義勇兵は集団で行動している。
そして集団はただの人の集まりでいるわけにはいかない。
機能的に動ける状態にしておく必要がある。
その為の人員を、絶対に確保せねばならなかった。
「誰がやるのが一番かは分からないけど、そういう事が出来る人間を育てていこう」
「分かった」
「もちろんだ」
それが今後のタカヒロの集団の目標の一つになっていった。