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腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第二章  高校3年生4月
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新学期はサバイバルですか!?その13

 久しぶりの葉山様。

「爆発は芸術だぁあああ!」


 私は建物の影から、地球を土足で踏みにじる地球外生命体(エイリアン)に大量の手榴弾を投げつけた。


 着地の衝撃を受けて爆発したそれらは小さな凶器となって相手を切り裂き、爆風が肌を焼く。


「『いっちゃん』!前に出すぎだ!」


 通信機越しに背後の建物影から狙撃をしていた『イエロー』の少し焦る声が聞こえる。

 

「『イエロー』、大丈夫です!まだ行けます!」

 

 私は銃を構え直し、正面へ向ける。


 いくたびもの戦いでやつらはこの程度で死なないとわかっている。

 

 爆発による砂埃が収まって見えたのは、立ち上がって向かってくる地球外生命体。


 その数は百を優に超えている。


 仲間の死体を踏み越えながら攻めてくる姿はホラーだ。


「ちっ!こいつら何体いやがんだ!このままじゃ防衛ラインを突破されるのも時間の問題だぞ!」


 『レッド』が急所の頭を撃ち抜くも数が多すぎる。


「諦めるのはまだ早いです!元に戦った亡きアンディーのためにも地球は私達が守らなきゃいけないんです!」


 脳裏にはお調子者だった彼の笑顔がはっきりと思い浮かぶ。

 

 来月には幼馴染みと結婚するっていってたのに!


「待て!早まるな!」


 『ブルー』の制止を振り切って、私は建物の影から飛び出し、地球外生命体の前に立ちふさがった。


「これ以上!好き勝手にさせない!」


 みんながいるこの地球を守るために誰かがしなくちゃいけないなら、私がやる!


 タイミングを見計らって、標準を地球外生命体の額に合わせる。


 次々に倒れる地球外生命体。


 しかし、同時に仲間達も命を落としていく。


 それでも立ち止まってはいられない。


 亡くなった仲間達のためにも!

 各国の核シェルターに避難した人々のためにも!

 

 未来を守るためにも!


 私達は地球を守らなくてはならない!


 地球外生命体を止める手段はただ一つ。


 やつらの親である女王を殺すこと。


 女王は乗ってきたUFOの深部にいるといわれている。


 深部へ近づくほどに敵の数は増えていく。


「私達の邪魔をす「うるさいわよ」


 後頭部からなぞの攻撃を受けた。 


 そこにはなにもいなかったはずなのに!?


 振り返ると呆れた顔をした葉山様が雑誌を片手に立っていた。


 ただの雑誌でも葉山様が持つとおしゃれに見えるから不思議ですね。


 雑誌の見開き特集ページに使われそう。


「ゲームくらい静かにできないのかしら?部屋の外にまで聞こえてたわよ」


 今、私は旧音楽室で『EARTHGUARDERアースガードナー』というゲームをしていた。


 通称『E・G』でタイトルの通り、地球を狙ってやってくる地球外生命体から守るガンアクションゲームだ。


 四人までの協力プレーが可能。


 今日は入学式から十五日目、瑞貴ちゃんと仲良くなってから十二日目。


 関元様と城野様と瑞貴ちゃんと仲の悪さは折り紙つきで、会うたびに口喧嘩になる。


 特に城野様は誤解が解けてからいつも通り……いやいつも以上に私にかまうようになった。


 三人の間で板挟みになる私には毎日多大なストレスがかかっている。


 そこで今日はゲームでうさを晴らそうと思ったのだ。  


 我慢は体に良くなっていうしね。


 プレイヤーは前に私をここへ呼び出した虎狩りさん達なんだけど、話してみるといい人達で掃除が終わると一緒にゲームを楽しんでくれる。


 貴重ないい人達です。


 あと虎狩りさん達は赤・黄・青の髪色をしているから、まとめて勝手に『信号機頭(シグナル)』さんって呼んでる。 

 

「すみませんでした!」


 コントローラーを手放して四人で葉山様に頭を下げる。


 あ、一時停止(ポーズ)画面にするの忘れた!?


 焦る私に黄さんがグッと親指を立ててくれた。


 ああ、よかった〜。

 黄さんがやっててくれたのか。


 怒られている間にやられてたとか笑えないよね!

 ありがとうございます!


「まあいいわ。次から気をつけなさいよ」


「ありがとうございます!」


 来たのが葉山様でよかった!


 これが向井様ならもっと怒られてただろうね。

  

 そんな向井様は喧嘩を売られてどこか別の場所にいるらしい。


 関元様達も同じく。


「湊に聞いたんだけど、アンタは五月五日のバイトは休みなのよね?」


 バイトのシフトを思い出すと確かにそうだった。


「その日は休みですけど、なにかあるんですか?」

 

「アタシのために空けておきなさい」 


 その日は撮り溜めたゴールデンウィーク特別アニメやシリーズ物の一気放送を見る予定なのに!?


「え!?えっと……その日は予定がありまして……」


 今から楽しみにしてるのに流されてはたまらない!


 なんかすごーくいやな予感もするし!


 葉山様はニッコリと笑って私との距離を詰める。


「それは“俺”よりも大事“か”?」


 葉山様は器用に片手で私の両手を拘束すると、眼鏡のブリッジを長く綺麗な指で強く押す。


 ぐりぐりと鼻に押されて痛いです!


「すみません!私の勘違いでした!喜んで空けます!」

 

 私のギブアップ宣言に葉山様はようやく手を離してくださる。


 離れても痛いなんて、きっと(あと)ついてるよ……。


 それにしても葉山様はやけに手慣れてたなあ。


 もしかしてよくやってるとか!?

 片手で両手拘束プレイとか萌える!


「……ったい!?」


 いやらしいことを考えていたらデコピンが飛んできました。


「なに馬鹿なこと考えてんのよ」

 

 はっ!?

 なぜバレたんですか!?


 もしや葉山様はエスパーですか!?


「アンタがわかりやすいだけよ。いい?絶対に予定を空けなさい。もし都合が悪くなったら……わかる“よな”?」


「イエッサー!」


 素晴らしい笑みを浮かべる葉山様へ最上位敬礼をとる。


 だって背後に大蛇の幻影が見えるから。


「じゃあアタシはこれで帰るから拓哉達にいっておいて」


 葉山様はそういって部屋を出て行く。


「行ってらっしゃいませ!」

 

 葉山様の美しい背中へお見送りの言葉をかけた。


 その後はゲームの続きを放課後が終わるまでやって、家に帰った。


 五月五日ってなにかイベントあったっけ?


 そんなことを考えながら眠りについた。

Q.休日の過ごし方は?


葉山蓮「兄弟達の面倒を見たり、家事したり、買い物したり、仕事したりしてるわね。家族が多くて両親が共働きだと忙しいのよ」


Q.好きなタイプ(恋愛対象)は?


葉山蓮「そうねえ……静かな人かしら?何もいわなくても側にいるだけで安心できるようなそんな人がいいわ」

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