25回 帰りを待つ間に、義勇兵を取り巻く状況を踏まえてやれる事を探っていく 4
今もそうだが、タカヒロの活動規模は零細である。
せいぜい十数人という人数で活動してる程度である。
義勇兵の集団としては最低限度といえるだろう。
これを割り込むと、遠出してそれなりの期間活動する事が困難になる。
荷物の運搬手段である馬車などを用いて、なおかつある程度の野外活動が出来る人数が必要だからだ。
義勇兵として活動し始めた当初がもっと悲惨なものであったのは言うまでもない。
当たり前だが、実績のない人間が何かを始めようとしたところで、賛同者は得られない。
職人が技術を、商人が取りそろえてる商品を求められるように、義勇兵もやはり実力を求められる。
それがないならば、既にある団体に入るのが基本である。
だが、実績のないタカヒロが入れるところは限られていた。
これが軍隊経験でもあれば良いのだろうが、残念ながらそんなものはない。
というか、大半の義勇兵もそこまでの者はいない。
だが、大手はそれくらいの能力を求めてくる。
入団試験などでも、それなりの能力があることを求められる。
この場合、体格や体力が優れてる事などが優先される。
技術がないのは仕方ないが、持って生まれた能力としてこれらがあればやっていきやすい。
そんなに優れた運動能力を持ってるわけではないタカヒロは、この時点で大手を諦めるしかなかった。
そうなると、もうちょっと程度の落ちる所に行くしかないが、これもこれで問題だった。
ブラック企業と言えば分かりやすいだろうか。
業績もそうだが、社内(集団)内部の雰囲気の悪いところである。
全てがそうであるわけではないが、だいたいにおいてそうした傾向があった。
前世の記憶にあてがい、タカヒロはそれを体育会系と判断していた。
そんな所に入れば、無意味な上下関係や精神論に振り回されて消耗品にされてしまう。
実際、大手以外の集団は新人を使い潰す為の消耗品として扱ってるところが多い。
このあたり、大手は違う。
入ってくるものを消耗品ではなく育てて使うという雰囲気があるという。
だからこそ、規模を拡大してやっていけるのだろう。
新人が育って人材として組織を支えていくからだ。
そうではない十把一絡げの中小集団を、タカヒロは敬遠していった。
頼まれても入りたくはなかった。
そんなタカヒロであるから、義勇兵として活動しようにもそれもままならなかった。
モンスターを相手に一人で立ち向かうわけにはいかない。
レベルの高い者達ならば一人でそこらのモンスターを蹂躙する事も出来るだろう。
だが、タカヒロはそうではない。
転生して、前世の知識があって、その時の人生を加えればそれなりの経験もある。
だが、特別な力を持ってるわけではない。
能力についてはそこらの多くの者達と平凡なものだった。
とても一人でモンスターを倒しになんていけない。
なのだが、ここに可能性が出てきた。




