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【完結】異世界転生してモンスターを倒してそこそこ成功したので故郷に帰ったら、幼なじみを奴隷として買う事になった  作者: よぎそーと
第9章

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208回 いずれこれも終わるだろう、そうしたのは自分だし

「本当に上手くいけばいいけど……」

 家に帰る途中、タカヒロはそんな事を呟く。

 市場への作物の出荷。

 先の事を考えれば、そういった事も必要になる。

 今のままではいられないからだ。



 今、村の主要産業はモンスター退治である。

 それによって得られる核が収入になっている。

 だが、これもそう長くは続かない。

 数十年もして、義勇兵か国が攻勢に出ていけばそれで途切れるだろう。

 国境近くでモンスターがかなり流れこんできてるから、今はやっていける。

 だが、攻勢に出てモンスターを遮るようになればそうもいかなくなる。

 そうなった時に、産業がモンスターだけという状態では困るのだ。



 変わらずそのままの物事もあるだろう。

 だが、確実に変わっていくものもある。

 新たに発生するものもあれば、それまであったものが潰える事もある。

 そうなった時にどうするかを考えておかねばならない。

 ただ、そこまで先の事を考えてる者はそう多くはない。

 たいていの者は、今日か明後日、せいぜい数日か数ヶ月先くらいまでの事しか考えない。

 たとえ何年も先まで考える事があっても、たいていは自分に都合の良いことしか考えてない。

 それは楽観的とは違う。

 都合が良い事を考えるのは、不利や面倒に目を向けない事を言うのだろう。

 それらを踏まえて、それでもどうにかしよう、どうにかなるだろうと気を強く持つのが楽観的と言うのではにだろうか。

 悲しい事に、そうした楽観をする者はそうはいない。

 困難な中にあっても希望を捨てないでいられる者は多くはない。

 タカヒロの仲間にもほとんどいない。

 さすがに都合の良いことを考えてる者はいないが、それでも先々について考えてる者は少なかった。



 さすがにタカヒロはこの先については多少は考えていた。

 そうせざるえない立場にいる。

 いずれ無くなるだろう、少なくとも村では出来なくなるであろうモンスター退治。

 それに変わる生計手段を手に入れること。

 それがタカヒロを悩ませる問題にもなっていた。



 それもこれも、タカヒロが作り出した状況が原因であるのだから笑えない。

 何せ、周囲からモンスターを排除した結果がこれなのだから。

 義勇兵をそそのかし、物資の流通路を作ったのはともかくだ。

 そこから更に先の事を見越し、国境を越えてモンスターを排除しようという提案をした。

 それが自分達から稼ぐ道を奪う事になると分かっていてもだ。

 いずれは国境を押し上げていかねばならない。

 でなければ人類は存在をおびやかす脅威と常に隣接する事になる。

 長い年月をかけてでも、少しずつモンスターを追い立てていかねばならなかった。

 いつまでもモンスターを相手にしてる事は出来ないのは決まりきった事なのだ。



 そうなった場合にどうやって生きていくかを考えると、やはり産物を売りに出す事を考えるしかなかった。

 それ以外にこれといって何かが思い浮かぶわけでもない。

 また、村で抱えきれない者達は町に働きに出さねばならなくなる。

 養える数はどうしても決まってしまう。

 それを超える事になる者達は外に出ていくしかない。

 そうした時にどうやって町で生活をするのか。

 それも考えておかねばならなかった。



(最低限の教育はしてやらないと)

 とにもかくにも読み書き、計算。

 それと多少なりとも社会や理科の知識もあった方がいいのかもしれない。

 それだけではどうしようもないが、知っていれば有利になる事もあるだろう。

 あるいは、戦闘技術を教え、義勇兵としてやっていくか。

 村の近隣での仕事はなくなっても、モンスターが出没する地域での仕事はまだまだ無くなる事はないだろう。

 あと数百年が経過したらどうなるか分からないが、数十年でどうにかなるとは思えない。

 全員が身につけておく必要は無いが、それでも食べていける者はいても良いかもしれなかった。

(どうにかしてやらないと……)

 苦悩はまだまだ無くなりそうもなかった。


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