31回 奴隷にやらせる町での仕事がだんだんと決まってきた、だいたいが屋内作業であるのは言うまでもない
「そういうわけだから、お前も仕事をしてもらう。
分かったな?」
「うん、それはやるよ」
帰ってきたミオは、タカヒロの話を聞いて頷いた。
何から何まで世話になるつもりはないようである。
そこはありがたかった。
そこに、まだこの場にいるサキが口を挟んでくる。
「でも、この娘って何が出来るの?」
「俺にも分からん。
とりあえずそっちを確認してからだな」
そう言って登録証で能力を表示させる。
特に抵抗をする事もなくミオは、能力を表示していった。
「へえ……」
「意外と色々出来るのね」
表示された文字を見て、タカヒロもサキも驚いた。
レベルは決して高いわけではないが、家事に関わる技術はある程度のレベルになっている。
ほとんどがレベル1とかレベル2だが、全く何も出来ないというわけではない。
なお、目安としてレベル3で見習いを脱出と言われている。
そこまで到達してるものは少ないが、それでもそこそこ幅広く色々出来るようではあった。
「これなら一応働く場所も見つけられるかな?」
「たぶん大丈夫だと思うけど……あたしもそっちはよく分からないからね」
町中の仕事ではなく、義勇兵としてモンスターと戦ってるサキは、女の仕事事情には疎い。
そちらは周旋屋に直接聞くしかない事だった。
「でも、働くのには問題ないな」
全く相手をされないという事はないのは確実だ。
あとは、採用枠があるかどうかである。
「でも、仕事が無い時はどうするかな」
問題はそこだった。
無理して働かせるつもりはないが、何もしないでずっといさせるのも問題ではある。
「宿にいるしかない日もあるだろうけど、部屋で寝転がってるだけってのもな」
「あんた、死ぬまでこき使う気じゃないでしょうね?」
「馬鹿言ってんな。
休みはとらせるよ。
でも、仕事が無い日は毎日部屋の中ってわけにもいかないだろ」
「まあ、それはねえ……」
それはそれで体裁が悪い。
やっかみも生まれるだろう。
働いてる者達からすれば、何もしないで部屋で寝転んでる者など腹が立つものだ。
「部屋の掃除とか洗濯でもやっててもらうか?」
「まあ、そのあたりが妥当だろうけど……まさか野郎共の部屋やあんたの服をやらせるんじゃないだろうね?」
「いや、ミオは俺の奴隷なんだけど。
俺の部屋や着てるものを洗わせて何が悪いんだよ」
「そりゃあ、まあ、そうなんだろうけど。
でもねえ、さすがに野郎のなんて……」
「だったらお前らのでも洗わせるのか?」
「そうしてくれればありがたいけどね」
サキからすれば、そうしてくれると助かる。
仕事で外に出てしまうと、身の回りの事などやってる余裕がない。
誰かがしてくれるならありがたいのは確かだ。
だが、それを他人に頼むのも気が引けた。
「何にせよ、本人がどう思うかだけどな」
そう言ってタカヒロはミオを見る。
「どうだ、もし仕事がなければ、そういう事をしてもらいたいけど。
やってくれるか?」
命令ではなく意志の確認。
それに対してミオは、首を縦に振った。
「やる、やるよ」