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腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第二章  高校3年生4月
64/111

新学期はサバイバルですか!?その11

 何気に対抗する関元様。

 五時間目と六時間目を無事に終えて、また急いで教科書とかを鞄に詰める。

 

 今日はバイトの日だから掃除はない。

 

 机の中を覗きこんで忘れ物がないかチェックして、鞄を持って立ち上がると関元様に話しかけられた。


「高槻さん、一緒に帰ってもいいかな?」


 なんかデジャブ。


 お兄様方とお姉様方の突き刺さる視線が痛いです。

 私ごときが関元様と会話してすみません!


「でも今日はバイトですよ?」

 

 やんわりとお断りしてみた。


「知ってるよ。どうしても話したいことがあって途中まででいいから一緒に帰らせてくれない?」 


 関元様はちょっと困ったような顔をする。


 周りの方々の視線に殺気がプラスされました。

 痛いを通り越して、ざくざくと突き刺さってます!


「わかりました。ちょっと急ぎますけどそれでもいいのなら……」


 この状況で断るなんて恐ろしいことは出来ません。


「ありがとう。じゃあ行こうか。拓哉、蓮、正義。俺は高槻さんと先に帰るから涼にいっておいて」


 関元様はあっさりと笑顔になる。

 

 あれ?もしかしてさっきの困った顔はわざと……?

 いやいや。関元様がそんなことをするはずがない、よね?


「お先に失礼します……?」


 よくわからない挨拶を向井様達にして、関元様の背中を追った。


 下駄箱で靴を履き替えて校舎を出る。


 関元様はさりげなく私の歩く速さに合わせてくれる。

 

 これが顔だけじゃないガチのイケメンか!?


 周りの視線がぐさぐさと刺さるけど、気にしないふりをする。

 聞こえるように囁かれる陰口もね。


「春になって暖かくなって虫が増えたのかな?耳障りな音がよく聞こえるね」

 

 そんなに大きな声じゃなかったのに関元様の声は周りにとおった。

 

 あと関元様の笑顔と背後にどす黒い何かが見えるのは私だけじゃなかったみたいで。


 周りの人達の声がぴたりと止んで、視線も離れた。


 さすが関元様だ。

 周囲を一言二言で静かにさせるなんて伊達に向井様と一緒にいるわけじゃない。


「今朝のことを正義から聞いたんだけど、涼が勝手なことをいってごめんね」

 

 関元様にとって周りの人達の反応はどうでもいい物らしい。

 いつもみたいに話しかけてくださったけど、びっくりしてちょっと反応が遅れてしまった。


「あ、いえ!?気にしてません!それより城野様は何かいわれてました?」


「高槻さんを怒らせてしまったって勘違いして落ちこんでたよ」


 うわあ。私が逃げたばっかりに落ちこませてしまったみたいだ。

 

 しょんぼりオーラを全身から出して膝を抱えて地面にのの字を書く城野様が頭の中に浮かぶ。


「私の方こそすみませんでした。ちゃんと否定すればよかったです」


「気にしなくていいよ。涼は昔から思いこみが激しいところがあるから」


 関元様は笑ってくださるけど、城野様からしてみれば笑いことじゃないよね。

 

 明日会ったらしっかり謝ろう。


「憩せんぱーい!」

 

 聞き覚えのある声に振り返ると瑞貴ちゃんが私達の方へ走ってきていた。


「今から帰りですか?」


 追いついた瑞貴ちゃんは私の右隣に並ぶ。

 

 あ、関元様はずっと左隣を歩いてました。


 けっこう距離があったのに瑞貴ちゃんは息を切らしもしていない。

 体力あるなあ。


「そんなところだよ。瑞貴ちゃんは?」

 

「私も今から帰るところなんです~。途中まで一緒に帰ってもいいですか?」


 瑞貴ちゃんは眉を下げて、目を潤ませて懇願する。


 胸が撃ち抜かれたような衝撃が走った。

 

 これが女子力か!?

 可愛い!


 でも今日は関元様も一緒だ。

 

 意見を求めて関元様の方を見ると瑞貴ちゃんを冷めた視線で見ている。

 

 昨日、あんなことをいわれたんだからそんな反応になりますよね。

 

「あ、あの今日は」


「いいよ。一緒に帰ろうか」


 予想外の言葉は関元様の口から飛び出した。

 

 驚いて見上げると目が合った。

 その目は冷え切っていて感情が読めない。


「あ~。関元さんもいたんですか?お邪魔虫は一人で帰ってくれません?」


 瑞貴ちゃんは昨日と同じく関元様に毒を吐く。


「それをいうなら後からいい出した君が先に帰るべきだよね?俺は寛大だから一人くらい増えてもいいと思うのに。それとも俺にいえないことを“いっちゃん”にいうつもり?」


 瑞貴ちゃんは露骨に嫌そうな顔をする。


 今、何気にいっちゃんって呼ばれたけど聞き間違いだよね!?


「そこまでいうなら寛大な私は一人くらい増えても許しますよ」


「寛大じゃなくて狭量の間違いじゃないかな?」


 二人の間で盛大な火花が散る。

 

 なんでこんなに仲が悪いのに一緒に帰る流れになっているんだろう。

 喧嘩をするほど仲がいいとかいうレベルじゃない。


 存在自体が合わないって感じ。


 この調子が続くなんて胃に厳しすぎる!

 いっそ一人で帰りたい!


「くだらい話はここまでにして帰ろうか」


「そうですね。憩先輩、帰りましょ!」


 瑞貴ちゃんは私の腕を取って、自分のそれと絡ませる。

 

 え?ちょっと距離が近過ぎませんか!?


「いっちゃんはそういうの嫌いだからやめてくれないか」


 やや強引に瑞貴ちゃんから引きはがされる。


 瑞貴ちゃんは不満げに頬を膨らませるけど関元様は気にしない。


 そんな感じで終始、不機嫌な二人に挟まれてバイト先まで送っていただきました。

 

 バイトが始まる前から精神的に疲れるとか、もうこれからは一人で帰ろう。


 そう心に決めて私は制服に着替えた。

Q.主人公(?)高槻憩の第一印象は?


三浦瑞貴「童顔で小柄だけど胸は年相応の大人しそうな女の子ですね~。筧先輩の好きな人じゃなかったら手を出したのに残念」



Q.主人公(?)高槻憩の現在の印象は?


三浦瑞貴「普通の女の子みたいに見えて実際は全然違いました~。予想外の言動が多くてそこがまた面白いんです。筧先輩もそういうところが好きなのかなって思います。ただ隙が多すぎて見ていて危なっかしいです!憩先輩はもっと警戒心がないとだめですよ!」

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