表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】異世界転生してモンスターを倒してそこそこ成功したので故郷に帰ったら、幼なじみを奴隷として買う事になった  作者: よぎそーと
第8章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

190/259

190回 不穏な情勢 7

 これだけの愚行がなされたところで、ようやく責任追及がはじまった。

 明確な問題がなければさすがにそこまで出来るものではない。

 この追及は熾烈を極め、攻勢に荷担した者達は軒並み捕縛されていった。

 抵抗が激しい者はその場で切り捨てられていった。

 それを恐れて捕縛される者もいたが、結果は変わらない。

 裁判すら行わずに処刑されていったのだから。

 ただ、抵抗して切り捨てられた者達との違いは、情報を洗いざらい吐かされた事であろう。

 拷問などという生やさしい方法はとられなかった。

 薬物や魔術を使った洗脳などを用いてのものである。

 拷問で体を破壊して、情報を吐き出そうにもそれが出来なくなってしまったら意味がない。

 そんな事をしないように気をつけながら、それでも容赦なく情報を引き出していく。

 された者達は、大量に投与された薬と、精神が引きつるほどの魔力によって長くはもたなかったが。



 普通の犯罪者ならばここまではしなかっただろう。

 だが、国家が被った損失は大きかった。

 その原因を作った者達への容赦は一切なかった。

 この時点で攻勢に荷担した者達は、国家への反逆者として扱われていた。

 国を危うくしたという事で情状酌量などは全くなされない。

 国王や貴族の権益の侵害というだけではない。

 末端の庶民まで含めた国家全体を危うくするのが反逆者だ。

 そこに荷担していたというだけでも死刑になる。

 首謀者は言うまでもない。

 高位高官までもが軒並み切り捨てられていく。

 世論というか庶民を煽った市井の者達も例外ではない。

 それらは軒並みあぶり出され、捕らえられ、あるいはその場で切り捨てられていった。

 そして、捕らえられた者達は薬物や魔術を用いられていく。



 これらが全て実行され、容疑者と思われるものがあぶり出されて捕縛・成敗されるまでに数年を擁した。

 そこまでの時間をかけてでも、徹底的に関係者をあぶりだし、根こそぎにしていった。

 中には冤罪の者も含まれていただろう。

 無関係なのに投獄され、死んだ者もいる。

 だが、そうまでしてでも今回の事態を引き起こした原因を根絶やしにしようと国は動いた。

 巻き込まれた被害者には気の毒だが、同じような悲劇が起こるよりは良い。

 出兵した兵士達という犠牲。

 それらを動かす為に費やされた国費と物資。

 一時的とはいえ発生してしまった物資不足によって苦しい思いをした者達。

 無理な攻勢を仕掛けた連中によってもたらされた被害は果てしなく大きい。

 このような事がもう一度起こらないように徹底するのは当然と言えた。



 それでも、巻き込まれて死んでしまった者達が哀れではある。

 だが、勘違いしてはいけない。

 巻き込まれた被害者達も、攻勢を叫んだ連中がいなければ発生しなかったのだから。

 振り返れば30年前。

 その時に攻勢を叫んだ者達を一網打尽にしておけば、今回の悲劇はなかった。

 もしその当時に断固たる態度をとっていれば……そう呟く者は多い。

 そういう意見もあるのだろうと大目に見た結果が、今回の惨劇である。

 役職に返り咲いた慎重派の者達は、同じような悲劇が二度と起こらぬよう、厳罰でもって対処していった。

 そして、疑わしい者は残らず罰していった。

 冤罪被害者を出す事を覚悟の上でである。



 その後、一種の思想統制が始まっていく。

 過激な攻勢論が今回の悲劇をもたらした。

 その為、同様の意見を述べた者は容赦なく投獄されていった。

 同様の考えを記した書物やチラシなども全て回収さて処分されていった。

 攻勢論はなりを潜め、防衛論が主流となっていった。

 攻勢を唱える者達も、まだその時期ではないという慎重論を唱える者だけが残った。

 これらにより国の今後の流れがほぼ決まっていった。

 まずは失った国力を回復する事。

 そして、今以上の力を蓄える事。

 攻勢などそれまでは絶対にしない。

 それがこの先数十年の国是となっていった。

 異を唱える者が投獄され、拷問の末に死ぬのだから当然である。



 だが、わざわざ攻勢を主張しなければそれなりに暮らしていける。

 多くの者達はそれで充分納得出来ていた。

 むしろ、それを大いに歓迎していた。

 必要と思えないような攻勢論によってもたらされた被害が、多くの者達の記憶に焼き付いていたからである。

 同じような事は二度と御免だ…………そう思うほどに国民全体の心に傷がついていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。




活動支援はこちら↓

あらためて支援サイトであるファンティアの事でも
https://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/501269240.html
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ