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【完結】異世界転生してモンスターを倒してそこそこ成功したので故郷に帰ったら、幼なじみを奴隷として買う事になった  作者: よぎそーと
第7章

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165回 その背景はいかに? 3

 30年ほど前。

 その時にもモンスターの領域への侵攻が叫ばれた時期があったらしい。

 それを求めて当時の若者は気勢を上げていたとか。

 街角には血気盛んな連中が人類の領土を奪還せよと叫んでいた。

 それは分からないでもない事だった。

 そこから更に30年前、国は一度モンスター領への侵攻を計画し、実行に移した。

 しかし結果は惨憺たるもので、領土の奪還は成らず。

 得たのは敗北とそれに伴う大きな損失であったという。



 今から60年前にあった侵攻と失敗。

 その雪辱に燃える者達がやたらと元気に出兵を求めていたのが30年ほど前だったという。

「ただ、その当時のお偉いさん達は少しは冷静だったようでな」

 結局、モンスター領域への攻勢を求めた声は実現する事はなかった。

 多少時間が経過したとはいえ、まだ国力が回復しきっておらず、出兵が出来るような状態ではなかったらしい。

 しかし、その事を理解してない当時の若者は、そんな政府の言い分を全く聞かなかった。

 それどころか出兵を求めてのデモ行進などすらあったという。

 デモは騒動に、そして暴動に発展していった。

 さすがにこれらを無視する事も出来ず、当時の政府は官憲を出動させて鎮圧。

 数多くの逮捕者を出した。

 抵抗が激しい者は、その場で切り伏せられる事もあったという。

 もっとも、暴徒と化した当時の若者を無傷で制圧する事も難しかったようだ。

 中には武装していた者達もいて、官憲側の死傷者も相当なものになっていた。

 モンスター領域への侵攻を叫んでいた者達は、最終的には無軌道・無差別な暴力集団に成り下がっていた。

 あるいはそんな化け物に成長したと言うべきか。

 以来、この国において無謀なまでにモンスター領への侵攻を求める声は大きく減少した。

「なんだけどなあ」

 オッサンの声は憂鬱なまでにいたましいものがあった。



「そんな連中が年を取って世の中でそれなりに大手を振り始めたせいかねえ。

 まーた侵攻の声があがってきたんだよ」

「なんとまあ……」

 驚いて呆れてしまう。

 事の発端となったのは60年前の戦争、その失敗。

 それを理由に盛り上がったのが、30年前。

 それだけの時間を経てもない繰り返される主張に、何とも言えないばかばかしさを感じた。

「上手くいくならそれでもいいけどさ」

「さて、それはどうだろうな。

 そこはどうにもよく分からん」

 オッサンが集める事が出来る情報には限りがある。

 その範囲に現在の国力などは存在しない。

 白書が存在しないので国力を正確に知る術が無いからだ。

 だが、モンスターの領土に踏み込むほどの力があるかというと疑問を抱きはする。

「国境を維持するので手が一杯だって聞くしな。

 攻め込む余裕なんてないだろうに」

 国境から漏れ聞く話を参照にすれば、こういう予想くらいは出来る。

 なんだかんだで攻勢を控えていたこの60年で、国は確かにある程度立て直した。

 しかし、攻め込むだけの余裕があるかというと、そこには疑問を抱くしかない。

 一度の戦争の失敗は60年をもってもなお取り返し辛いものがあるようだった。



「それでも戦争に走りたいようだ」

「その、30年前に叫んでいた連中が?」

「多分そうなんじゃないかと思う。

 自分達の願望を押し通そうとしてるようなんだよな」

 周りにいるその年代の連中がそんな事を口にしてるのを、オッサンは見聞きしてしていた。

 バカげてるとしか思えないものがあった。

「義勇兵が生活出来るくらいにモンスターが出回ってるのに。

 戦争仕掛ける余裕なんてあるわけないわな」

 仕事を通しての見解である。



 モンスターとの最前線を軍隊が受け持つ。

 それでも流れ込んで来るモンスターを義勇兵が倒して生活の糧にしている。

 つまり、それだけ最前線に漏れや抜けがあるという事にもなる。

 完全な防衛戦を構築する事など無理ではあるが、それにしたって流れ込んで来るモンスターは多い。

 それだけ防備が手薄という事も考えられる。

 そんな状態でどうやって攻め込むというのか?

 馬鹿げた妄想としか言いようが無い。

「お前らが暇をもてあますくらいでなけりゃ、余裕なんてないわな」

「それもそうだな」

 モンスターのおかげで生活費を稼ぐ事が出来てるタカヒロは納得するしかなかった。

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