新学期はサバイバルですか!?その14
やっと知る事実。
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嬉しさと動揺で寝起きの頭が一瞬で覚めました!
ありがとうございます!
これからも高槻とにぎやかな仲間達をよろしくお願いします!
入学式から二十二日目、瑞貴ちゃんと仲良くなってから十九日目。
私はもう限界だった。
だから四時間目が終わると同時に、最後の避難場所である保健室へ脇目も振らずに駆けた。
保健室の扉にはまだ『赤紙』が貼り付けてあるけど、知ったことじゃない!
扉をつかんで体を滑りこませるように中に入った。
そして。
「先生!私、もう無理ですぅううう!」
半泣きで近くにあったテーブルに突っ伏した。
「うるせえ。今、お前の相手をしてる暇はない」
加東先生は私の方を見向きもせずに怪我人の治療を続けていた。
忙しいのはわかりますけど、ちょっとは心配してくださいよ……。
カウンセリングも先生の仕事ですよね?
「そんな泣きそうな顔をしてどうしたんです?なにか嫌なことでもありましたか?」
さすが阿部先生!
優しさがちがう!
……って!?
どうして阿部先生がここに!?
思わず顔を上げれば、優しく微笑む阿部先生が怪我人の治療をしていた。
そこのお兄さんうらやましい!
私も加東先生じゃなくて阿部先生に治療されたい!
「阿部先生はなんで保健室に?はっ!?加東先生に面倒を押しつけられ……ったい!?」
「人聞きの悪いことをいうな。怪我人があまりに多いから阿部先生の善意で手伝ってもらっているだけだ」
いつの間にか背後に周っていた加東先生が私の頭を分厚いファイルではたいたのだ。
「だからってファイルで殴らなくてもいいじゃないですか!これって体罰ですよ!」
「体罰じゃない。覚えの悪い生徒のための教育的指導だ」
「ああ、なるほど……って!?遠回しにバカにしてませんか!?」
覚えの悪いって心外だ!
こう見えても携帯獣の初期から現代まで全部いえますからね!
「遠回しじゃなくてけっこう直接的だろ」
加東先生はほんとにひどい!
阿部先生の爪の垢でも煎じて飲めばいいのに!
「ふふ。お二人は本当に仲がいいですね。まるで年の離れた兄妹のようですよ」
「兄妹なんてとんでもない!こんな意地悪な兄はいやです!」
「俺の方こそこんな可愛くない妹はいやだ」
「加東先生、ひどいです!自覚ありますけど!」
でも私よりも阿部先生と仲良くしてくださった方がおいし……。
べ、べべ、別になにも考えてませんよ!?
加東先生が受けだったらいいなとか思ってませんから!
だから加東先生!
そんな怖い顔でにらまないでください!
「私がここにいるのは暇だからですよ。準備室に来てくれるのは高槻さんと三浦さんくらいのものですから」
阿部先生が優しすぎる!
ふつう暇だからって他人の仕事を手伝う?
少なくとも私は見返りがなかったら手伝わない!
もう拝みたいくらいにいい人です!
「……三浦?阿部先生もあいつを知っているんですか?」
「はい。高槻さんと仲がよくて、たまに準備室に来て一緒にお昼を過ごしてるんですよ。そうですよね、高槻さん?」
「あ、はい。そうです。この学校で初めての女の子の友達ですね」
ほんとはたまにじゃなくてほぼ毎日なんですけどね……。
瑞貴ちゃんって強引なところあるから。
「三浦は女子生徒じゃないぞ」
加東先生はなんでもないことみたいに爆弾を落とした。
瑞貴ちゃんは女の子じゃない?
じゃあつまり……
「瑞貴ちゃんは幽霊なんですね!」
「……お前の頭につまっているのはスポンジか?」
心底呆れたような顔をする加東先生と、困った生徒を見るように苦笑する阿部先生。
スポンジって!?
確かに私はバカですけど、そんなにスカスカじゃないですよ!?
「前にお前と三浦が一緒に来た時に気になることがあったから少し調べたんだ。そしたら新入生に『三浦瑞貴』なんて名前の女子生徒はいなかった。同名の男子生徒はいたがな」
瑞貴ちゃんのことが気になったって……加東先生は女子高
「……ったい!?」
「またくだらねえこと考えてただろう?」
加東先生は何者なんだ!?
私の考えを読めるなんてエスパー!?
「お前は考えてることが顔に出てるぞ」
なんと!?
だったらR18な脳内もただ漏れだったってこと!?
それなんて広範囲セクハラ!?
「全部は出てないから気をつけろ」
肝に銘じます!
「話は戻りますが、三浦さんが女子生徒ではないというのは本当ですか?」
阿部先生が不思議そうな顔をする。
あ、そっか。
阿部先生と瑞貴ちゃんってあんまり接点ないよね。
授業とか生化学準備室で会うくらい?
「本当ですよ。生徒名簿を調べましたから」
加東先生って阿部先生に対しては敬語なんだ。
年上で先生としても先輩だから当たり前か。
でもなんか違和感がハンパないなあ……。
あとさらっといったけどそれって一教師の権限を越えてませんか?
「養護教諭の権限は越えてない」
加東先生がいうとなんでこんなに嘘っぽく聞こえるんだろう?
校長先生とかと裏でなんか取引してそう。
「……ったあ!?そんなに殴らないでくださいよ!これ以上バカになったらどうするんです!?責任を取ってくれるんですか!?」
またファイルで叩かれた。
加東先生の変態サディ……嘘です!ごめんなさい!
だからその手に持ったファイルを降ろしてくださいませ!
「ったく。お前は本当に学習能力がないよな」
うぐっ!?
返す言葉もございません……。
その後は治療の手伝いをさせられました。
やっと手が空いた時には昼休みが残り十分しかなくて、お弁当をお腹に詰めこんで教室に帰った。
……あれ?
私は何をしに保健室に行ったんだっけ?
Q.休日の過ごし方は?
関元湊「拓哉と一緒に過ごすことが多いかな。家にいると少し気まずくてね」
Q.好きなタイプ(恋愛対象)は?
関元湊「上品な人かな。何気ない動きが綺麗だとついつい見てしまうんだ。例えば箸の使い方や食事の摂り方が綺麗な人とかね。言葉遣いが綺麗な人も素敵だと思うよ。つまり俺は身近にあんまりいないタイプに惚れるみたいだね」




