表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第一章  高校2年生3月
7/111

たかが鬼ごっこに本気?

 一日目の鬼、城野涼視点。

 女をぶっ殺したいと思ったことは何度もあるけど、こいつほど殺したいと思った女はいない。


 こいつの名前は高槻憩。

 拓哉さんと同じ歳で地味でチビな眼鏡をかけた女。


 可愛いくも美人でもないやつ。


 そんなやつが胸を触られたとかで拓哉さんを殴りやがった。


 エロ本を見ても平気だった癖に何を女ぶってんだ。


 こいつは湊さんとメアドを交換して、授業を受けるために青白い顔で教室に戻った。


 俺達の場所にいつまでも居座られるものうざかったからちょうどいい。


 当然俺は五時間目も六時間目もさぼった。

 拓哉さん達もさぼって誰かが持ってきたゲームをしていた。


 拓哉さんに頼んで俺は鬼ごっこに参加した。


 放課後を知らせるチャイムが鳴り、俺はすぐに女の教室に行った。

 

 二時間以内に絶対に捕まえて半殺し……いや二度と学校に来ないようにする。

 

 女のクラスの階に着いた時、ちょうど誰かが教室から出てきていた。


 よく目を凝らしてみるとさっきの女だとわかった。


 女も俺に気づき、先に背中を向けて逆方向へ走り出す。


 当然俺もすぐに追いかける。


 逃げるだけ無駄だ。

 俺は二年の途中までサッカー部に入っていた。


 喧嘩でも足の速さを生かして、相手を倒しているし。


 見るからに運動が苦手そうなこいつに捕まるわけがない。

 

 そう思っていたが、女は逃げ足が速くてズル賢かった。


 俺に追いつかれそうになるとわざと走るスピードを緩めて、捕まる瞬間にスピードをあげて俺を転ばせやがった。


 他にも教室を使ってまいたり、どこかに隠れてやり過ごしたりしやがった。


 その間、俺は女を探して走り回るはめになる。


 やっと女を見つけ出し、追いかける。

 

 今度は二度と逃がさねえ!


「拓哉さんのためにさっさと捕まりやがれ!このクソ女!」


 こいつは涙目で息を切らしながらも足を止めない。

 

 マジでむかつく。さっさと捕まれよ。


 なんだかんだで一時間以上追いかけている。

 このままじゃ時間切れになっちまう。


 わがままをいっておいて女を捕まえられなかったら、拓哉さんに失望されてしまうかもしれない。


 少しずつ焦りが浮かぶ。


 何の前振りもなく、女がその場に立ち止まる。


 すぐに捕まえたい気持ちを押さえて様子をみる。


 同じ手を何度も食らうかよ。


 しばらくして息を整えた女が顔を上げた。

 

 覚悟を決めた。

 そんな顔をしている。

 

 だが俺には関係ない。

 こいつを捕まえて拓哉さんの前に差し出す。

 それだけだ。


「わ、私と取引しませんか?」


 馬鹿なことをいい出したと思った。


 お前なんかと取引する意味なんてねえし。

 

「取引?なんの?」


 でも一応聞いてやる。


「見逃して下さるなら向井様に二度と近づきません!」


「はあ?」


 こいつ拓哉さんにあんなことをしておいてまだ許されると思ってんの?


 命知らずの馬鹿だろ。

  

「捕まったら私はもう一度向井様にお会いすることになります。私は向井様と同じ空間、いえ。同じ空気を吸うことさえもおこがましいほどの微生物にも劣る存在です。そんな私が向井様のお望みであってもお会いするのはどうかと思うのです」


 目を伏せ胸に手を当てて大人しい女のように俺を見てくる。

 

 さっきまでなりふり構わず逃げていたやつはどこにいった?


 同じ空間にいたくないっていう意味はなんとなくわかる。

 拓哉さんが本気で怒ると超怖いし。


 けど同じ空気を吸うのもおこがましいってなに?

 

 いい方が気持ち悪い。


 人間なんだから空気を吸うのは当たり前でしょ。 


 マジキモい。

 死ねばいいのに。


「お前のいいたいことはよくわかんねえけど、拓哉さんに会いたくねえってこと?」


「いえ私ごときが向井様にお会いするなんて身の程知らずもいいところです!」


 女は必死に話し続ける。


 俺らに喧嘩を吹っかけてきて、やり返されて命乞いするやつらに似ているかもしれない。

 

 やつらはこんなこといわねえけど。


「あっ……そう」


 こいつの考えが理解できない。

 同じ生物だと思いたくもない。


 女の顔が傷ついたように歪んだ。

 なに落ちこんでんだ?


「ほんとにあんたを見逃せば拓哉さんに会わねえの?」


「それはもちろんです!」


 女は縦に大きく頭を振った。


 ただし、“向井様から私に会いに来ない限りは”と顔に書いてあった。


 拓哉さんの命令は俺にとって絶対だ。


 でもこんなキモイやつを拓哉さんに会わせたくない。


「……わかった。見逃してやる」


 拓哉さんの手を煩わせず、鬼ごっこが終わった後に俺が学校から追い出せばいい。


 女は嬉しそうに輝くような笑顔を浮かべた。

 そういう顔も出来るんのかと少し感心する。


 だけど俺は天高く登っていた女の気持ちを地面に叩きつけた。


「だけどあんたが裏切ったらオレがあんたを半殺しにしてやるからな」


 大人でもビビる鋭い視線で女を睨むと、面白いくらいに顔色がなくなった。


 時間まで二十分もない。

  

 俺は女をその場に残し、拓哉さん達がいる音楽室へと向かった。


 一般の教室から旧校舎まで少し遠い。


 わざとゆっくりと歩いて、音楽室へと向かう。

 

 拓哉さん達になんて報告しよう。


 考える途中で下校時間を知らせるチャイムが校舎に鳴り響いた。


 けっきょく俺は取引をしたことの他は全て報告した。


 拓哉さんは舌打ちをして、なぜか湊さんは驚いて、悲しそうな顔をしていた。

 

 なんであんたがそんな顔すんだ?


 聞いても答えはくれなかった。

 

 俺の見間違いかもしれない。


 でも納得は出来なかった。


 あんな女、さっさと学校を辞めればいいのに。

 

 

 城野の主人公の評価が辛いです(笑)


 仲良くなれる日は遠い……っ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ