表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第三章  高校3年生5月
81/111

転校生はトラブルメーカーですか!?その1

 いよいよ、彼の登場です。

 GW(ゴールデンウイーク)明けの最初のHR(ホームルーム)


 前日の疲れが残っているせいか、すごく眠い。


 昨日はGW最終日だったから、お客様が多くてヴェルさんもさすがに行列を作ってた。


 今日はヴェルさんの苦手な人がいる喫茶店のバイトだと、遠い目で教えてくれたけど大丈夫かな?


 なんてことを考えながら、教室内を見る。


 教室内は転校生がやって来るということで、大変盛り上がっていた。


 その気持ちわかるよ!


 季節外れの転校生!?

 

 その正体は超能力者!?


 それともなぞの組織の一員で超美少女!?


 そして非日常に巻きこまれて穏やかな日常の崩壊!?


 いや、すでに向井様の下僕になってるから非日常は毎日か。


 まあそうでなくてもうちの学校は穏やかなんてとてもいえないけど、それはツッコまない方向で!


 阿部先生が転校生を教室へ入るように声をかける。


 廊下側前方の扉が開き、転校生が教室へと入ってくる。


 その瞬間、教室内から音が消えた。


 転校生の足音は黒板の前で止まる。

 

 向井様と同じくらいの身長にスラリと長い手足、丸い大きな少しタレてる目。


 どことなく優しそうな甘い顔立ち。


 クラス中から向けられる視線が落ち着かないのかキョロキョロしている。


 なんかわんこ系イケメンだなあ。


 もふもふな耳と尻尾がよく似合いそう。


 ばっちりと目が合ったと思ったら、ぱぁあああっと顔を輝かせて私の方へ突進してきた。


 突進じゃなくて、向かってきたじゃないかって?


 自分よりも大きな人が机を吹き飛ばす勢いで向かってくるのを、突進といわずになんというの!?


 あとね、自分の身長よりも大きな人が向かってくるって超怖いんだね!?


 できれば一生知りたくなかったよ!


 机を挟んで目の前に立ったその人は私の手を両手で掴んで、叫ぶようにいった。


「俺の大好きな憩ちゃん!生憩ちゃんだー!やったー!俺超嬉しい!同じクラスってやっぱり俺達は運命で結ばれてんだね!でも会えなかった間俺すごく寂しくてずっと会いたかったんだよ?だからもう二度と離さないからね!ずっとずっと一緒にいよう!」


 会って数秒の異性に熱烈な告白(みたいなもの?)をされました。


 正直、嬉しいって思うよりも恐怖が湧いてくる。


 怖い!超怖いよ、この人!?

 南並さんとは違った意味で怖い!


 ヤンデレは二次元だけで結構です!

 現実(リアル)ではただの犯罪ですからね!


 今ならnewさんに迫られるフォールさんの気持ちがわかるかも……。 


 ヤンデレに迫られるなんてどんなドッキリですか!?

 相手を間違えてません!?


「あの……どちら様ですか?」


 勇気を振り絞ってなんとか声を出す。


 声が震えてしまったことはつっこまないで! 

 コミュ障だからしかたない! 


「憩ちゃん、ひどい。俺のこと忘れちゃった?俺達あんなに一緒にいたのに」


 転校生は目を潤ませ、すがりつくような声を出した。


 なに、この人!?

 城野様や瑞貴ちゃんよりもあざとかわいいよ!?


 こんないい萌えを提供してくれる人を忘れるはずがないんだけどなあ……?


「す、すみません」


 とりあえずぺこりと頭を下げる。 


 転校生は気にしないで、といってにっこりと笑った。


 あれ?強引な人かと思ったらいい人だ。


「それじゃ改めて自己紹介だね!俺の名前は筧寛(かけいゆたか)。憩ちゃんと同小で小六ん時に引っ越したんだよ」


 ……ん?今聞き覚えのある名前が聞こえたような?


 しかも最近聞いたばかりの名前で、同小で引っ越した仲の良い男の子?


 心当たりは一人しかいないけどまさかね?


 半信半疑で彼の愛称を口にした。


「……………もしかして、ゆーくん?」


「思い出してくれたの!?そうだよ!憩ちゃんの彼氏の寛だよ!」


 転校生ことゆーくんは満面を笑みを浮かべて、爆弾を落とした。


「えっ!?」


 向井様達と驚きの声が被った。


「違います!彼氏じゃないです!小学校の友達です!」


 慌てて誰にでもなく否定する。


 こんなにかっこいいゆーくんが残念な私の彼氏なんてとんでもない!


「そんな照れちゃって可愛いなぁ。憩ちゃんは小学生の頃から可愛かったけど今はもっと可愛いね。もっと好きになっちゃった」


 ゆーくんは胸焼けしそうなくらいの甘い笑顔を私に向けた。


 そんな素晴らしい笑顔をもらえるなんて私は幸せものかもしれない。


 ただし、さっきからセリフが残念すぎる。


「こいつの目節穴なんじゃねえの?」


 複雑な気持ちですが、激しく同意します!


 私はゆーくんがいうほど可愛くない。


 可愛いっていうのは瑞貴ちゃん(男の娘だけど)みたいな人のことをいうんだよ。


 ふいにゆーくんが手を離して私を強く胸に抱きしめた。


 視界が真っ暗になって、耳も塞がれて音が聞き取りにくくなる。


 小学生の頃からよく抱きしめられてたから恥ずかしいとは思わない。


 でもね?


 意外に筋肉ある!

 脱いだらすごい引き締まった体の着痩せするタイプと見た!


 友達とはいえ、多少興奮するのはしかたないよね!


 なんかバニラみたいな甘くていい匂いもする!?


「                  」


 ゆーくんがなにがいったみたいだけど聞き取れない。


 力が抜けたのを見計らって離れると、教室中の雰囲気が凍りついていた。


 この短時間にゆーくんは一体何をしたんだろう?


 教室を見渡すと全力でそらされた。


 向井様さえも視線を合わせてくれない。


 ゆーくんに視線を向けると首をかしげられた。


 あざとかわいい!

 ……じゃなくて!


 これはもしかして……ゆーくんじゃなくて私がなにかをしたパターン!? 

  

 え?ええ?心当たりが多過ぎてわからない。


「筧くん、席についてください」


 阿部先生の言葉で教室がほっとした雰囲気に包まれる。


 ほんとになにがあったの!?


「はい」


 ゆーくんはあっさりと私から離れて、右隣のもみあげが長いお兄さんに話しかけた。


「俺と席を交代してくれる?」


 さっき話しかけた時と違う普通の声。

 表情は背中を向けられているせいでわからない。


 なのにもみあげお兄さんは青ざめた顔で激しく上下に頭を振って、荷物を片手にゆーくんへと準備されていた席へと移動した。


 その間、わすが数秒。


 ゆーくんはゆっくりとその席に座って、荷物を机の横にかけていった。


「憩ちゃんの隣は俺の特等席だよね」


 そして大変満足そうに微笑んだ。


 私は引きつった顔を浮かべることしかできない。


 久しぶりに再会した友人はいろいろと私の予想を越えた成長をしたようです……。


 これからの日々に胃がキリキリしてきた。


 胃潰瘍になる日も近いかもしれない。

 年が明けてからだいぶ経ちましたが、新年明けましておめでとうございます!

 

 今年も憩達をよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ