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【完結】異世界転生してモンスターを倒してそこそこ成功したので故郷に帰ったら、幼なじみを奴隷として買う事になった  作者: よぎそーと
第10章

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255/259

255回 ここまでが自分が出来る限界だあろうと見定めて

 タカヒロが指示を出す大仕事は、新たな居住地建設。

 日常的な細々とした仕事を除けば、それが隠居前の最後の仕事となった。

 増大する子供達の居場所を作る為に、新たな居住地が更に山の中に分け入った所に作られた。

 ある程度開けたところを平らにならして家を建設出来る場所を作っていく事になる。

 また、そこまでの道も造らねばならない。

 建材などを運び込まねばならないのだ。

 それに、居住地が出来たあとに予定されてる果樹園の事もある。

 そこで採れた果実を運び出すためにも道は造らねばならない。

 村の者総出となる大仕事になっていった。



 幸か不幸か、モンスターはさほど出なくなったので、そちらに人手をとられる事はなかった。

 だが、その分稼ぎが減るので、作業中の手当が出せない。

 さすがに食い扶持も出さないで働かせるわけにはいかない。

 このため、村で採れる食べ物に加え、外に稼ぎに出てる者達からの援助も求める羽目になった。

 それでいて、出せる人手は限られる。

 幾ら成人した子供達がいるとはいえ、それでも作業に従事出来る男ではそれ程多くはない。

 せいぜい30人余りというのが限界である。

 それが現時点での村の限界ではあった。

 だが、やらねば村の許容量を超えてしまう。

 今すぐに手をつけねばならなかった。



 人手を外から連れてくる事が出来れば良いのだろうが、それも出来ない。

 そこまでの金もない。

 結局、村の者達でどうにかするしかなかった。



 長い時間のかかる作業となる。

 1年や2年でどうにかなるほど簡単なものではない。

 土木作業の技術や知識も完璧ではないのだ。

 相応の技術レベルは保有している者はいる。

 しかし実際の経験がないので不安は大きかった。



 まずは新たな居住予定地までの道を切り開かねばならない。

 距離にして200メートル。

 さほど遠いという事は無い。

 だが、起伏のある山の、それも木々の生い茂る中である。

 伐採して、道路として使えるよう平らに均していかねばならない。

 斜面を均すために、土をせき止めるための施設も必要だ。

 削った斜面が更に崩落しないように固めておく事も求められる。

 それほど急激な斜面があるわけではないが、限られた人手による作業はかなりの時間を必要とした。

 道路が出来上がるまでに1年。

 そこから更に居住地として使えるように場所を整備するのに2年3年という時間がかかる事になった。



 それが終わってから、ようやく住居の建築である。

 事前に土嚢を積み上げての壁作りなどを経ての事だ。

 最初の家の建築が始まった時、村の誰もが何かしらの感動を胸におぼえた。

 そこから実際に人が移り始め、周囲の斜面を伐採して果樹園にしていく。

 そこまでなんだかんだで5年から6年という時間がかかった。

 細かな整備を考えればまだまだ時間がかかると考えられていた。

 だが、これで増加した人口を村の中におさめる事が出来るようになった。



 それが終わる事には、タカヒロも本当にお役御免をしても良い年齢になってきていた。

 幸い長男も戻ってきており、跡継ぎの方は問題がない。

 次男は新しい居住地の方に移り、果樹園などの建築に勤しんでいる。

 長女と次女は、そんな村の中で相手を見つけて嫁がせた。

 三男だけは村の中に居場所を作ってやれなかったので、町に出る事になった。

 だが、長男と一緒に外に出た者達が作り上げた、村の出身者の集まりが三男を受け止めていく。

 後日、この三男が町のこの集いの責任者となって取り仕切る事になった。



「あとは、村をこんな調子で拡張していけばいいだろう。

 町の方は、村の者を受け入れる者達がいてくれればいい」

 タカヒロが出来る土台作りは、これでだいたい終わった。

 残りの余命を考えると、これ以上何かをするというのも難しい。

「これで隠居だな」

 実際には長男に村の統治者としての心得を教えていかねばならない。

 それから正式に隠居となるだろう。

 それまでの数年間は、一応統治者の地位にいる事にはなる。

 だが、その間に実質的な権限は息子に譲っていく事になる。

 名目はともかく、実態としては隠居も同然である。

「あと少しだな」

 肩の荷が下りるまで、まだまだ時間はかかる。

 だが、それももう少しで終わりだという目処がたった。

 その後は、ゆっくりとしようと思った。

 慌ただしい日々を終えて、残りの人生はのんびりとしたかった。

 だが、それは苦しみからの解放という意味ではない。

 今までも大変ではあったが、それもまた楽しい日々だった。

 無為に過ごすでもない、何もなす事のない毎日でもない。

 やれる事をやってきたという自負がある。

 小さいながらも何かしらを打ち立ててもきた。

 その満足感のある人生だった。

 決して悔いはない。

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