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【完結】異世界転生してモンスターを倒してそこそこ成功したので故郷に帰ったら、幼なじみを奴隷として買う事になった  作者: よぎそーと
第1章

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11回 周りにいる愉快な面々という事にしておこう 2

「真面目に頑張ってると思ってたけど。

 まさかこんな事を考えてるとはねえ……」

 驚いて呆れて嘆いて、しまいには失笑をして。

 行き着いたのは軽蔑を超えた何かの境地。

 そんな調子のサキは、腕を組んで仁王立ちになっていた。

「いや、そうじゃないんだが」

 念のために説明をしようと口を開くが、

「黙れ」

 一顧だにされない。

「屑の言う事なんざ、聞くとでも思ってるの?」

「だから、違うんだ」

 違うと言いたいのだが、話が進まない。

 相手が一方的に決めつけてるし話をきかない。

 今に始まった事では無いが、どうにもならない。

 というか、タカヒロを無視して話が進んでいく。



「いい、お嬢ちゃん。

 この屑が何か酷い事をしてきたらあたしに言うんだよ。

 しっかりと落とし前をつけるから」

 ミオに向けてそう語りかけていく。

「奴隷で、契約で言いたい事も言えないだろうけど。

 でもね、何かあったら遠慮無くあたしん所に来るんだよ。

 あたしじゃなくても、他の奴でもいいから。

 大丈夫、あたしが声をかけておくから」

「え、あの……」

 一方的に進んでいく話に、ミオも困惑する。

 そんなミオに、

「ミオ、正直に言ってくれ。

 本当の事を」

と告げる。

 直接言っても埒があかないと考えての事でもある。

 タカヒロの言う事は聞かなくても、ミオの言う事なら聞くだろうと。

 そのミオは、

「あの、タカヒロ兄ちゃんは私を助けてくれたんです」

と語り始める。

 それを聞いたサキは、

「……あんた、この娘に言い訳させるなんて、良い度胸じゃない」

と更に誤解を深めていく。

「だから違うと言ってるだろ」

 もうため息しか漏れなくなっていった。



「ごめん……」

 この言葉が出てくるまで、更に時間がかかった。

 まず、ミオに出した指示が『正直に答える事』だという事を理解させたこと。

 その上でミオが語ってるのは、奴隷の契約として命令された事だという事。

 命令されて事実や真相を語ってる、語る事を命令され強制されてる事を理解して納得させる事。

 ここまでで無駄に時間がかかってしまった。

 だが、奴隷契約の魔術がどういったものなのかは知られていたので、これらが分かると話は割と早かった。

 それでも、「でも、だって」と引き下がらなかったが。

「ふざけんな」

 タカヒロが怒気も露わにそうなじるのも無理はないだろう。

「とりあえずお前と一緒の仕事は、金輪際お断りだ」

 話を聞かない、一方的に決めつけるような奴とは仕事は出来ない。

 仕事どころか、日常的に一緒にやっていく事も難しい。

 共同作業が不可能だからだ。

「じゃあ、俺はこれで」

 そう言ってミオを連れて寝床に向かうタカヒロを、ばつの悪い顔でサキは見つめる。

 その場に居たカズマが、「まあ、しょうがねえさ」と少しだけ励ます。

「そのうち、挽回する機会もあるって」

 今はまだ無理だという事は確定である。

 それでも、可能性だけはあるだろうと言っておく。

 それで人間は割と前向きに生きていける事もある。

 本当にそんな可能性があるのかどうかは別として。



 ともあれ、ミオをつれたタカヒロの初日はこんな調子で終わろうとしていた。

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