174回 子供が出来たせいか、それに必要なものを考えようになってるかも
家に帰ってミオと我が子を見る。
他の全てを忘れていられる瞬間だ。
何せ、他の事を考えてる余裕などなくなるのだから。
「どうだ、調子は」
と尋ねて、
「大丈夫だよ」
といつもの返事を聞く。
だが、何事もないというわけではない。
ある程度の手助けはしてもらってるとはいえ、家の中の事は基本的にはタカヒロ達で片付けねばならない。
まだ床からなかなか出られないミオをそのままに、タカヒロは片付けられるものを片付けていく。
そのほとんどが、道具の片付けなどになる。
洗濯してもらった衣服をしまったり、作ってもらった料理を温めたりするのもある。
そして、間断なくやってくる我が子の泣き声を聞いていく。
「騒々しいもんだな」
「本当に」
そう言ってミオと一緒に笑う。
数ヶ月前までは存在しなかった騒がしさがあった。
最初は気が滅入りそうになっていたが、今では開き直って笑っている。
子供ってこういうものなのだと否応なしに理解させられていった。
そんなこんなな日々を過ごしつつも、村の方の作業も片付けねばならない。
春からまたモンスター退治に出向くし、そろそろ様々な建築もしていかねばならない。
技術レベルは昨年より更に上がっているので、何か形になるものを作る事も出来るはずだった。
秋の終わりから春にかけて頑張れば、一つくらいは物に出来るはずである。
ただ、他の夫婦で今年出産という所もあるだろうから、その分人手が足りなくなる事は覚悟せねばならない。
ある程度限られた人数でやっていく事を計算にいれなくてはならない。
「とりあえず学校。
というより、多目的に使える講堂かな。
それを作らないか」
子供が生まれたので躊躇してられなくなってきている。
この提案に他の者達もだいたい賛同していく。
「そこそこ広い建物になるから、時間もかかるしな」
「でも、講堂ってのは?」
「学校目的で作るんじゃなくて、そうしておけば集会とかでも使えると思ってね」
昼は学校として使って、夜や休日は村の集会などで使えればと思っての事である。
そういうものの方が役に立つと思ってだ。
それに、学校と言っても寺子屋のようなものだ。
専用の施設が必要かというと、そうでもない。
それに、場所もないので共用出来るならばそうしていかねばならなかった。
細かいところで行くと、水場などの共同で使ってる部分の改修もある。
主に女衆からこうして欲しいという要望は出ていた。
それらも出来るだけ取り入れていきたかった。
大きなものだけ作るのではなく、細かい部分の改良も必要だ。
ただ、一度に全部は出来ないので、どれを優先してやるかを考えねばならない。
なかなかに悩ましいものである。
村の今後についてはそれだけではない。
まだ解決の目処がたってない、田畑や新たな居住地についても考えねばならない。
それらについてどうするか、まだタカヒロも結論は出せていない。
他の皆も良い考えをもってるわけではない。
いまだにあれこれと悩んで考えてる段階だった。