なんで俺がこんなめに!(三)
唐突ながら、俺、夏風誠は今。
「うわああぁぁぁああ!!!!!」
空から落ちています。
「って、死ぬだろがぁぁぁぁああ!!」
ビュュュュューー
「あぁぁぁぁあああああ!!」
ベキッッ
(あぁ。死んだ。)
───遡ること三十分前。
「ふぅー。まぁ日帰りだし特に何もいらないだろ。取り合えずタオルと替えの着替えと後、これか。」
と、手に取ったのは紙束。一応色々かいてはいたが、3/4(よんぶんのさん)ほど白紙だった。
(全くあのじじいどもは何がしたいんだか。)
完全にボケているとしか思えない年寄り達に溜め息をついてナップサックに詰め込んだ。
(それにしても、どうやって下界に行くんだ?どこにも書いてなかったけど。出発は朝とかどこぞのバカが言ってたしな。そのうちわかるだろうけど、今のうちに外の空気でも吸っておくかな。)
日帰り(予定)だといっても遠いところえ行くのだ、故郷の空気を吸っていこうではないか。ナップサックを持ち靴をはいた。
カチッ
(ん?なんか踏んだか?まあ行くかぁああ!!)
いつの間にか足場のないところに立っていた誠はそのまま天界から落ちてしまった。────
と、三十分前にあったわけだが。
「い、生きてた......。」
(まぁあれくらいじゃ死なねぇか。)
むくりと起き上がって、取り合えず辺りを見回した。
(さすがにあれを誰かに見られりゃ言い訳できねえぞ。)
周りに誰もいないことを確かめて、立ち上がるとあの紙束を取り出した。
(つかなんだよあれ!死ぬところだっただろーが!靴はいた瞬間落ちるとか聞いてねえぞ!あの紙束にも何も書いてなかったし!)
取り出した紙束をバラバラと勢いよくめくっていく。
(どこにも書いてねーだろ!)
「その真っ白なページの下にかいてあるのがそうなのではないのですか?」
「ぁあ?......なんか書いてんな。なになに?えーと、『下界に行くときは靴を履いたら行けるようになってるので準備ができしだい自分で向かってください』ってなんだとー!!何だよ!こんなちっさく書いてあんだよ!あのじじいども!後で覚えとけよ!」
「たいへんですね。」
「そーなんだよ......って!誰だてめぇ!」
目の前にいたのは、きれいな金髪を持った少女だった。
「私ですか?うーん......秘密です。」
ふわりと微笑んだ少女はそういった。