18回 思いもがけない素顔に驚くという定番な展開 4
「…………寝るぞ」
「え、あ、はい!」
「安心しろ、寝るだけだ」
「う、うん、分かってる!」
「……何がどう分かってるんだ?」
「その、あの、何があっても頑張るから!」
部屋に戻り、先ほどの事はとにかく忘れて明日に備えよう。
そのためにもしっかりとした睡眠が必要だ……そう思っていたタカヒロであったが。
ミオが何やら色々意識してるようで、それもなかなか難しそうだった。
何よりタカヒロもかなり意識してしまっている。
(駄目だ、心拍数が)
先ほどまではさほど意識はしてなかったのだが、風呂上がりのミオを見てからはそうもいかなくなった。
女といっても同郷の顔なじみ、そうそう変な事もしないだろうと考えていた。
なのだが、汚れが落ちたミオはそんな気持ちを吹き飛ばすくらいには魅力的だった。
幼なじみというか、ほとんど兄弟のように過ごしてきたというのがあった。
泥まみれになって一緒に遊んだ事もある。
ある時期を境に男女で分かれるようになったが、それこそ素っ裸で水遊びをした事だってある。
その記憶が強くあったため、さほど意識してはいなかった。
それに、再会してから日が浅く、どちらかというと村を出て来る前の頃の姿の方が強く記憶に残っている。
先ほどまではそのつもりでいたし、その延長でミオに接していた。
しかし、それがとんでもない勘違いである事を今更理解する。
(こいつももう大人なんだよな)
少なくともこの世界においては、そう判断される年齢になっている。
社会の慣習などにもよるのだろうが、この世界における成人は現代日本より早い。
仕事そのものは子供の頃から手伝わされる。
結婚すらも、へたすれば10歳くらいでする事もある。
親の保護下から離れ、個人の意志での行動が認められるという意味での成人もである。
だいたい15歳前後でそうなっていく。
余程の事がなければ、この前後で独り立ちしていく。
早い場合はこの年齢で子供を持ってる場合すらある。
ミオもそんな年齢である。
(確か、今年で14歳だったっけ)
少し早いが、成人と認められてもおかしくない年頃だ。
そんな女と同じ部屋にいる。
どうしても意識してしまう。
(しくじったな)
今更ながらそう思ってしまう。
上京してきた隣近所の友人を泊める────気分としてはその程度のつもりであった。
だが、もうそんな所に戻れそうもない。
相手を確かに女として認識してしまってる。
しかも、やろうと思えば意のままに出来てしまう。
だからと言ってすぐに何かをするわけではない。
だが、自分にその自由があるとなると、あれこれと欲求がわき起こってもいく。
(いやいや、とにかく明日だ)
そう言って無理矢理寝ようとする。
出来るとは思ってなかったが。
それはもう一人も同じである。