表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/259

106回 大事にしろといっても、貢げと言うわけではない

 弱者、立場の弱い者といっても、それらが必ずしも差別される側というわけではない。

 むしろ、弱い立場であるから保護をしろと要求する者もいる。

 この場合、保護というよりは特権と言った方が正確だろう。

 こういった場合、抑圧する側と差別される側が逆転する事が起こり得る。



 相手の立場が弱いからと言って、やるべき作業まで肩代わりして良いのかどうか。

 出来ない事までやらせるのはともかく、出来る事すら肩代わりして良いのかどうか。

 何より、それが当たり前と思われてしまって良いのかどうか。

 確かに社会的な地位や持ってる能力や技術による差はある。

 これらによりいわれのない不当な扱いも発生するだろう。

 立場が上の者が不当に下の者達にあれこれ要求するのは問題である。

 だが、その逆もまた間違ってると言えるだろう。



 地位や立場というのは、本来ならば指揮権や責任が伴うものである。

 それらを適切に用いていれば、集団を上手く動かしていく事が出来る。

 そうした立場にいるためには、相応の能力や才覚に技術が求められる。

 だが、これらを持ち合わせない者が、こういった立場を求めるのは果たして適切であるのだろうか?

 また、やるべき作業をするのを差別や不当な扱いと言い立てるのは、果たして道理にかなってるだろうか?

 立場の弱さは確かにあるが、それを盾にやるべき事を拒否するのは、それこそ不当な行為でしかない。



 こういった事は指示を出す側の善意につけこんで行われる。

 まともな上司であるならば、部下を不当に扱う事を避けようとするだろう。

 そういった優しさがつけあがらせていく。

 そうしてやるべき作業を拒否し、本来なら得られない待遇を強奪していく。

 立場の上下を無視すれば、収奪や搾取をしてる事に変わりはない。

 そして、これらは下の立場であれば許されるという事もない。

 不当な要求をして、なおかつ相手から強奪してるという事に変わりはない。

 これもまた差別と言うべきものである。



 タカヒロが警戒してるのはこういうものもあった。

 所有者の方が奴隷に気兼ねして不当な要求されないかが気がかりだった。

 それこそ奴隷に貢ぐような状態になってしまわないか心配していた。

 相手の事を思いやれとは言っているが、そうなってしまったら話が変わってくる。

 自分の生活までも崩して奴隷に従ってしまってはいけない。

 相手を虐げろとは言わないが、相手にかしずいてもいけない。

 立場の違いは大きいが、それでもお互いに相手を尊重できなければ、いたわれなければならない。

 でなければ、そこには勝敗によって決まる上下関係しか存在出来なくなる。



 奴隷として購入してく以上、相手との立場の差は明確だ。

 その中で違いに相手を気遣うなんて事は無理というしかないかもしれない。

 それでも、そんな関係であっても相手との間に、人として持ち得る何かを通じ合わせてもらいたかった。

(無茶言ってるかな……)

 自分のそんな考えが、かなり難しい事であろうとはタカヒロも感じている。

 それでも、その難しい事をどうにかして達成してもらいたかった。



 奴隷を購入する上で、タカヒロはこれらを仲間に求めていった。

 言われた方は、

「どうすりゃいいんだ?」

「つまり、どういう事だよ」

「え、え、え、え?」

と頭を抱えて悩む事になった。

 どう考えてもタカヒロの要求は、かなりの難題なのだから当然と言える。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。




活動支援はこちら↓

あらためて支援サイトであるファンティアの事でも
https://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/501269240.html
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ