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腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第一章  高校2年生3月
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お花見ですか!?その8

 未成年の飲酒は法律で禁止されていますので、絶対に真似しないでください。

 逃げちゃだめだ!逃げちゃだめだ!逃げちゃだめだ!


 と、心の中で何回唱えたことだろう。


 波乱に満ちたバトミントン対決が終了後、私は再び強面のおじさま、おにい様達に囲まれている。


 うん。胃に穴があきそう!


「憩ちゃん、どこ行ってたんだ?」


「拓哉が心配してたぞ?」


 心配?違いますよ!


 途中で私が逃げ出したから捕まえに行っただけです!


 なんていえるわけもなく。

 

「友達に会いまして話しこんでたんですよ。途中で探しに来てくださった向井様達と一緒にバドミントンしました」


 本音を隠しつつ、愛想笑いを浮かべながら事実を話す。

 

「そうだったのか。なら喉乾いたよな」


「これ飲むか?」


 一人のおにいさまが五百ミリリットルの缶ジュースを差し出てくれる。


 初めて会った時から思ってたけど、何気にみなさん気さくで優しい。

 

「ありがとうございます!いただきます!」


 こういう時はもらったほうがいい時もある。


 下手をすると受け取るかで押し問答になっちゃうからね。


 ちょうど(極度の緊張で)喉が乾いていたし、せっかくだからもらっておこう。


「ちゃんとお礼がいえるなんて憩ちゃんはいい娘だな!」


 一人のおにいさまの言葉におじさま達は大きく頷く。


 私はおじさま達に何歳に見えているんでしょうか?


 まさか小学生?

 いやいや!?それは流石にない……よね?


 小さいのは身長だけで他は歳相応ですからね!


 やぶ蛇にならないように心の中で弁明しながら、さっそくもらった缶ジュースを開ける。


 炭酸入りだったみたいで勢いよく炭酸の抜ける音がした。


 恐る恐る一口飲んでみる。

  

 爽やかなレモンの味と炭酸の弾ける感じが美味しくて、一気に半分以上飲んでしまった。


 乾いた喉に冷たいジュースが染み渡る。


 でも普通の炭酸と違って飲んだ後にちょっと喉がぴりぴりする。


 少しレモンとは違う味もしたし、珍しいジュースなのかな?


 だったらもったいないことしちゃったなあ。


 残りはゆっくりと味わって飲もう。


 ちびりちびりとジュースを飲みながらおじさま達の話を聞く。

 

 だんだん頭がふわふわしてきて、なんだか楽しくなってきた。


 たまにならこういうのも悪くないかも。


 ふいに静かになっておじさま達が立ち上がる。


 周りを見ると、向井様だけが座ってて関元様達も立っていた。


 なにがあったんだろ?


 よくわからないまま私も立ち上がる。 

 

 日本人だもの。

 意味がわからない行動でも周りに合わせちゃうよね。


「よう。遅くなって悪かったな。楽しんでるか?」


 おじさま達の視線の先に現れたのは三十代半ばくらいの男の人だった。


 取り巻きみたいな人を五、六人側に立っていた。


 その人は緑色の髪をオールバックにまとめ、品のいいブランド物のスーツに身を包んでいる。


 服の上からでもわかる引き締まった体と鋭い視線は野生の肉食獣みたい。


「いえ。俺達こそ先に楽しんでてすいません」


「いいってことよ。俺なんかを待ってたら日付がわかっちまう。だから俺のことは気にせず楽しんでくれよ」

 

 男の人はニカッという効果音がつきそうな笑顔を浮かべる。


 やばい!この人おいしい!


 歳を重ねた大人だけが持つ渋さがそこはかとなく出てて、にやにやしてしまう!


 この人は攻めだね!

 初々しい受けさんをいじめてほしい!


 思わぬところでいいBLネタゲットだぜ!


 男の人言葉におじさま達は座って、また賑わい出す。


 遅れて私も座って残りのジュースを飲みながら話を聞く。


 あ、もうすぐなくなりそう。

 でも自分からくださいって催促するのもなあ……。


「拓哉も来てたのか?いつもはすぐ帰るのに珍しいな」


 男の人はちょっと驚いた顔をしながら向井様の隣に座る。


 向井様は心の底から嫌そうに顔を歪めて、一人分以上距離を取った。


「うっせえ。俺がどうしようと俺の勝手だろうが」


 向井様の怒声も男の人にとってはなんでもないようで、眉一つ動かない。


 それに向井様はさらに苛立ったみたいで、眉の角度が五十度くらいになってる。


 滑り台みたい。


「お前は相変わらずだな」


「知ったような口聞くんじゃねえよ」


 なんだろう……この会話。

 まるで親戚の叔父と反抗期の甥っ子みたい。

 

 なんか向井様が可愛く見えてくる。


「知ったようなもなにもお前が赤ん坊の頃から見てきたからな」


 え!?ほんとに叔父と甥っ子の関係!?


「あんたに世話してもらった覚えはねえ」


「赤ん坊の頃だから当たり前だろ?」


 そんなのんきなこと思ってる場合じゃなくなってきた。


 この雰囲気は向井様がキレる寸前だ!?


 さすがにこんな場所でキレちゃだめだと思う。    

 せっかく楽しいのに台無しになる!


 最後の一口をぐいっとあおる。


 さあ!向井様を止めますよ!


 立ち上がろうとした瞬間、目の前が大きく歪んだ。


「ああ゛っ!?憩ちゃん、それジュースじゃなくて…………」


 おにいさまがなにかいってるけど、声が遠くて聞こえない。


 体も頭も眠る前みたいに感覚が鈍くなっていく。


 あれ?どうして急に……?


 そこで私の記憶は途切れた。

Q.主人公(?)高槻憩の第一印象は?


南並鈴「えっと……ちっちゃい人!」


南並蘭「おねえちゃんよりちいさいひと」




Q.主人公(?)高槻憩の現在の印象は?

 

南並鈴「ともだちがたくさんいてすごいなっておもったよ!でもねバドミントンにがてみたいだからこんどすずがおしえてあげるの!すずバドミントンとくいなんだよ!」


南並蘭「いこいおねえちゃんはころころかおがわかるからみてておもしろいの。でもわらったかおがいちばんすき」



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