表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/259

36回 奴隷にやらせる町での仕事がだんだんと決まってきた、だいたいが屋内作業であるのは言うまでもない 6

 義勇兵は危険も大きいが、比較的稼ぎが良い。

 そこまで行けるほど生き残れるかどうかという問題があるが。

 しかし、生き延びて稼げば一般的な労働者よりも稼げる可能性が高い。

 そんな者達が自分達の生活を少しでも楽にしようと、色々な機材を購入したりする。

 脱水機と乾燥室もそんなものの一つだった。



 脱水機は非常に簡単な構造のものである。

 円筒形の入れ物の中に衣類を入れて、回転させて脱水をする。

 それを魔力によって自動的に動かしてるだけだ。

 だが、こんなものでも手で絞るよりは楽に衣類から水気を抜く事が出来る。

 それだけで洗濯の効率は格段にあげる事が出来た。



 乾燥室も実際にはそれほど複雑な構造というわけではない。

 密閉された部屋に吸気と排気の換気口を作り、そこに吸気・排気用の魔術機具を設置している。

 これにより部屋の中に空気の流れを作り、湿気を外に出していく。

 たったこれだけで洗ったものの乾きが格段に早くなる。

 本来は雨の日に少しでも乾かすためのものであったが、今では乾燥時間の短縮のために使われる事が多い。



 この二つはさすがに今まで使った事がないので、サキが教える事になった。

 もっとも、手順さえおぼえれば誰にでも使えるのが魔術機具である。

 操作もそれほど複雑ではないので、ミオもすぐにおぼえていった。

 ほとんどスイッチ一つで操作が終わるのだから難しいわけがない。

 戸惑うのは最初だけである。



 洗ったものを脱水機にかけて乾燥室に入れる。

 一時間も入れておけば大分水気も飛ぶ。

 あとは、外に干しておけば良い。

「すごい……」

 素直にミオは感激した。

 今までより格段に水切りが出来る。

 乾燥室も使えば干してる時間も短くなる。

 洗濯ものに残る水気がほとんどないので、干す時間もかなり短くなる。

 ミオの常識からはかけ離れた早さで作業が終わる。

「でも、すぐに乾燥するから皺も残るよね」

 サキが問題点についても教えてくれる。

「だから、干すときにはこうやって洗濯物をのばしてね」

「はい」

 言われたとおりに干してるものを引っ張って皺をのばす。

 たしかにこうしておかないと皺がよりそうだった。

 便利な道具も万能ではない。

 それでも、作業がかなり早く進むようにはなっていた。



「これならやっていけそうです」

 一通り作業が終わってから、ミオはタカヒロにそう伝えた。

 洗濯そのものは今までもやってきてたので難しいものではない。

 脱水機と乾燥室のおかげで作業効率も上がる。

 どれだけ作業をするかにもよるが、これならどうにかやっていけそうだった。

「じゃあ頼む。

 オッサンにも言っておくから」

 この方面で仕事は問題無く出来るのは分かった。

 仕事として引き受けやすくなる。

「あと、他にも出来る事を確かめたいから、技術として表示されてるものもやってみてくれ」

「うん、やってみるよ」



 掃除と料理と裁縫と。

 その後もやれる事をとりあえずやらせてみた。

 それらもそれなりに出来たので、仕事としてやってもらう事になった。

 引き受けられる仕事の幅がひろがってありがたかった。



「あと、給料はミオが受け取れるようにしてくれ」

 これもしっかりと伝えておいた。

 奴隷の場合、基本的に所有物なので、働いて賃金を稼いでも所有者に振り込まれる。

 そこをタカヒロは変更しておいた。

 振り込み口座はタカヒロのものにならざるをえないが、ミオが働いた分はミオが受け取れるようにと。

「それはいいけど、金を巻き上げられないようちゃんと教育しておけよ」

「ああ、そうするよ」

 金をもってると、まして相手が弱い立場だとみれば強気に出る馬鹿も出てくる。

 そうでなくても、強奪しようとする輩はどこにでもいる。

 それらについても教えておかねばならなかった。

 また、値段を吹っかけるようなあくどい商売人もいる。

 そういう連中には近づかないように、そして、物の買い方も教えておかねばならない。

 ぼったくられてはどうしようもないからだ。

「今度買い物につれていくよ」

「そうしておけ。

 値段も知らないんじゃ話にならんからな」

 オッサンの割と親切な提案を、タカヒロは素直に受け取っていく事にした。

「デートの名目には充分だろ」

 余計な一言も加わった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。




活動支援はこちら↓

あらためて支援サイトであるファンティアの事でも
https://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/501269240.html
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ