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【完結】異世界転生してモンスターを倒してそこそこ成功したので故郷に帰ったら、幼なじみを奴隷として買う事になった  作者: よぎそーと
第6章

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134回 言ってる事は同じだが、両者の考えには大きな違いがあったりする

「でも、やっぱり早く色々と揃えたいな」

「それはそうだけどね」

 仕事が終わり、家に戻ってきたタカヒロは、体を拭いながらため息を吐く。

 大きな買い物があるから貯金を続けてるが、そうしてるからこそ色々と見えてくる。

 金をおいそれと使えないからこそ、あれが欲しい、これが欲しいという思いがつのっていく。

 すぐに導入できないからこそ、余計に欲求が高まってしまうのもある。

「風呂とかなあ……」

「欲しいよねえ……」

 仕事の汗を沸かしてもらったお湯で拭いながら、ミオと一緒に気持ちをもらしていった。



 仕事から帰ってくると常々思ってしまう。

 風呂に入りたい。

 湯船に体をひたらせたい。

 もともとが日本人だからそういう思いも強いのかもしれない。

「さすがにこれじゃあなあ」

 沸かしてもらったお湯で体を拭うから、多少は汚れはとれる。

 これはこれで気持ち良いとも思う。

 だが、さすがに風呂にはかなわない。

「風呂に浸りてえ……」

「気持ち良かったよね、あれ……」

 周旋屋に共同の風呂があったので、ミオも風呂については知っている。

 その心地よさを知ってしまっただけに、体を拭うだけの生活にはもう戻れなくなっていた。

「どうにかならないのかな」

「どうにかしたいんだけどな」

 要望を述べるミオに、タカヒロは無情な現実を突きつけていく。



 風呂の導入などそう簡単にできるものではない。

 湯船に浴室を作り、お湯を沸かして入れる手段を作らねばならない。

 これら一式の構築はそう簡単な事ではない。

 湯沸かしなどは魔術機具でどうにか出来る。

 だが、浴室を含めて必要な機能を全て揃えるとなると、かなりの手間がかかる。

 水を引き、湯を沸かし、排水まで行う事を考えると、簡単にはいかない。

 全部を作るとなるとかなりの手間がかかるし、出費も相当なものになるだろう。

「当分はお預けだな」

「そうだね」

 残念そうに二人ともため息を吐く。



(最初は共同浴場かな)

 理想は各家庭に設置であるが、最初はそうもいかないだろう。

 それならば、村で共有する風呂でも設置してみるか、と考える。

 これならば、皆で金を出し合えばどうにかなりそうではある。

 もっとも、掃除や湯沸かしなどの管理を誰がするのかという問題があるが。

(このあたりも考えていかないといけないか)

 何かを導入したら、その分新たな手間が発生する。

 必要なものを導入すればそれで終わりとはならない。

 悩ましいものである。



 それでも風呂はどうにかして手に入れたいとは思っていた。

 単に気持ち良いからというだけではない。

 衛生的な理由もある。

 体を拭く程度では汚れを完全に落としきれない。

 それに、体全体の血行をよくするにも、お湯に身を浸すのは効果的だ。

 これらが衛生面でどれだけ効果をもたらすかは分からないが、汚れまみれであるよりは良いはずである。

 ただ、こういった真面目な理由もあるあるが、これだけが風呂の導入目的ではない。

 なんだかんだいって一番の理由は、

(ミオと一緒に……)

というものである。

 ようするに、風呂でいちゃつきたいという、まことに欲望に正直な理由がある。

 欲望に忠実なこの理由が、タカヒロを突き動かしてるのは論を待たなかった。

 エロは時に何かをする時の原動力になり得るというが、この時のタカヒロはまさにそうであった。



「早く作りたいな」

「そうだね」

 体を拭き終えて漏らすタカヒロの声に、ミオが賛同する。

 そんな二人の求める物も同じである。

 だが、その理由や原因のあたりには大きな違いが発生していた。

 当事者達すらもそれには気づいてなかった。

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