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【完結】異世界転生してモンスターを倒してそこそこ成功したので故郷に帰ったら、幼なじみを奴隷として買う事になった  作者: よぎそーと
第10章

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229回 村の事情を考えればそれもやむをえなかったかもしれない

 さて、タカヒロが腹を立ててる出身地の村の村長であるが。

 彼には彼で焦るだけの理由もあった。

 実際、彼の立場は少々悪くはなっていた。

 これは攻勢によってもたらされたものであった。



 攻勢によって必要となる物資を求められたのはこの村も同じであった。

 金は支払われるが、結構な量の食料が政府にとられていった。

 当面の問題はないが、これによって食料なども買い足さねばならない状態になってしまった。

 その事は村長達も気づいてはいたでの、対策として近隣に買い出しに行こうとした。

 しかし、彼等の行ける範囲に存在する集落や村に町ではそんな物資は既にない。

 その時点である意味詰んでる状態になってしまっていた。



 これはまずいのではないかと思った村の者達は、行商人にかけあってみた。

 行動範囲の広い彼等ならばどうにか出来るのではないかと考えての事だった。

 残念ながらそれは、行商人が首を横に振った事で潰えた。

 行商人の行動範囲が村人よりは広い。

 なのだが、彼等の行ける範囲はだいたい似たようなものだった。

 国が総出で動いてるのだ、行商人の行ける範囲は既に手がついてる。

 行商人を始めとした他の商会も動き出してはいるが、国内の物資には国が既に手をつけてるところが多い。

 緩やかにだが、物価上昇を始めるくらいである。



 その後もどうにかして物資、特に食料を手に入れるべく行商人に協力をあおぐ事にはなった。

 だが、確実に入手出来るという保障はない。

 手持ちが心許ない現状では、それは致命的であった。

 やむなく村は、早期に口減らしをする事にした。

 幸いな事に、軍の募集もあるので兵士の道を選ぶ事が出来る。

 男での大半はそこに向かう事になった。

 普段より採用条件が緩い事もあって、口減らしはそれほど難しくないと見られていた。

 その条件でも厳しいようなら、周旋屋に送り込めば良い。

 そう考えて余っていた男手を町へと連れていった。



 問題なのは女の方だった。

 これも周旋屋に送り込んではいくのだが、それだけでどうにかなるわけがない。

 可能な限り縁組み先を見つけたりはしたのだが、そうそう相手が見つかるわけもない。

 同じような事は近隣の各集落でも行ってるので、嫁が余る状態になってるのだ。

 こうなると残りは奴隷商人送りなのだが、さすがにそれは避けたいと誰もが思っていた。

 だが、時間が経過する毎に状況は不利になっていく。

 減っていく食料を見て、どの家も決断を下すしかなくなっていった。



 幸いだったのは、この時点で奴隷商人が半ば結婚相談所のような状態になってた事である。

 労働や非道な行いを目的としない、生活の世話、あわよくばそのまま配偶者としようと考えてる者が多かった。

 このため、奴隷商人の方もそういった需要に宛がうための娘を求めていた。

 村の娘達の多くはそういった者達の所に買われていき、さほど問題のない扱いをされていく事になる。

 それでも一部は悲惨な境遇に身を落とす事にはなる。

 そこは本当に運の善し悪しとなってしまう。



 村の者達の大半はこういった事を聞いてはいた。

 しかし、嫁代わりに奴隷を買っていくなんて事がありえるのかと疑っていた。

 奴隷商人がそういって人を連れ去ろうとしてるのではないかと思っていた。

 確かめようがない事ではあるから、どうしても慎重になってしまう。

 そうでなくても好んで我が子を奴隷にしたがる者はいない。

 だからこそ、可能な限りそれだけは避けていた。

 基本的には周旋屋に。

 それが駄目で他に道もない場合に、やむなく奴隷として売る事になった。

 状況が状況なので奴隷として売られていく者が多かったのは悲劇であろう。



 ここまでであればどの村も陥った悲劇で終わった。

 誰もが辛い思いをして、大変だったなと言って慰めあうだけでいられただろう。

 だが、タカヒロの村にはミオの両親がいる。

 あくどい考え方をする家族がいる。

 それが他の村と少々違う状況を引き起こしていた。

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