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拝啓、未来より  作者: 真野/休止中
番外編
63/68

小話 城の海辺は、凪いでいる

 激しく鳴った音が反響するひまも与えず、凪沙は立ち上がった。その瞬間、さっきまであんなに熱かった頭が急に冷めていくのを感じた。目の前にあったのは、驚きと怯えに震える少女の姿。真城だった。いつも元気な声を発するその唇は固く閉ざされていて、視線は自分にではなかなく居心地悪そうに床へ向けられている。

 遅れて、手のひらからのむず痒い痺れが伝わってきた。そこでようやく力任せに部室の机を叩いてしまったことに気がついた。

 でももう、手遅れだった。

 痺れと痛みを無理やり押し込めるみたいに握りこぶしを作って、カバンを引ったくり、部室を出る。

 本当に、ただ単に、不運が重なりに重なっただけなんだと思う。

 廊下を早足で歩きながら、頭の中を巡るのは言い訳ばかりだ。

 ここ最近は寝不足続きで、教師からは嫌がらせのごとく古文の課題が出ていて、弁当には苦手なウズラの卵が入っていて、今日やった音楽の小テストは散々な結果であるのが目に見えていて。

 僅かに冷たい風がワイシャツの袖口から侵入してきた。昇降口の向こうに夕焼けが見える。赤でもオレンジでもない。どこかの誰かさんの髪の毛とそっくりな茜色に、今は腹立たしさを隠せない。八つ当たりとは分かっていながら、けれど思わずにはいられなかった。


 これも全部、先輩たちが卒業なんてしたせいだ。


 そもそも無茶な話に変わりはなかったのだ。先輩がごっそりと抜け、部員はたったの二人。一ヶ月後にやってくる新入生を獲得できなければ廃部は決定のようなもの。そんな状況が悩みの種にならないわけがない。

 加えて凪沙を苦しめているのが、その崖っ淵を何とかしてみせると今年の大会後に先輩たちに宣言したこと、さらにそれを真城が何の疑いもなく信じていることだ。これでは見栄を張ったなどと今さら言えない。自分のひねくれた性格なら特に。

 己が招いた事態がために、初めは部相続のため奮闘した。しかし上手くいかなかった。理由は様々だが、文芸部が地味であること、先輩たちーー主に赤毛の騒がしい人ーーの変人奇人っぷりがなぜか知れ渡っており、そのせいでどこか遠巻きに見られていることなどがあった。先輩のせい、というのもあながち嘘ではない。

 真城の広い交友関係を頼った作戦もあまり成果は得られなかった。あろうことか真城は、大好きだった神楽がいなくなったがゆえに、持ち前の明るさやパワーは日に日に薄れていき、寂しげに窓の外ばかりを眺めるようになってしまった。

 凪沙だってこの文芸部がなくなるのは困る。ないとは思うが、そうなった末には悠介の説教三時間コースが待っているようで、どうしても避けたかった。

 言ってしまえば先輩たちをガッカリさせたくないのと、何だかんだ自分がこの部活に愛着があるからなのだけれど、今の凪沙にはそれを認めるゆとりがなかった。

 その後も奮闘し続けるが結果はなく、フラストレーションばかりが溜まりに溜まりーー起爆のスイッチを押したのは真城の一言だった。


「凪沙くん、もういいよ」


 瞬間、冗談じゃないと頭に鋭く血が昇った。シャーペンを握っていたはずの右手を力いっぱい机に叩きつけた。

 翌日になっても凪沙の中に渦巻く怒りは静まらなかった。寝不足で痛む頭が、朝の通学路を歩くたびに酷くなっていく気がする。

 部活をどうにかするために学校へ行かなければ。でも真城とどんな顔をして会えばいいのか分からない。そもそもあいつはなんであんなことを言ったんだ。本気だったのか。


 ーーあれ、そういえば昨日、あいつの声を久しぶりに聞いた気がする


 昨日よりも前に真城と話したのは一体、何日前だ?

 ふいに湧いた疑問の答えが知りたくて、痛む頭の中の引き出しを開けて、開けて、開けて。けれどどこにも見つからない。

 ふらつく足元にするりと猫が現れる。白と黒のブチ模様とぼやける視界の中、目が合った。

 小さな鳴き声を最後に、瞼の裏には真っ黒な幕が下りてきた。



 ◇◆◇



「ブチ猫!!」


 大きな声にびっくりして、目を開けた。こちらをキラキラとした眼差しで見上げる少女ーーもとい真城がそこにはいた。まるで昨日のことなどなかったかのような様子に一瞬ホッとするが、すぐに違和感を覚える。なぜか地に足が着いていない。それどころか腹から喉にかけて、やけに風当たりが良い。まるで真城は自分を、猫か何かを掲げるみたいに持っているようで……。

 猫? と自分の手を見る。白毛に黒が少し入った腕。手のひらはピンク色の肉球。

 ーーな、なななな!?


「白と黒の模様かぁ……かわいーね!」


 何だこれは!! 猫!? は!? え!

 驚きのあまり声も出ない。というか、出せない。叫び声を上げようとした途端、か細い鳴き声が口をついて出た。凪沙を目線の高さにまで下ろした真城が首を傾げる。


「ん? なあに? あ、おはようって言ってるのかな」


 違う! という返事はまたも愛らしい声に変わってしまう。さらに瞳を輝かせて真城はその小さな体を抱きしめる。ふわりと風に乗った甘い匂いが鼻腔をくすぐる。

 刹那、凪沙の頭にピンと来た。そうだ、これはきっと『胡蝶の夢』だ。かなり前に聞いたものだから内容はうろ覚えだが、確かナントカという男が蝶になり百年を花上に遊んだと夢に見た……らしい。あとは覚えていないが、とにかく今、自分はそんな感じのリアリティな夢を見ているのだ。きっとそうだ。

 だって、そうでなければ、


「体ふわふわー……お、肉球もぷにぷにですなぁ」


 彼女が自分の前で、こんなに楽しそうな顔をしているはずがないのだから。

 その後、心ゆくまで堪能した様子の真城はニヤリと笑って、凪沙をブレザーの内側へ忍ばせた。次の瞬間には何の前触れもなく走り出したので、凪沙は必死にしがみついた。軽やかな足取りのたびに小さな体は不安定に揺れる。まさかこの雰囲気は、と思い出されるのは、いつだったかの理久の言葉。


「え? 茜の武勇伝? あー……そんなにカッコいいものじゃなくてむしろトラブルばっかりなんだけど……。そうだなぁ、でも私の中で一番なのは、やっぱり入学式の日に子犬抱きかかえて教室に来たことかな。その子犬が今の笑和屋にいる大吉なんだけどね」


 チラリと真城を見上げる。今にも鼻歌を歌い出しそうなほど表情は明るい。

 夢とはいえ、猫を学校に連れていくあたり、自分の中の真城はしっかりと茜の遺伝子じみたものを受け継いでいるようだった。

 学校へ到着すると、凪沙はカバンの中に隠された。てっきり狭いかと思われていたそこは予想以上にスペースが有り余っていた。……というか勉強道具が見当たらない。何をしに来ているんだこいつ。それでも、大事そうに文庫本が一冊、仕舞われているあたり文芸部らしさを感じさせた。

 三分の一ほど開いた開け口から光が射し込む。続いて周囲からの挨拶に「おっはー!」と元気に返す真城の声も聞こえる。友人らしき人物たちは「お、今日は遅刻してない」「朝から元気だねー」などと言いつつ笑っていた。口調からは迷惑さなんて微塵も感じられない。彼女の照れくさそうな笑い声。改めて人望ある人間なのだと認識される。

 何てことはない朝の光景。凪沙にはそれが随分と昔のように思えてならなかった。

 現実の真城は、どうしているのだろう。

 僅かに揺れるカバンの中は揺りかごを彷彿とさせ、ついウトウトしてしまう。だから教室に入った彼女が空っぽの自分の席を見て、少しだけ表情を歪めたのを凪沙は知らない。


「ーーチ……く……、ブチくん」


 額を指でなぞられた感覚に目を覚ました。同時にいつの間にか眠りこけていた自分にも気づく。今さらだが夢の中で寝るって、合わせ鏡みたいで少し気味が悪い。毛並みの先を冷たくも柔らかい風が撫でていく。見渡すとそこは外だった。荒れ放題の雑草に、遠くから聞こえる学校の喧騒、全体的に薄暗いのは校舎の作る大きな日陰にいるせいだ。裏庭だと理解したのは、凪沙を膝の上に乗せる真城が花壇を眺めていたからだった。

 広いそこにポツンとあるそれは、細い茎の先に、大きなピンク色の雫のようなものを乗せていた。

 何だあれ。そういう意味も込めて、喉から声を絞り出してみる。やはり「にゃあ」だの「みゃあ」だのしか出なかった。


「あれが気になるの?」


 段差にでも座っていたのか、真城は立ち上がりスカートを軽く叩いたのち、花壇へと歩み寄った。凪沙を地面に下ろす。


「これはね、チューリップって言うお花」


 見上げると確かにそうだった。遠くから見るのとは違い、みずみずしそうな茎は頑丈な葉に守られ、淡いピンクの花弁は互いに円陣を組むようにガッチリと固まっていた。

 もうすぐ咲きそう、という真城の嬉しそうな声色で彼女に目を向けた。


「神楽先輩、喜ぶだろうな」


 そこで出てきた名前に思わず首を傾げる。このチューリップと何か関係があるのか?

 凪沙の視線に気づいたのかそうでないのか、真城は凪沙の毛並みを撫でながら、囁くような声で語りだす。


「これ神楽先輩と植えたんだ。みんなに内緒で。咲いたら理久先輩とか呼んで、びっくりさせようねって言ってたの。……って、ブチくんには分からないか」


 苦笑しながら、辺りを見回す。


「ここ、小さいけど桜の木もあるし、お花見するのも楽しそう」


 ふいに、その表情から明るい色だけが抜け落ちた。


「……凪沙くんも、来てくれるかな」


 ポツリと呟いた言葉は、文字通り地面にこぼれ落ちた気がした。でもそれを拾い上げてやる手も術も、今の凪沙にはなかった。

 眉をひそめたかと思えば、唇をキツく噛みしめる。小さく丸まってしまう背中をただ眺めることしかできない。やがて鼻をすする音と、涙を無理やり引っ込めようとする苦しげな声が漏れ出した。

 夢の中だけれど、彼女の悲しみは本物だと、自分の中の何かが言った。

 小峰、泣くなよ。

 上げた前足で彼女の腕をしきりに叩く。たし、たしと乾いた音しか鳴らない。口を開けても、か細い声しか出せない。

 お前がそんなんだと調子狂うんだよ。何なんだよ。俺ひとりでバカみたいに悩んで、イライラして、周りのもの全部を呪いたくなって。

 なぁ、俺さ、小峰は頭脳派じゃないからせめて難しいこととか、頭使うのは俺が担当してやろうって思ったんだ。だから部長だって引き受けた。でももしかして、そうやって自分とお前の間に線引きしていたのかもしれない。俺また昔みたいに、ひとりで閉じこもろうとしていたのかもしれない。

 最後に、くだらないことを二人で話したのはいつだったのかな。

 ーー小峰、俺は、お前の言葉が聞きたい。

 自分のものではない鳴き声が頭の隅でした。一瞬のうちに、目の前は黒く染まり、意識がふつりと途切れた。



 ◇◆◇



 足先が暖かい。瞼を開けた途端、薄い茜色の光が突き刺さり、思わず眉をひそめた。座っている段差のコンクリートの冷たい感触がズボン越しに体を身震いさせる。足先と眼前の裏庭が夕陽に浸っている。しばらくそれをボーッと眺めながら、自分は一体何をしていたのか思い返そうとして。

 パッと現れた猫がまるでスローモーションのように、目の前を横切る。白と黒のブチ模様。目が合ったのはほんの一瞬にも満たない時間で、気がつけばさっきと同じ殺風景が広がっているはずだった。けれど、消えた猫の代わりに視界の端に映ったローファーは、さっきこそなかったが凪沙はそれを知っていた。

 目線を上げていく。驚きからだろう、目を丸くした真城がこちらを見ていた。

 その口が何か言おうとして少しだけ開きーー閉じた。くるりと背を向けた真城の手を、凪沙はすばやく掴んだ。


「待って、小峰」


 足を止めてくれた彼女は誰よりも自分に優しい。そして多分、信頼してくれている。

 ならば、それに答えない以外の選択肢があるのだろうか。きっとないはずだ。ひねくれ屋で自分勝手な性格だろうと、今度こそ言えるはずだ。


「ーーごめん」


 少し低い位置にある華奢な肩が震える。静かな裏庭に、ポタリと何かが落ちる音が響く。地面に黒い染みを作ったそれは恐らく、彼女の瞳からこぼれ落ちたものだ。

 今さらながらに、自分のやったことの重大さを思い知った。逃げ出したくなった。でも、ここでやめたらもう一生、真城とは言葉を交わせなくなる。

 言語を理解しているのに、どんなに大きな声だって出せるのに、誰かと話せないなんて、そんな悲しいことがあっていいはずがない。


「机叩いたりして、ごめん。びっくりしたよな」


 真城は入部した当初から神楽だけに限らず、先輩大好きっ子で、それが羨ましかったのかどうかは分からないけれど、知らず知らずのうちに「俺だけでどうにかしなければ」と思い込んでいた。こいつは先輩がいないと何もできないから、せめて俺だけでも。

 そうやって、真城と同じ場所に立っていることを忘れた。

 真城が何を思い、感じ、考えているのかを、ないがしろにした。


「……神楽先輩と、約束した」


 涙混じりの声。相変わらず背中を向けたままの彼女に、凪沙は相槌を打つ。


「どんな?」

「後輩、いっぱい入部したら、遊びに来るって。だからそれまでお互いに頑張るって」


 でも、と真城が鼻をすすった。


「良い方法、全然思いつかないし。凪沙くん頑張ってくれてるのに、あたし何にもできなくて。神楽先輩との約束破るのやだけど、でも……ッ凪沙くんが、辛そうにしてるのもやだから、だから」


 もういいよ、と言った真城はどんな気持ちだったのか、遅かったけれどようやく分かってあげられた。

 足りなかった分を埋め合わせるみたいに、振り向いた彼女は瞳いっぱいの涙をボロボロと流しながら、わんわん泣き始めた。


「ごめんね、凪沙くん。あたし、バカだけど、もういいよなんて言わないから、文芸部なくなっちゃうの嫌だから。これからは、もっとちゃんとするから」

「……んなこと言うなよ」


 先輩がよくやっていた。見よう見まねで、ポニーテールの頭を恐る恐る撫でた。

 きっと、誰よりも寂しがっているのは真城だ。明るい笑顔の裏に傷つきやすい心があるのも、真城だ。それに気づいてやれるのは、恐らく、自分だ。


「話してくれてありがとう。俺も、部活なくしたくない。だから、一緒に守っていこう」

「できるかな……?」

「できる。だって、俺たちはあの人たちの後輩だから」


 必死の思いで受け継がせてくれた。それを無駄にしたくない。絶対に、させない。


「気持ちで負けんな。他の誰でもない、俺たちじゃなきゃダメなんだよ。小峰」


 涙をセーターの袖で拭い、真城はさっきとは打って変わった凛々しい目で凪沙を捉えた。キリッとした顔つきに安堵しつつ、どこか物足りなさを感じた。

 ーーあ、そうか。

 俺、小峰の笑った顔が好きなんだ。


「ふえ?」


 マヌケな声で我に返る。ポカンとこちらを見つめる真城に疑問を感じたが、やがて自分の言葉を口に出してしまったことに気づく。血の気が引いたような、沸き立つような奇妙な感覚に飲まれるより早く、大きな笑い声が耳を貫いた。


「あは、あはははッ!! な、なにそれ!? すっごいキザだよ凪沙くん! 初めて聞いたそんなマンガみたいなセリフ!! あははは! あ、腹筋痛い!」


 俺だって初めて言ったよ。

 恥ずかしいやら呆れたいやらで溜め息を吐くが、キャーキャー笑い転げる真城を前にした途端、どうでもよくなってしまう。久しぶりのその笑顔は、三月の夕陽にとてもよく似合っている。

 散々騒いだのち、どちらからともなく帰ろうと裏庭を出ようとして、凪沙の目が一輪のチューリップに止まった。思わず、あ、と声を上げれば真城が得意げに胸を張った。


「ふふん、それはね、あたしとかぐーー」

「小峰と御崎先輩が植えたんだろ」

「え! なんで知ってるの!?」

「なんでって、それは……ん?」


 なぜだか、どうして知っているのか思い返せない。いくら首を傾げてみてもラチが明かないので、凪沙は考えるのをやめた。


「いつかは忘れたけど、小峰が喋ったんだろ」

「あたし喋ってないよ? ブチくんには話したけど」

「誰それ」

「猫ちゃん」

「猫に話しかけてんのかよ……」


 何となく頭のどこかに映像がよぎった気がしたけれど、今日はもう疲れたから何も考えたくない。でも昨日より、スッキリと爽快感ある脳を取り戻したようだから、良しとしよう。

 今度こそ裏庭を出ながら、真城と並んで歩く。


「そういえば凪沙くん、今日の授業全部サボったね。茜先輩に似てきたんじゃないのー?」

「いや小峰の方がそっくりだからな。琴平先輩に聞いてみろよ、俺よりお前を選ぶはずだから」

「そんなことないもん! ていうか、今日ずっと裏庭にいたの? 全然気づかなかった」

「え、いや……自分でも分かんないんだけど、今日一日のことよく思い出せない」

「ふーん……ふへへへ」

「え、なんで急に笑ってんの怖い」

「あのねー、あたしは凪沙くんが猫被らないて、ぶつかってきてくれるところが好きだよ。信頼されてるみたいで」

「……されてるんじゃなくて、してるんだよ」

「凪沙くん今日デレデレだね!? いつものツンはどこに行ったの!」

「俺、松野先輩より素直だから」

「うっそだぁー、どっこいどっこいだよ。理久先輩に聞いてみなよ、同じだって言うはずだから」


 目を合わせて、数秒ののち、二人揃って吹き出す。

 くだらない話を友達とすることが、こんなにも楽しく愛おしいのだと、一年前の自分に教えてあげたい。笑い声と楽しげな会話は住宅街の小道に柔く響き渡る。

 夕暮れに夜の色が混ざり始めた道を、黒い影が二人分、歩いていく。その後ろ姿を見送ったそれは、小さく鳴き声を上げると、長い尻尾をひるがえし、夕闇へと消えていった。

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