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拝啓、未来より  作者: 真野/休止中
番外編
68/68

小話 長い旅路の、まだ途中

 端末に映し出された画面を、下へ下へとゆっくりスクロールさせていく。開かれたホームページにはたくさんのペンネームと、作品名が書かれている。何度も見返して、ようやく自分のものがないことを確認した理久は、頭上の曇天を見上げて息を吐いた。白く揺らめいたそれは、あっという間に空気に溶けてしまう。跡形もなく、消えてしまう。目の前を電車がすごい速さで通り過ぎていって、反動でそこにあったはずの空気すら、ごちゃごちゃになって、また流れていく。

 そうだよなぁ、と心の中で呟いた。これが普通なのだ。分かっていたはずなのに、どうしてこんなにも沈んだ気持ちになっているのだろう。


「……あ、悠介に本返さなきゃ」


 咄嗟に浮かんだ名前が、余計に胸を締めつける。よりによって今、この瞬間に思い出さなくてもいいことを。自分が恨めしくなりながら、彼の連絡先を指先で探す。

 まさに文字を打たんとした、そのとき。悠介からのメッセージが届いた。驚きのあまり、ビクリと肩を上下させてしまう。な、何だろう……もしやエスパー……? 恐る恐る、内容を確認する。


【今、暇?】


 あまりに簡素でありながら、こちらをすべて見透かしているように感じられたのは、自分の気にし過ぎなのだろう。被りを振ってから、しかし、それでもやや緊張気味に、


【暇だよ。ちょうど良かった。借りてた本、返してもいい?】

【分かった。ついでに頼みたいことがあるから、俺の家来てもらっていいか】


 すぐ返ってきた文面を読み、首を傾げる。頼みたいこと……ってなんだ? 不思議に思ったけれど、最寄り駅からの地図が送られてきたため、それ以上は追及せずに大人しく従うことにする。

 この駅なら反対のホームに行かないと。クルリと体の向きを変え、階段を下りながら、理久は自分に言い聞かせる。大丈夫。いつも通りにしていれば、きっと、大丈夫。

 電車に乗って、いくつか駅を通り過ぎた先にその駅はあった。初めて降りた場所だったけれど、悠介が送ってくれた地図のおかげで迷うこともなく、とある一軒家の前に辿り着いた。

『松野』と書かれた表札の隣の、インターホンに指先を押し込む。軽やかな音が鳴ってから、少しの間の後、扉が開く。


「はあい! どちらさまですか」


 現れたのは悠介ーーではなく、可愛らしいツインテール姿の小さな女の子だった。

 刹那、理久に走るは稲妻のごとき衝撃。誰!? 悠介、妹なんていたっけ!? いや確かに一人っ子だと言っていた記憶がーー。あまりに予想外で混乱に陥っていると、中途半端に開いた扉の向こうから、


「こら明日花あすか。いきなり出たら危ないだろ。知らない人は出るなって、お母さんから言われてるんじゃないのか」


 と、女の子を咎める声がする。程なくして少女の背後から現れたのは、正真正銘、本物の悠介だった。安心したようで、まだ困惑している理久の視界には、女の子の姿がチラチラと映る。そのせいか、


「おう、琴平。悪いな、こっちまで来てもら……って、なに突っ立ってんだ?」

「か、可愛らしいお子さんですね」


 思わず口をついて出た言葉で、悠介のこちらに向ける視線が、一気に冷たいものへなった気がした。


「……お前本当に琴平か?」

「本物だよ! そんな目しなくたってーー冗談だってば」


 怒らせたかな、と窺うけれど、彼は何やら思案顔で理久を見つめていた。そのうち「入れよ」と招いてくれたので、己の失態を少し反省しつつ、敷地に足を踏み入れる。


「お邪魔します……」

「どうぞ! こんにちは!」


 扉を閉じて、玄関に入れば、女の子から大きな声で挨拶をされる。理久は微笑んで「こんにちは」と返した。


「ちゃんとご挨拶できて偉いね」


 そう言うと、得意げに鼻の穴を膨らませて、ニヤニヤするものだから可愛いなぁと癒される。照れてるのかな。そんな時間も束の間、どこかの部屋からコートを着込んだ悠介が出てくる。彼は女の子の頭に自分の手を置いて、こちらを見た。


「琴平、この子は明日花。俺のいとこ。幼稚園の年長。うちに遊びに来てんだ」

「あぁ、いとこ……」

「早速なんだが、ちょっとコイツと一緒に留守番しててもらえないか。今ここ、俺以外に誰もいないんだけど、急用で郵便局に行かないといけなくて」


 よく見れば、悠介の手にはいくつかの封筒が握られていた。「大学の書類とか、編集部に送るやつなんだ……テスト明けで気が抜けて、忘れてた」と珍しく暗い表情で、自嘲気味に口の端をあげる友人に、良心が痛まないわけがなく、理久はすぐさま頷いた。


「ま、任せろ! この家は私が守る!」

「えッ、あぁ……そこまでしなくていいけど。まぁ今はいい、お前に任せる。悪いな」


 続いて悠介はそばにいる少女に向かって、


「明日花、この人は俺の友達。ちょっと俺出かけてくるから、お姉さんと一緒にここで待っててな。できるか?」

「できる!」

「よし。じゃあ行ってくる。すぐ戻るから。琴平、頼む」


 そう言って、自分を見据える悠介の双眸が、あまりに真っ直ぐだったから、一瞬竦んだものの何とか「分かった」と答えられた。平常心どころか、どこか空回りしっぱなしの自分にほんの少し嫌気がさす。

 出ていく背中に、明日花が「ゆうくんバイバーイ」と言う。扉は閉まり、彼は戻ってこなかった。ぼんやりと頭の片隅で、悠介はすごいなぁと考える。そうして、先ほど発された「編集部」という言葉や、一時間ほど前に見たホームページを思い出して、喉のあたりが苦しくなる。まずい。そう分かっていても、頭の中の映像はなかなか消えない。


「ねえ」


 声を頼りにハッと我に返る。映像が強制的に切れる。女の子がこちらをジッと見つめていた。


「あ……ごめんね。えっと、明日花ちゃん、だよね」

「そう! おねえちゃんは?」

「私は理久」

「りく? りくおねえちゃん?」

「そう。よろしくね」

「よろしくね!」


 ニコッという音が聞こえそうなほど、眩しい笑顔だ。すごい、全然人見知りしないな、この子。自分の兄弟は比較的、照れて人見知りするタイプばかりなので、こちらまで圧倒されてしまう。理久がやって来たときのような反応をして、それを悠介が心配するのも納得がいく。

 ふと、彼女のスカートから伸びる両足の膝小僧に、ガーゼが貼られていることに気づく。「あれ」


「明日花ちゃん、怪我してるの?」

「うん。おひるたべたときに、ころんだ。それでね、いっぱいないて、ねちゃったの。おきたら、ママとゆうくんのママがいなくて。ふたりでばんごはんのかいものにいったんだって、ゆうくんおしえてくれた」


 なるほど、だから誰もいないのか。「でももういたくないよ!」と続ける明日花に「すごいなぁ、強いね」と言えば、また得意げに口の端を上げられた。可愛い。こういう素直なところを、ぜひ悠介にも見習ってもらいたい。


「こっちでいっしょにあそぼう!」


 手を引かれるままに靴を脱ぎ、一番広いリビングのような場所に通される。ソファには座らず、カーペットの上に座った明日花に倣って、理久も同じようにする。目の前のローテーブルには、折り紙やらクレヨンやら画用紙やらが所狭しと散らかっており、明日花はクレヨンを手に取っていた。絵を描いている途中だったらしく、すでに何かが出来上がりつつあった。


「なに描いてるの?」


 理久の問いに、明日花はクレヨンの色を変えながら「うーんとね、びょういん」と答えた。


「病院?」

「ここはどうぶつさんがくるびょういんなの。それでね、きりんさんがびょうきになって、くるんだけど、ベッドがないの。きりんさんは、くびがながーいから。だから、みんなでおっきなベッドつくってあげるところ」


 思わず呆気に取られて「すごく、いい話だね……」としか言えなくなる。それほど、ちゃんとしたお話になっていることに、驚きを隠せなかった。自分や、下の兄弟たちが幼稚園児の頃を思い出してみるけれど、どうにもこういったことをしていた覚えはない。実際は、思い出せないだけで、あるのかもしれないが。

 自然と、さっき出ていった人物の背中が目に浮かぶ。


「……悠介に教えてもらったの? そういう、遊び」


 木の葉の部分を緑色で塗り潰していた明日花は、パッと顔を上げて、


「そう! ゆうくんね、いつもね、あすかにいろんなおはなししてくれるから、まねっこしてるの」


 秘密を教えてくれるみたいに、ニヒヒと笑いながら言われ、理久も「そうなんだ。いいね」と返す。言いつつ、小さな女の子にも好かれる話を書ける悠介を思い、やっぱりすごいなぁと感じる。そうだ。ずっと、そうだったじゃないか。彼の紡ぐ言葉は、物語は、いつだって大勢の心に響くものだった。そんな人に、私はーー。


「あすか、ゆうくんのおはなしだいすき。りくおねえちゃんは?」


 私、は。

 目の前に映し出されたのは、もうずっと前の春。悠介が初めて部室に来てくれたあの日。あれから私は、彼の背中を追いかけて、追いかけて、追いかけて続けて。でも。

 その背中には、少しでも近づけているのか?


「りくおねえちゃん」


 肩を揺さぶられて、ビクリとする。早鐘を打つ心臓を落ち着かせるように、どうしたのかと聞けば、明日花はなぜかしょんぼりした様子で理久に向かって「おにかいにいきたい」と言った。おにかい……あ、お二階か。


「ひとりでいくのこわいから、いっしょにきて」

「いいけど……」


 私は行ってもいいのかな、誰の許可も取ってないけど。少しだけ不安になりつつ、リビングを出て、小さな彼女の後ろをついていく。階段を上がった先には、部屋が三つほどあって、明日花は迷わず一番奥の扉を開けた。

「ここにいて」と、部屋の入口に理久を立たせ、何やら探し物を始める。手伝った方がいいかな……でもこのくらいの歳って、何でも一人でやりたがる傾向があるだろうし……。

 悩んだ末、大人しく待つことにした理久は何となしに部屋の中を見回して、なぜか既視感を覚える。おかしい。初めて来たはずなのに。部屋には、整われたベッドに、タンス、クローゼット、イスと机に置かれたパソコン、そしてビッシリと本が詰まった本棚ーー。

 ふと、服の裾を引っ張られたので、目線を眼下に向ける。


「ねえねえ、あれとって」


 明日花が本棚の上を指さしていた。一瞬迷ったけれど、仕方ないと自分に言い聞かせて、見知らぬ人物の部屋に踏み入った。


「いちばんうえの、しろいかみ」

「紙? ……あ、これか」


 本の合間から飛び出た紙片。それを指先で摘んで、最終的に現れたのは原稿用紙だった。しかもかなり年季が入っているようで、全体的に折れ曲がり、ボロボロだ。二つに折られたそれを、不思議に思いながら、明日花に渡す。そうしてもう一度、本棚を見てーー理久は硬直した。眼前には、大学で使われている教科書が並んでいた。しかもその隣には「水無月 悠」と著名された背表紙の本がたくさんある。既視感の正体はこれだと悟る。そして、この家の住人で、これらを所持しているのは一人しかいない。


「あのー、明日花ちゃん? ここって、もしかして……悠介の部屋?」

「そうだよ!」


 自信満々! すごいドヤ顔っぷりだ! しかしそれとは対照的に、凍りついた微笑みを浮かべた理久は、小さな彼女の手を引いて、すばやく部屋を出た。誰もいないのに周りを見渡し、一息つく。よ、良かった……。勝手に部屋に入ったなんて知られたら、悠介怒りそう。

 そのまま一階のリビングに戻り、またカーペットに座ろうとしたーーのだが、今度は明日花がソファに座り、理久を呼んだので隣に腰掛けた。そこで改めて彼女の手に、依然としてある悠介の部屋から持ってきた謎の原稿を再確認し、これは返さなきゃまずいと再び不安に苛まれる。そんなこちらの気も知らず、少女は慣れた手つきでそれを開く。


「あすかね、もうすぐいちねんせいになるから、おんどくのれんしゅうしてるの」

「そ、そうなんだ……ところでその紙、悠介のじゃない? 勝手に持ってきて大丈夫?」

「だいじょうぶ。ゆうくん、これよんでくれるから」

「読む?」

「だから、きょうはあすかが、おねえちゃんによんであげるね」


 状況をうまく飲み込めない理久をよそに、彼女は原稿用紙を両手で持ち、ハキハキとした声で読み始めた。



『モーティーとルーク』


 モーティーはジャングルにいる、おサルさんです。木のぼりがとくいで、だれよりも高いところまで、ピューッとのぼれます。

 ある日、モーティーはジャングルにやってきた人間たちが、バナナをたくさんとっているのを見つけました。バナナが大好きなモーティーは、人間たちがのってきた車にこっそりのって、バナナを食べました。たくさん食べているうちに、気がつくと、モーティーはジャングルじゃなくて人間たちの住むところまできてしまいました。

「バナナといっしょに、はこばれたんだ!」

 モーティーはびっくりして、町を走りました。すると、モーティーと同じくらいびっくりした人間たちが、いっぱいやってきます。みんな、あみをもっていて、モーティーをつかまえようとします。

「つかまえたぞ! サルだ!」

 ついにモーティーは、ヒゲをはやした大男につかまってしまいました。大男はいじわるそうなかおをしていました。

 オリに入れられたモーティーは、こわくて、かなしくて、シクシクないてしまいました。

「こわいよ、くらいよ」

 そんなとき、となりのオリから声がしました。

「おおい、そこにだれかいるのか」

「きみはだれ?」

「オイラはルーク。トラさ。きみは?」

「ぼくはおサルのモーティー」

 モーティーはルークにききました。

「ねえルーク。ぼくたち、これからどうなるの?」

「さあな。どこかとおい国に、はこばれちまうのかもしれない。それにオイラはトラだから、毛がわをとられるかもしれない」

 いじわるそうな大男を思い出して、モーティーはポロポロとなみだをながして、ブルブルふるえます。

「もう、おうちにはかえれないのかな」

「そんなことないさ」

 ルークは言います。

「今まではオイラひとりぼっちだったけど、きみがきてくれたおかげで、なんとかなりそうだ! いいか? まずはだな……」

 ルークはモーティーにヒソヒソごえで、話しかけました。

 よるの十二時をすぎました。大男がオリの近くにやってきたのを見て、モーティーとルークはいっしょにさけびます。

 ガオーガオー! キーキー!

 ガオーガオー! キーキー!

 それはもう、すごく大きなこえで、大男はびっくりしました。

「ええい、うるさいぞ!」

 あんまりうるさいから、大男がモーティーをつかもうとして、オリをあけました。そのとき、モーティーはもち前のすばやさで、ピューッと大男の顔までちかづき、つめでガリガリかきました。

「わあ! いたい、いたい!」

 大男がころんだとき、モーティーはカギをうばって、ルークのオリをあけてあげます。

「やった! あいたぞ!」

「よし、早くにげよう!」

 二ひきはいっしょに、夜の町を走り出します。するとモーティーは、前にのってきたバナナの車を見つけました。

「あれにのれば、ジャングルにかえれる!」

 二ひきは車にこっそりのりました。夜おそくに町を出た車は、朝にはまたバナナをはこぶために、ジャングルについていました。

 モーティーは、ぶじにおうちにかえることができました。ジャングルのあたらしいなかまに、ルークも入り、二ひきは大親友になりました。



「おしまい!」


 輝く瞳でこちらを見る明日花。理久も何だかキラキラした気持ちになって、思わず拍手した。


「すごい! 明日花ちゃん、音読上手! 一回も噛んでない!」

「へへ、もうなんかいもよんでるからね」


 楽しそうな彼女につられて微笑みながら、それにしてもなかなかに良い話だったと改めて感じる。久しぶりにこういう、あったかい話読んだなぁ。ほのぼのしながら、理久は明日花に訊ねる。


「面白いお話だね。誰が書いたの?」


 そして手元を覗き込みーー本日二度目の硬直を経験する。題名の隣、丁寧に書かれていたのは『二年一組 松の ゆうすけ』という文字。

 動かなくなった理久を、明日花が不思議そうに見る。玄関の扉を開ける音がしたのは、そのときだった。足音は着実に近づく。


「ただいま。どら焼き買ってきたから食べ……」


 リビングに現れた悠介が、ソファに座る二人と、さらにその手元にあるボロボロの原稿用紙を見てーー固まる。流れ始めた静寂は、明日花の「ゆうくんおかえり!」という大声であっという間に破られ、同時に彼の何かがオーバーヒートしたらしい。悠介はいつもより赤みを帯びた顔つきで「……読んだのか」とただ一言聞いてきた。嘘をついたところで何の意味もないので、理久は正直に頷いた。怒られるかも。そう覚悟したけれど、特にそれ以上の追及はなく、溜め息をひとつ、こぼされただけだった。


「あすかがよんであげたんだ!」

「だろうな……それにしたって、わざわざあんなに高いところに隠したのに」

「モーティーとルークだいすき!」

「知ってる……」


 彼は肩を落とした。完全なる敗北だった。

 その後、借りていた本を返し、ひとまずお茶の時間になったところで、悠介はボソボソと話し始めた。


「小学生の時に、授業で小説を書くことになって、それで書いたやつなんだ。前に、明日花に読み聞かせたら、えらく気に入られて……うちに遊びに来ると、必ずせがんでくるようになって」


 そんな本人は現在、夢中でどら焼きを頬張っている。「お茶飲めよ。喉詰まるから」という悠介の言葉に、首を縦に振りながらも口を動かす様子は、まるでリスかハムスターのようだ。小さく吹き出した理久の隣で、悠介はソファに沈み込む。


「あぁもう……恥ずかしいったらありゃしねえ……」

「そんなに気にしなくても」

「絶ッ対他のやつには言うなよ! いいな!?」

「分かりましたから」


 どうどうと宥めつつ、ふと思い当たるものがあった。


「ずっと前に話してくれた、悠介が小説を書くきっかけになった作文って、もしかしてこれのこと?」

「なんでそんなことまで覚えてんだ……」


 その反応だけで答えは分かってしまう。そうか。これが彼の原点か、と理久はさっきの話を思い出していた。優しくて、あったかくて。キラキラした物語。

 忘れかけていた何かを、思い出させてくれる。そんな気がした。


「私も『モーティーとルーク』好きだな」


 そう言って笑いかければ、また彼の頰が赤くなって、そっぽを向かれる。あまり褒めると照れて、逆に拗ねてしまうのが悠介なので、慌てて「あー、私ね。今ちょっと落ち込んでたんだよね」と続けた。案の定、悠介は少しだけ見開いた瞳で、こちらに向き直った。

 理久は今日という日を思い返しながら、ゆっくりと言葉にしていく。


「応募した小説の賞に、また落ちちゃったから。大学入ってから、もう何回目だよって感じで……今年で三年生になるし、そろそろ休憩はしようと思ってたんだけど」


 脳裏に蘇る、高校一年生の春。部室に現れた、本物の小説家が眩しかった。自分もあんな風に絶対なってやると、そう信じて疑わなかった。でも現実は厳しくて、気がつけば、あの頃からずっと背中を追っているだけで。何も変わってなんかいなくて。

 自分はそれで精一杯なのだと、思い知らされた。


「私さぁ、悠介が初めて部室に来たとき『悔しかったら、俺を超えてみろ』って言われて、本当にそうしてやろうと思ったんだ。でも、なかなかできないから、自分に嫌気がさしちゃって。今日も、悠介に会うの何だか気まずいなぁとか、何がダメで落ちたのかなぁとか、いろいろ考えてて」


 それでね、と理久はローテーブルの上の原稿用紙に視線を落とした。


「このお話読んで、分かった。私、焦り過ぎてたんだって」


 そうして焦りのあまり、いつからか、楽しんで書くことを忘れていた。自分が楽しまないと、誰にも何も分かりはしないのに。一番大事なことを、このお話は教えてくれた。

 黙って耳を傾けてくれる悠介に、心の中の自分に、きちんと伝えたいから、言葉を紡いでいく。


「すぐに結果を出せないのは、そりゃ当たり前だよ。だって私は悠介じゃないから。もしかしたら、私は悠介に永遠に追いつけないかもしれないけど、まぁ、それはそれで良しとする! もちろん悠介と一緒の場所に立ちたい、けど、それと同じくらいの目標が私にはあるんだ」

「目標……」

「そう。自分の中の最高傑作を書くこと! だから私、これからも小説、書くよ。誰よりも一番、自分が楽しんで書いて、いろんな人にそれを感じ取ってもらいたい」


 その上で、君の隣に、堂々と立ちたい。

 最後の言葉は自分の中に留めておいて、横を向く。真剣な表情で理久を見つめていた悠介は、やがて微笑んだ。


「……呆れた?」

「いいや。琴平はすごいと思っただけ」


 意味が分からず、キョトンとしていれば、さらに続けて、


「今日、来たときから何か変だとは思ってたけど、自分で解決しやがって……お前のその思い切りの良さは、一体どこから来るんだか」


 なんて言われるので、驚きのあまり目を見開いてしまう。「えッ、ちょっと待って!」


「き、気づいてたの?」

「当たり前だろ。琴平は分かりやすいからな」

「悠介に言われたくないんだけど!? すぐ拗ねるくせに!」

「俺のことは今いいだろ! ッたく、少しでも心配してたこっちがバカみたいじゃねえか」

「……ごめん」

「……急にしおらしくなるなよ。お前が納得いったなら、俺はそれでいい」

「そうじゃなくて」


 理久は悠介を恐る恐る窺い見た。


「その、悠介は私に期待してくれてるみたいだった、から。気のせいかもしれないけど。でも、もしそうだとしたら、私はそれに応えられないかも、だから、ごめん」


 小説家になるのを諦めたわけじゃない。ただ、選択肢を増やしたいと思ったのだ。けれどそれは、結果として彼を裏切ってしまうのではないかと感じた。

 大人しく反応を待つ。それほどの間も空けずに、返ってきたのは、盛大な溜め息だった。


「お前なぁ……今、自分の目標のために書くって言ったばっかりじゃねえか。なんでスタート位置にまた戻ってんだ」

「うッ……ちょっと気になって……だって私、散々悠介にいろいろしてもらったのに、やっぱり無理でしたなんて」


 何だか酷いことをしている気がして、と言い終えるより早く、彼の指先が目の前に突きつけられた。


「いいか良く聞け! 俺は気にするな、琴平は琴平のために書くんだ。なぜなら俺とお前はまッッたく違う人間だから! さっき自分でも言ってたから分かるよな!?」

「は、はい……」

「それに、俺は琴平がどういう道に進もうと、呆れたり落胆したりしない! なぜなら、ライバルであると同時に、俺たちは友達だからだ! それなら応援して然るべきだ! 俺にいろいろしてもらった? ふざけんな俺の方がもっといろんなもん貰った! 部活誘われたときも、初めて部室に行ったときも、琴平が! 俺の小説好きだとか悔しいだとか丸ごと全部! 受け入れてくれたのが何より一番嬉しかった!! そんなやつと出会えたのはものすごい幸運だった!! だからお前が気にする要素は、ひとつも、ない!!」


 気持ちの昂りからか、顔を赤くさせながら、肩で呼吸を整える悠介。およそ初めて見るであろうその姿に、圧倒されつつ、理久は何度も頷く。


「わ、分かった……もう気にしない。好きに書く」

「それでいい……」


 喋り疲れたのか、お茶を一気に飲み干す。その横顔をジッと見つめ、彼が一息ついたところで、理久は口を開く。


「私、悠介とライバルで、友達で良かった」


 しばらくした後、俯いたまま、ただ静かに「それでいい」とまた返してくるものだから、おかしくて吹き出してしまう。笑っていたら、明日花がこちらを見て「なかよし!」と言った。


「うん、仲良し!」


 そう笑顔で答えた理久の隣で、耳まで赤い悠介は黙ってそっぽを向いた。照れたときに拗ねる。分かりやすいのはお互い様だと、どら焼きを一口食べる。いつもより美味しく感じた、ような気がした。



 ◇◆◇



 幼い私にはたくさんの夢があった。

 アイドルに、パン屋さん、あとケーキ屋さんに……そうだ、看護師さんにもなりたかったっけ。まだ小さな子どもから見ると、大人はみんな輝いていた。希望あふれる未来を想像していた、あの頃の私よ。君に言いたい。もしかしたら、ガッカリするかもしれないんだけど。

 あなたは将来、ブラック企業をやめて、たい焼き屋さんの店員になります。


「お待たせしました。あんことカスタード、チョコレートです。ありがとうございました!」


 今日、最後のお客さんはサラリーマンだ。子どもたちへのお土産かな、などと考えながら、その背中を見送る。

 商店街の他の店も、そろそろと閉店の準備を始めつつあった。祥子も倣って『笑和屋』と書かれた暖簾を中へ仕舞う。


「大吉ー。もうお家に入ろうか」


 店先で寝ているだろう看板犬にそう声をかけるが、反応はない。いつもなら、この言葉で帰ってくるはずなのに。外に顔を出して見ると、大吉は起きていて、ジッと商店街の入口を向いていた。すると、暗闇を背景に自転車に乗る人物が浮かび上がった。やがて商店街の明かりに照らされながら、こちらへ走ってくる。

 赤いバンダナをした彼は「お疲れ様です」と店の前へ自転車を止める。店主のお帰りに大吉は尻尾を振り、祥子はほんの少しだけ胸を高鳴らせた。


「お疲れ様です。配達、大丈夫でしたか?」

「うん、地元だからね。道はまったく問題なかったんだけど、行った先で散々絡まれて……もう疲れたぁー!」


 そう言いながら看板犬を目一杯に撫で回す。今日の拓人の配達先は、一足早い花見を楽しむ地元の老人会だった。知り合いも多かったのか、苦笑混じりに続ける。


「やたらお酒勧められちゃって。俺、飲めないのに」

「それは……大変でしたね」

「賑やかな年寄りたちでしたよ、本当に。祥子さんも今日はありがとうございました。スタッフ少なくて、大変でしたよね」

「いえ、そんな」


 確かに、今日は体調不良の欠席があったため人数は少なかったし、疲労もそれなりにある。けれど、今の言葉を聞いただけでどこか軽く思えた。

 祥子さん、か。

 ここにやって来てから早二年、もう何度も聞いたはずが、未だに口角が上がってしまいそうになる。姪の理久とも知り合いのおかげで、拓人は同じ名字の自分たちを区別するために、下の名前で呼んでくれていた。それがいつの間にか店のスタッフへ、そして商店街の面々にまで広まるとは予想していなかったのだが、しかし祥子は嬉しかった。イケメンに名前を呼ばれて、悪い気分になる女性は多分いないだろう。

 お金の整理をしながら、店先の片付けや掃除を済ませる拓人を時折眺める。バンダナから覗く、ちょっと癖のある黒髪。精悍な顔つき。その爽やかな笑顔と誠実な人柄で、商店街のマダムたちだけでなく、男性からも人望が厚い。少し天然で、ズレた言動をするところも可愛らしい。しかし個人的にグッとくるポイントは、祥子の方が二つほど年下のおかげで、いつもの敬語が崩れたときたまに出る素の口調ーーと、そこまで考えて、慌てて意識を取り戻す。いけない。今はこんなことを考えている場合じゃない。ちゃんとお金を数えなきゃ、それに。

 手元のお札に目を落としつつ、己を省みる。今は、恋愛なんかしていたらダメだ。

 高校を卒業してから、ずっと勤めていた会社を辞めたのはつい半年ほど前だった。元々、ブラック企業で嫌気がさしていたことに加え、姪の紹介で出会った、このたい焼き屋の仕事が楽しくて仕方なかった。最初は時間があるときに来て、ごく簡単な手伝いをするだけだったけれど、そのうち正式なスタッフになりたいと思うようになり、そこからはもう思い切った。辞表を叩きつけ、帰りに履歴書を持って笑和屋を訪れた。


「スタッフ希望です! よろしくお願いします!」


 突然の申し出に拓人は驚いたようだったが、しかしすぐにいつもの笑顔で「喜んで!」と言った。たい焼き屋なのに、居酒屋のようなノリがそのときはどうしようもなく心地よくて、なぜだか泣き笑いのようになってしまったことも記憶に新しい。

 こうして、晴れて正式な店員になったものの、安心はできない。以前の職業とは違い、収入は不安定で確実に少ない。だからといって、貯金をあてにしていたら後々、苦しくなるのは目に見えている。だから今は一生懸命に働かなければ。そのためには恋愛なんてもってのほか。生活が安定してからでも、きっと遅くない……はず。

 半ば無理やりに自分へ言い聞かせて、ひとり頷く。しかし、


「祥子さん……あの。お疲れのところ、大ッ変申し訳ないんですが、このあと時間あります?」

「はい。大丈夫ですけど」

「ちょっと手伝ってほしいことがあってーー遅くなっちゃうかもしれないんで、良かったら晩ごはん食べていってください」


 こんなお誘いをされただけで、恋愛禁止の決心がいとも簡単に揺らいでしまうのが、自分の弱さだった。一瞬迷ったけれど、やや緊張した面持ちで了承する。拓人は「すみません、ありがとうございます。じゃあ適当に何か作りますね」と、店の奥にある居住スペースの台所へ消えた。……少しでも期待している自分を、今すぐに殴りたい。邪念を打ち払うように、祥子はその日の売り上げを何度も数え直した。

 しばらくした後、ちゃぶ台には、白いごはんと肉野菜炒め、厚揚げ豆腐、ほうれん草の味噌汁が並んだ。談笑しながら食べ進める中、拓人は言った。


「実は、もうすぐ近所の小学校で、この商店街の人たちの職業を勉強する授業があるんです。学校に行って、仕事のことを話すみたいで、俺もそのメンバーになっていまして」

「そうなんですか? すごいですね! きっと橋間さんなら、子どもたちの良いお手本になりますよ」


 だって人柄が良いし、それに爽やかだし。心の中でも褒めたけど、彼の表情は浮かないものだった。


「やー、ぜひそうなりたいんですけど……その……」


 珍しく歯切れの悪い様子に、首を傾げる。拓人は立ち上がって、何やら一枚のプリントを持ってきた。タイトルは『お仕事調べファイル』。その下には、いくつかの質問とそれに対する回答欄がある。

 拓人は苦いものを噛むように「これ見ながら話すんですけど……終わったら先生に回収されて、廊下に張り出されるみたいで」と言う。それを聞いてから祥子は、瞬時に何となく察する。

 見た目も性格も好印象の拓人。けれど彼にも弱点は存在する。それは、


「お手伝いって、代筆のことですか」

「……お恥ずかしながら、正解です」


 とんでもなく悪筆であることだ。

 悲しいことに、自分で書いた文字を読めなくなる経験も数え切れないらしく、祥子も初めて見たときは言葉を失った。読めないのだ。本当に。新たな異文化文字のようなそれで、店のメニューやら何やらを書くわけにはいかないので、その手の仕事は他のスタッフで分担している。拓人はそんな様子を見るたび「みんな、ごめんね」としょんぼりしていた。本人も気にしているせいで、このプリントもなかなか手をつけられないまま、無情にも時間だけが流れーー気づけば提出期限は明日に迫っていた、というわけのようだった。


「自分が情けない……どうかよろしくお願いします」


 食器を片付けた後、深々と頭を下げられ、祥子は両手を横に振る。


「やめてください。誰にだって、苦手なことの一つや二つあります。でも得意な人がカバーできれば、何も問題はありません。だから任せてください」

「祥子さん……ありがとうございます」


 安堵からか、表情を緩ませる無防備な拓人に、胸のあたりがキュンと締めつけられーーあああダメ! しっかりしなさい祥子!

 己を律しながら、ペンを手に取る。


「じゃあ、質問を読むので答えてください。こっちでまとめて書いても大丈夫ですか?」

「ぜひお願いします」

「分かりました。では、まず最初の質問から」


 ①という記号の隣に印刷された文章を口に出す。


「お名前と年齢を教えてください」

「橋間拓人です。歳は二十八」


 言われた内容を書き込んでいると、向かいから「何だか面接みたいです。……ダメだ、意識したら余計に緊張してきた」と聞こえてくるので、思わず小さく笑ってしまう。

 次の質問を読むべく、視線を下へ動かした。


「お仕事は何をしていますか?」

「あ、えっと、たい焼き屋、です。笑和屋っていう名前の」

「どうしてそのお仕事になろうと思ったんですか?」

「じいちゃん……じゃなくて、俺のおじいさんとお父さんがこのお店をやっていたので、それに憧れて自分もなりたいと思いました。ーーでも、本当は」


 自信なさげな声がしたので見ると、眉を下げて微笑まれた。


「本当は最初、継ぐ気なんてまったくなかったんです」

「え……?」


 拓人はちゃぶ台に目を落としながら、遠い記憶に思いを馳せているようだった。


「じいちゃんが死んだあと、親父が引き継いで。その親父が病気で倒れたとき、俺は会社勤めをしていました。そしたらある日、親父が病院を無理やり退院してきて。……びっくりした。何にもなかったみたいに、店でたい焼き作ってるもんだから。俺聞いたんです、何してんだよって。そしたら」

『この店は、じいさんの夢だった。それを守ることが俺の夢だ。一度しかない人生で、せっかく見つけた夢を、俺は簡単に手放したくない』


 親父が羨ましくなった、と拓人は続ける。


「何となく大学を出て、何となく会社に行ってた自分にはない何かが、あの人にはあった。そのとき初めて、俺は一体何をやりたかったんだろうって考えて、気づいた。小さい頃から見てきた、うちのたい焼きを食べた人たちの笑顔。そうだ、俺は誰かを笑顔にする仕事がしたかったんだって。継ぎたいと思ったのも、多分あのときだったんじゃないかな。単純かもしれないけど、でもおかげで今、夢を持って生きてるなぁって感じはあります」


 彼はニッと笑って「たくさんの人が愛してくれるこの店を、もっともっとデカくするのが俺の夢です」と言う。

 夢。昔に思い描いていた未来が、まぶたの裏を駆け巡る。何一つ成し遂げられなかったその先にあるはずの、私のやりたいことは、一体何だろう。


「祥子さんは何かありますか? 叶えたいこと」


 そう訊ねられて、少しの間思案する。悩んだ末、意を決して口を開く。


「ーーよ、洋服が欲しいです。新しい、春物の。もうずっと忙しくて、全然買いに行けていないので。あと、コーヒーショップに新しく出た桜のラテが飲みたい。映画も観たいし、久しぶりにどこか遠くへ旅行にも行きたい」


 そして何より、今は無理でも、いつかは自分の隣に大切な人がいる人生を送りたい。

 眼下のプリントを見つめながら、祥子は僅かに体が熱くなっていることに気づいた。そうだよ。私だってやりたいことがある。今までうまくいかなかったからって、それがなんだ。幼い頃の想像からどれだけかけ離れていたって、恥じる必要なんてない。私が生きているのは今だ。


「橋間さんみたいに立派なものじゃなくて、小さなことばっかりだけど、でもやり遂げたい。一度しかない人生でちょっとずつでも目一杯、いろんなことを叶えたいーーです」


 今の私にしかできないことは、きっとたくさんある。

 言い終えてから、恐る恐る前を向く。拓人は優しい微笑みを浮かべて、頷いてくれた。


「すごくいいと思う。応援してます。一緒に頑張ろうね」

「ッ! はい!」


 顔を見合わせて、互いに小さく笑う。しかし、ふと目線を上に向けた拓人の表情が固まり、やがて焦りの色に変わる。


「俺が長話するからもうこんな時間に……! 祥子さんごめんなさい! 帰りは車で送るので、もう少しだけ付き合ってください!」

「わ、分かりました!」


 慌ててペンを握り直しながら「車で送る……って、それは車内に二人きりということなのでは?」と考え始めた自分を振り払う。そんな甘い想像はあとだ! 今はとにかくこのプリントを終わらせる!


「次の質問いきます!」

「よし来い!」


 妙に気合いの入った二人の上であろうと、夜は平等に刻々と更けていく。

 空に浮かぶ星の数にも負けないくらい、幼い頃の自分には夢があった。残念ながら、大人になってもそれを叶えられたわけじゃない。でもね、昔の私よ。君はガッカリする必要なんてないんだよ。だって、思い描いていた夢に辿り着けなかったからって、全部が終わるわけじゃない。まだまだ人生は続いていくから。

 失くした分だけ、また新しい夢を見つけて、きっと今日も明日も私は歩いていく。

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