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腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第二章  高校3年生4月
73/111

どちらさまですか!?

 『おま、いう!?』

 和貴へ何度ツッコミを入れたのかわかりません。 

 次の日から学校に行っても瑞貴ちゃんに会わなくなった。


 加東先生に理由を聞くと、家庭の事情で転校したっていわれた。


 そういわれればそれなら仕方ないよね、と無理やり納得するしかない。


 だって私には瑞貴ちゃんを引き止める力なんて持ってないんだから。


 関元様や城野様と仲が悪くて困っていたけど、瑞貴ちゃんのことは好きだったから寂しい。


 あ、好きっていってもかわいい後輩っていう意味でそれ以上の意味はないよ!?


 ただ新学期前の日常に戻っただけなのに、瑞貴ちゃんの存在は思ったよりも私の中で大きかったみたい。


 いつもどこか物足りないような気がする。


 あんなインパクトがある人と仲良くなったらそうなるのかもしれない。


 それでも毎日が過ぎていくわけで、今日は土曜日のバイト日。


 商品を棚に並べながら考えるのは瑞貴ちゃんのこと。


 元気にしてるかな?


 瑞貴ちゃんならきっと新しい学校でもすぐに馴染めると思うけどね。


 探しに来てたお兄さんの和貴さんには会えたかな?


「すんませ〜ん」


 背後からお客様の呼ぶ声に現実に帰る。


「あ、はい!なんでしょうか?」


 振り返ると一人のお兄さんが立っていた。


 四分一様より少し低い高身長に褐色に焼けた肌に着崩した制服。


 野性的な顔立ちにサングラスをかけ、赤茶色の髪を逆立てている。


 口を開く時に見える八重歯がワイルドだけど可愛い!


 この人はワイルド系イケメンだ!


 だからか土曜の親子連れでにぎわう昼過ぎに似合わなさすぎる!


 歓楽街のナンバー付きホストっぽい。


「エロ本探してんだけどどこあんの?」


 ……聞き間違いだろうか?

 絶対にそうだ。


「すみません。聞き取れなかったのでもう一度いってもらえますか?」


「エロ本どこあんのって聞いたんだけど?」


 聞き間違いじゃなかった!?


 え?ここスーパーだよね!?

 コンビニじゃないよね!?


 右、親子連れ!左、親子連れ!

 やっぱりここはスーパーだ!

 

 はっ!

 この人は久しぶりにスーパーに来て、コンビニ感覚で買い物してるに違いない!


 スーパーとか数年ぶりに来ましたって感じだしね!

 

 そういうことならしかたない。


 丁寧にスーパーではエロ本を取り扱っていないことをご説明させていただこう。


 お兄さんは私から顔をそらしてクツクツと笑いだした。


 どこに笑うポイントがあったんだろう?

 

「わりい。わりい。冗談だ。さすがに俺でもスーパーでエロ本を売ってないことは知ってんよ」


 あ、知ってたんですね。

 ならよかっ……よくないよ!


 つまりからかわれたってことだよね?


 いくら外見年齢が中学生だからってエロ本くらいで照れたりなんかしないんだからね!

  

 対応にはすごく困ったけど!


「そんなに怒んなって、高槻」


 そりゃバイト中にからかわれたら怒りますよ!


 真面目にしてるってのに最近の若い人は……って!なんでこの人が私の名前を知ってるの!?

 このスーパーの制服には名札ついてないのに!?


 思わず一歩後ずさる。


「あー?まさか俺が誰かわかってねえの?」


 名乗られてないからわかりませんよ!

 

 さっきからなんなんだ、この人。

 自由すぎる。


「瑞貴が世話になったから声をかけたんだけど人違いだったか?」


 今さらそんなことをいいますか!?

 声かけた時点で気づいてくださいよ!


 お兄さんは携帯電話を取り出して何やら操作を始めた。


「やっぱりお前は高槻憩だろ。ついこの間会った人のこと忘れんなって。俺だけ気にしてるみたいで寂しいだろう」


 そういってお兄さんが見せてくれたのは瑞貴ちゃんと一緒に写っている私の写真。


 あ、そういえば前に一度だけ瑞貴ちゃんと写真を撮ったんだった。

 撮った写真は私も持っている。


 でもなんでこの人がそれを持ってるの!?


 ついこの間会ったっていわれても、ほんとにこんなインパクトある人と会ってたなら絶対に忘れてない。


 もしかしてすれ違っただけとか?

 でも瑞貴ちゃんの知り合いっぽいし……。


 ん?瑞貴ちゃんの知り合い?

 

 あーっ!?

 この人、もしかして瑞貴ちゃんのお兄さんの和貴さん!?


「和貴さんですか?」


 確認をこめて名前を聞く。

 これで違ってたら恥ずかしいなあ。


「やっと気づいたのか。お前の記憶力ひでえな」


 和貴さんはまた笑った。

 意外と笑い上戸なのかな?

 

 しかし、ほんとに瑞貴ちゃんと似てないなあ。

 見た目もそうだけど、性格とかもあんまり血の繋がりを感じない。

 

 あ、お母様が違うっていってたっけ。

 ここまで違うとDNAの神秘だよ。 


「瑞貴が『何もいわずに転校してごめんなさい』っていってたぞ」


「寂しいですけど家庭の事情なら仕方ないですよ」


「家庭の事情?」

 

 和貴さんは不思議そうな顔をする。


 まさか違うの!?


「先生にそう聞いたんですが、違うんですか?」


「あーな。そうだった。忘れてたわ」


 忘れてたってそんな大事なことをよく忘れられますね……。


「瑞貴は俺と白藤高校に転校したんだ」


 嘘、ですよね?

 白藤高校っていえば玄博高校と同レベル、いやそれ以上に治安が悪いって評判の学校じゃないですか!?


 そんなところに瑞貴ちゃんがいったらどんな目に遭うか!


「どうして瑞貴ちゃんがそんなところに!無事なんですか!?」


 私が詰め寄ると和貴さんは驚いた顔をして後ずさる。


「無事も何も今日も元気よく野郎をブッ飛ばしてたぞ?」


 元気そうでよかった。

 転校してしまっても可愛い後輩には危ない目に遭ってほしくない。


 あ、和貴さんも同じ学校なんだよね?


「和貴さんは大丈夫なんですか?怪我とか危ない目に遭ってませんか?」


「ははっ!お前、ほんとにいい女だな。胸がCかDくらいなのがおしいわ」


 慌てておっぱいの前を押さえる。


 なんで私のおっぱいのサイズを知ってるの!?

 透視か!透視の能力者か!?


「E以上の女しか抱かないって決めてるから気にすんな。それにお前を抱いたら寛に殺されるからな」


 この巨乳好きめ!

 貧乳もいいのに!


 ゆーくんはほんとに友達思いのいい人だなあ。

 ずっと会ってない私の心配までしてくれる。


「そういえば和貴さんって」


 私の言葉を遮るように携帯電話が鳴った。


「わりい。ちょっと出るわ」


 和貴さんは電話を取り、話し始める。


 その間に私は中断していた仕事に戻った。


「あ?俺がいなくても足りるだろ?……ったく。めんどくせえな」


 いったい何の話をしているんだろう?


 合コンで人が足りないとか?

 何そのリア充。


 いや別に羨ましくないけど。

 和貴さん、モテそうだなあ。


 しばらくして和貴さんは話が終わったようで、通話を切って私の方を見た。


「急用が出来たから帰るわ。またな」


 和貴さんは背を向けて歩き出す。


「はい。また会いましょう。あ、コンビニはスーパーを出て右に曲がって少し先に行ったところにありますよ」


 大きな背中に向かって声をかけたら、なぜか笑われてしまった。


 和貴さんの笑いのツボがわからない。


 姿が見えなくなってから思った。


 あ!?またゆーくんのことを聞き忘れた!


 和貴さんと会った後は何事もなく、バイトを終えた。

 

 ただ一部始終を見ていたヴェルさんにものすごく心配させてしまった。


 でも和貴さんは善人とはいいがたいけど、悪人というほど悪い人に見えなかったんだよね。

Q.主人公(?)高槻憩の第一印象は?


三浦和貴「瑞貴よりもずっとチビで地味な女。俺を見て怯えねえから驚いたな。向井達と一緒にいるくらいだから案外図太い神経してんのかもな」



Q.主人公(?)高槻憩の現在の印象は?


三浦和貴「いい女だな。俺みてえなのを心配すんだぞ?普通ならごみを見るような目をされるか、怯えられるかのどっちかっつーのによ。ただマジで胸だけがおしい。あと少しデカけりゃよかったのに。マジでもったいねえ。あー。俺の手で大きくするってのも手か?あ?どうした、寛?殺気がただ漏れだぞ?」

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