151回 色々な意味で寝てすごした正月
翌年。
新年の最初の一日を、
「明けたな」
「うん。
今年もよろしくね」
と挨拶をして迎えるタカヒロとミオ。
そのまま数日は休みという事で家でのんびりと過ごしていった。
寒さはこたえるが、昨年以上に防寒対策をしてある家は比較的快適で、寝正月をするには充分だった。
そんな家の中で二人は、だらだらと堕落した生活を続けていた。
寝て起きて寝転がってまた寝る。
そんな事の繰り返しで一日一日が過ぎていく。
もちろんただ寝てるだけではないのだが、夫婦としての営みを含めて寝てばかりであった。
そんな事をして年始年末を過ごしてから、あらためて新年の作業に入っていく。
やる事に真新しいものはない。
去年から継続してる作業に着手し、一つ一つ片付けていく。
解決しない問題もあったが、それは今後に持ち越していくしかない。
手が足りなかったり技術が追いつかなかったりでどうにもならない事がほとんどだからだ。
言い換えれば、おいおい解決していく見込みがあるという事でもある。
急ぐべきであるかもしれないが、焦る事はなかった。
ただし、着実に準備をしていかねばならないのも確かである。
全体として春から先の準備のための活動が主になった。
技術レベルが上がった事で見えるようになった事。
それをもとにして何が必要かを浮き彫りにする事で全てが終わっていった。
想定していたよりも作業は進まない。
しかし、分かっていなかった事が分かるようになってもいた。
見えなかった事が見えてきて、先の見通しが立ってきた。
今年はさほど大きな事は出来なかったが、次の冬にはもっと何かが出来るようになってるだろうと思わせた。
その為にも春からの活動に本腰を入れていかねばならない。
やることは変わらない。
モンスターを倒して糧を得る。
手に入れた経験値で技術レベルを上げる。
だが、去年からの繰り越しがある。
積み重ねてきたものがある。
今年はより一段高い所での活動となっていくであろう。
「その為にも、生き残って頑張らないと」
まずは生き残る事という最も優先すべき課題をこなしていく。
その事を仲間と確認しあって仕事へと向かっていく。
倒したモンスターの数も、稼ぎも去年と同程度で構わない。
それでも充分に生活出来るしレベルも上がる。
無茶をしないで確実に今まで通りに全てをこなしていく。
それだけで充分な所に到達出来るのだから。
ただ、今年は仲間が購入してきた奴隷との結婚が増えるだろうとも予想されている。
その分色々と後手に回る事も出て来るだろう。
だからといって結婚を遅らせるのも考えものだ。
遅らせればその分どこかでしわ寄せがくる。
ならば、出来るだけ早めに片付けて、今後の面倒や手間を減らすのも良い選択だろう。
どのみち、やらねばならない事ではあるのだから。
なお、奴隷との関係はそれなりに良好を保ってるようではある。
仲間も虐げるために奴隷を購入したわけではない。
無駄に機嫌を損ねるような事は避けている。
奴隷として買われてきた方も、自分達がどうして購入されてるのかの理由を理解している。
ただの労働力や娯楽のためではなく、もっと先の事を見据えて傍に置いておかれてるのだと。
滅多にない程の好待遇と言えるこの状況を崩壊させるような者はいない。
このため、ほとんどの組み合わせが結婚まで秒読み状態であった。
式場の確保が大変なほどに。
モンスター退治が一段落する秋の終わり頃から、結婚が連続する事になるだろう。
どうやってそれをこなすか、春先のこの時点で誰もが考えていた。
それだけの余裕があるのだから平和なものである。