33回 奴隷にやらせる町での仕事がだんだんと決まってきた、だいたいが屋内作業であるのは言うまでもない 3
翌日、試しにミオに洗濯をさせてみる事になった。
技術レベルがついてるのでそれなりに出来るはずであるが、それがどの程度であるのかを見るためだ。
周旋屋の水場の使い方なども知っておく必要もある。
タカヒロとしても、ミオがどの程度仕事が出来るのかを見極めておきたかった。
とりあえずサキがもってきた衣類を洗っていく。
さすがに女物、それも下着も入ってるのでタカヒロも作業そのものは目にしてない。
しかし、一緒にいたサキに後で聞いたところ、
「結構やるもんだね」
との事だった。
代わりにやってもらう分には問題がないくらいの腕ではあるみたいだった。
とはいえ技術レベルはさほど高くもないのも事実。
比較的幅広くとってるとはいえ、レベル3に到達してないものが多い。
洗濯もそれは同じで、これはレベル2だった。
悪いものではないが、レベルは高い方が良いのは言うまでもない。
その為にも経験値を得ていかねばならない。
その為にも仕事をこなさねばならない。
やればやるだけ経験値になるからだった。
「だから、無理のない範囲でミオに仕事をさせてやって欲しいんだ」
「それは分かるけど。
無理はさせないでよ」
「そりゃあもちろん」
言われるまでもない事だった。
ミオにどれだけ出来るか、無理のない範囲で経験値をつませるつもりである。
モンスターを相手にする時のように。
なんでもかんでも詰め込めば良いわけではない。
人間には限界が存在する。
体力や技術によって、出来る作業量は違ってくる。
出来上がりという質も変わってくる。
それを超えたものを求めてるのは無理というものだった。
出来る範囲で出来るだけの事をやる。
それは、出来るところまでをやってもらえればそれで良いという事でもある。
前世においてこれを超えるような事をやらされた事もあった。
結果は当然思わしいものではなく、やった分だけ問題も発生した。
だからこそ、タカヒロはそれをさせないよう気をつけていた。
最低限必要な稼ぎは確保せねばならないが、それが出来てるならばそれ以上はあえて求めはしなかった。
それよりも、継続的に仕事をこなすことで得られる経験値の方が大事である。
毎日続ける事が出来れば、それで得られる累積経験値は膨大なものになる。
モンスター退治でもそうだが、一時的に膨大な稼ぎがあるだけではどうしようもない。
無理をしすぎてそこで死んでしまったら、どれだけ稼いでも無駄になる。
一般的な仕事でも同じで、無理をして仕事が続かなくなってしまったら意味がない。
継続していくというのは馬鹿にならない力を持つ。
タカヒロが求めてるのは、この継続だった。
瞬間的な爆発力ではない。




