149回 皆で作る初めての冬 7
悩み続ける日々が続いていく。
測量もあらかた終わり、割と正確な地図が出来上がっていく。
それを見て、現在とこれからの区画を考えていく。
既に出来上がってるものはもうどうしようもない。
もともとあった廃屋などの位置から適当に建設したものだから、どうしてもどこかに歪みがある。
そう大きくはない集落だったのでそれでも問題はなかったのだろう。
だが、これから増えるであろう人数と、それにともなって増加する家を考えると、いい加減にやっていくわけにもいかない。
どこに何を建てるのかをしっかりと決めておかねばならない。
ただ、それでもどうにもならない事もある。
「広さが足りない」
集まった皆に判明した事実を伝えていく。
村のというか元々の村の大きさや、周辺の地形を考えれば分かりきった事ではある。
そう広くもない平地に存在していた集落である。
拡大拡張の余地がないのは、誰にだって分かるような事だった。
「だからどうしたもんかと思ってる」
解決策がないまま、とりあえず現状報告だけはしていく。
「まあ、村の大きさは分かってたし、ここだけじゃすぐに限界がくるとも思っていたけど」
「解決策はないと」
「あったら悩んでないわな」
タカヒロとて万能ではない。
自分の経験と技術レベルの中で物事をやっていくだけである。
前世の記憶が発想の幅を拡げる事もあるが、それも万能ではない。
「何とかするとしたら、近くに新しく村を作るくらいだ」
それはそれでとてつもなく手間のかかる事である。
だが、増える人口をこの近隣に留めるならそうしていくしかない。
「もちろんすぐにやるってわけじゃない。
子供が生まれて、仕事が出来るようになってからになる。
その時には、子供にも働いてもらうだろうけど」
それでも、今のうちにある程度目星をつけておきたかった。
「場所を見つけておきたいな、今のうちに」
モンスター退治に専念する事のない今だからこそ、この周囲を更に細かく調査しておきたかった。
「今年はこれ以上何かが出来るってわけでもなさそうだし。
モンスター退治のついでに近場を調べてみてくれ」
これで冬における残りの作業の一つが決まった。
「それと、出来るんなら、排水溝をもう少し作っておきたい」
「まあ、それくらいなら」
「春までにはなんとか出来そうっすね」
村全体とまでいかなくても、ある程度は作っておけるはずであった。
とりあえず現在出来上がってる住居の周辺には張り巡らせておきたかった。
「出来るところまででいい。
がんばっていこう」
その他の諸々を含めて、この冬の間にする事が決まった。




