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【完結】異世界転生してモンスターを倒してそこそこ成功したので故郷に帰ったら、幼なじみを奴隷として買う事になった  作者: よぎそーと
第9章

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205回 手の届かない事ではあったし、今の状況が作れただけでもよしとしよう

 無謀なモンスター領域への攻勢を経て、タカヒロ達の周囲は大きく変わった。

 生き残るためにしてきた事であるが、義勇兵が町を作り、流通路を造り、物資の流れを作った。

 そうして出来上がったものが、新たな領域を作り上げていく。

 国境付近という危険地帯だからこそ誰もが二の足を踏んでいた。

 その隙間を義勇兵がものにしていった。

 小さいながらも新たな経済圏が誕生している。

 見た目にはそれほど大きな違いはないが、周辺地域が受ける影響は大きい。



 そんな中にあって、タカヒロは変わり映えのない日々を送っている。

 数年前から計画している事を実施し、少しずつ村に必要な物を作っていっている。

 集会所も出来上がり、貯水槽も造り、田畑の手入れも始めていた。

 田畑に水を引く用水路や溜め池なども造りはじめている。

 その歩みは周辺に比べれば小さなものだが、確実に進んでいっている。



 そんな小さな村の小さな発展が誰の目にとまる事もなく進んでいった。

 変わる事の無い顔ぶれと共に村を造っている。

 周りに大きな影響を与えた、この近隣の経済圏をつくりあげた立役者のやってる事はそんなものである。

 きっかけを作っただけとはいえ、それは小さな成果と言える。

 立ち回り方を考えれば、タカヒロもそれなりの地位を得たかもしれない。

 なのにタカヒロはそれらに全く見向きもしなかった。



 考えないではなかった。

 周辺の経済圏に食い込んでみたらどうだろうかと。

 新たに出来上がってる領域の中枢で腕を振るってみてはどうかと。

 何がどこまで出来るか分からないが、それもまた魅力的ではあった。

 立身出世はやはり見果てぬ夢である。

 しかし、自分のいる位置を考えるとそれも出来なかった。

 仲間と作った村があり、女房と子供がいる。

 それらを抱えながらもっと大きな事が出来るとはとても思えなかった。

 やるにしても負担が大きすぎる。

 さすがに手が回らない。



 もっと大きな組織や土台をもっていれば話は違ったかもしれない。

 規模の大きな集団であれば、もっと手広くやれる事もあったかもしれない。

 だが、タカヒロ達にそこまでの余裕は無い。

 15人の仲間と、その女房、その間に産まれた子供達。

 これらの中でまともに作業を期待出来るのは15人の仲間しかいない。

 それらも普段は村の周辺のモンスターを倒してる。

 普段のこうした作業が忙しくて、他に手を回す余裕はなかった。



 村の発展も考えると、他の事に首を突っ込む余裕などない。

 だいたい、それが理由で他の義勇兵集団をそそのかしたのだ。

 自分には出来ないが、それを実現させる可能性のある者達を。

 それは実を結び、求めるものを手に入れている。

 確実に物資を手に入れる事が出来る流通経路を。

 タカヒロはそれだけで満足だった。

 その利益や旨みを他の者達が手にしていってる事も含めて。



 現状を考えれば、これが得られる最大の利点であるとも言えた。

 タカヒロとその仲間の勢力は小さなもので、単独で何かが出来るようなものではない。

 そして、そのまま何も出来ずに物価高騰のあおりを受け、国内の政情不安も受けていたかもしれないのだ。

 想像してしまうそんな悲惨な状況に比べれば、現状はかなりマシである。

 悲惨な状況に陥ってる他の地域よりはマシという、相対的なものであるが。

 また、以前と比べるというこれまた相対的な見方をすると、より一層利点が見えにくくなる。

 それは、以前と大した違いはないというものなのだから。

 だが、この混乱した状況で以前と同じ程度というのは大きな利点である。

 生活水準が一時的であっても下がってる他の地域に比べれば、以前と同等というのは相対的に優れてるとも言える。

 こんな状況であっても、子供が生まれ、村に新たな建物や設備を導入できる。

 食い物も確保し、田畑の整備までしてる余裕がある。

 子供が栄養失調などで死ぬ事もない。

 他の地域に比べれば、随分と恵まれている。

 活動の結果手に入れたのがこれである。

 成果は充分と言えるだろう。

 将来の発展性も加えれば、御の字どころでは済まない程の大成功かもしれなかった。

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