223回 貧困は人類が撲滅するべき大敵である
これも前世の日本で得た情報であるが。
教育程度が上がっていく。
食い扶持も含め、経済水準が上がっていく。
つまりは快適な生活が出来るようになる。
医療などが発展、そして比較的医者にかかりやすくなる事による生存の可能性の向上。
全てをひっくるめて、ゆとりのある生活が送れるようになる事。
このゆとりには、増税や高税率などの政府による負担が低い事も含まれている。
こういった条件が揃うと、人口はある程度抑制されていくとの事だった。
必ずそうなるというわけではないが、そうなってる事の方が多いらしい。
その理由についてまでは知らないが、おそらくそう簡単に死なないからたくさん産む必要もなくなるのだろうと考えられていた。
これは子供の死亡率の高さを考えればさもありなんと思えてくる。
住む場所、着るもの、食べるものもろくになく、医者にもかかれない。
そうなれば、種族維持のために子孫を増やすしかない。
これには学習による能力向上が見込めない場合も含まれるのだろう。
もし、生きていくのがそれほど負担でもない、怪我や病気になっても治る可能性が高ければ。
そうなれば、無理をして種族保存のために子供を増やす必要もなくなるのではないかという事だった。
だからこそ、いわゆる先進国では出生率が下がっていった。
これは先進国に限らず世界的にそういった傾向であったという。
たとえ先進国でなくても経済的な発展はあったし、それに伴って生活水準は向上していたという。
そういった地域での出生率は以前に比べれば低下していったという。
これが事実かどうかは分からないが、傾聴するべき意見ではある。
もしこの通りだとすれば、村が豊かになっていくうちに、妥当な人数で人口が安定する可能性があった。
問題なのは、そうなるまでにはどれだけ生活水準を上げる必要があるのかだった。
さすがに前世の先進国並みというのは難しい。
現状からそこまで向上させるのは不可能に近い。
その為には電気や石油やガスといった燃料が必要になる。
これらを用いた様々な動力を発生させる機械(発電機など)が必要になる。
これらによって作り出される様々な文明の利器が必要になる。
そんなもの用意する事が出来るほどタカヒロは優れた能力があるわけではない。
だからこそ、忘れないうちに前世の記憶にある機械などを書き出してるのだ。
後々この世界でこれらが作り出される事を願って。
ただ、医者はどうにか用意出来た。
薬なども可能な限り集めてはいる。
魔術を身につける者を増やし、治療魔術を使えるものを増やす予定でもある。
子供への教育により、知的レベルも上げていくつもりだ。
これらによって生活水準は比較的高くなってるはずである。
前世の日本には到底及ばないが、この世界の中ではかなりの高水準のはずであった。
少なくとも一般人や庶民の中では。
さすがに王侯貴族に迫るとは思っていない。
それでも、望みうる最高水準に到達してるはずだった。
これらが妥当な結果をもたらすよう願うところだった。
ただ、現時点では人が増えてもらわないと困るところではある。
子供の世話や、田畑や果樹園の方に人を割り振ったせいで人手不足に陥ってるくらいだ。
さすがにこういった状態から脱却出来るくらいの人数は欲しかった。
(頑張らなきゃならないか、こっちの方でも)
とりあえず今夜もミオと人口増大に向けてがんばろうかと考える。
そろそろ3人目が出来ても良い頃あいだと思いながら、女房といちゃつく事を考えていく。
相手の承諾も必要なので何とも言えないが。
それと、子供達が寝静まってる事が条件でもある。
(今日はゆっくりお休みしててくれよ)
下の子も生活のリズムが変わってきている。
夜中に突然起きるという事は減っている。
機会は充分にあるはずだった。
(……気合いを入れていってみるか)
既に股間に力が集中して漲りそうになってるタカヒロは、それを今はおさえて数時間後に思いをはせた。




