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腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第一章  高校2年生3月
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お花見ですか!?その2

 ようやく葉ちゃん登場。



 いつもより少し短いです。

 こんなに落ち着かないお花見は初めてだ。


 緊張で胃がキリキリするし、雲に一つない晴天が充血気味の目にしめる。


 今なら太陽に焼き殺されそうな吸血鬼の気持ちがわかるかも。


 そんな私に追い打ちをかけるようにいろんな人なら声をかけられる。


「憩ちゃんだったか?こんな可愛い娘が拓哉の女なんてもったいねえ。どうだ?今から俺に乗り換えねえか?」


「憩ちゃんは処女か?」


「んなわけねえだろ?拓哉の女だぜ?」


「それもそうか」


 何が面白いのかおじさま、おにさま方は声をあげて笑い出す。


 私は一目で堅気じゃないとわかる強面のおじさま、おにいさま方に囲まれ、さっきから笑顔が引きつっている。


 お花見と聞いていたからいつもの旧音楽室のお兄様達が来ていると思っていた。


 でも実際は向井様の“お家の人”のお花見だった。


 いやおかしいなあーとは思ったんですよ?


 迎えに来ていただいただけではなく、葉山様がわざわざオシャレさせてくれてましたしね。


 でも浮かれてたんですよ。

 

 久しぶりの家族以外の人とのお花見に。


 それがまさかこんな形で裏切られるとは思っても見ませんでしたけどね!?


 ………あれですかね。


 『お酒イケる口かい』ってノリで、『下ネタイケる口かい?』っていわれた時に、『大好物です!』って答えたのがまずかったんでしょうか?  


 だって急に顔に大きな傷がある怖いおじさまに話しかけられて頭真っ白になって、本音がポロッとこぼれ出してしまったんだよ……。


 おかげて下ネタとセクハラのオンパレードです。


 あ、直接的なセクハラはされてませんよ?


 言葉だけなのでそこまで不快に感じません。


 でも桜を楽しむ余裕なんてこれっぽっちもありません!


 こんなことなら寝ていたかった……。


 話のきりのいいところで私は口を開く。


「あ、すみません。私、トイレ行ってきます」


 もちろん嘘である。


 全てはここから逃げ出すための方便に過ぎない。 

 名づけて『トイレと行ってここから離れてそのまま帰ろう』作戦だ!


 トイレに行くという人を引き止める人なんてまずいない!


 だから荷物を持って自然にかつ大胆に逃走することが可能!


 さらにここまでの道のりはなんとなくわかるから、一人でも帰られる!


 でもここで予想外の事態が発生した。


「姐さん、俺も行きます!」


 城野様は私の側に来た。


 なんでやねん!

 トイレに一緒に行くなんて自分は女子か!


 って、思わずツッコミそうになった。 

 

「一人で大丈夫ですから」


「大丈夫じゃないです!今日の姐さんは可愛いんだから悪い虫を寄せつけますよ!」


 虫を寄せ付けるって私は食虫植物ですか!?


 それに“今日の姐さんは”っていつもの私は可愛くない自覚はあるけど、さすがに人からいわれると傷つく。


「憩ちゃん、涼のいう通りだぞ」


「まだ昼だけど酔っぱらいとかいるからな。番犬連れてけよ」


 確かに夕方とかに比べたら少ないけど、お酒を飲んで出来上がっている人もいる。


 この流れで断ると不自然だ。


「じゃ、じゃあお願いします」


 …………作戦失敗である。




 城野様とともにトイレまで来たはいいものの、次の作戦が浮かばない。


 かといってこのまま個室に閉じこもっていたらあらぬ誤解を受けそう……。

 

 考えこんでいたら同じ年くらいの女子達の声が聞こえた。


 友達同士で来たのかな?

 ……いいなあ。


 ふと新たな作戦を思いついた。


 名づけて『木を隠すなら森の中!人を隠すなら人の中』作戦!

 

 女の子達にお願いして一緒にトイレを出れはいいんだ!


 これなら城野様の目をかいくぐって、逃げられる!

 

 トイレのドアを開けて、女の達に話しかける。

 

「あのすみません!ちょっとお願いしたいことがありまして……」


 私の突然の嘘に戸惑っていたけど、同情して一緒に行動してくれた。


 え?どんな嘘を吐いたかって?


 友達とはぐれた時に酔っぱらいに追いかけられてトイレまで逃げました、っていいました。


 嘘を吐いた罪悪感があるけど、無事に城野様から逃走できました!


 女の子達とはトイレから離れた人目の多い場所で別れた。

  

 見た目は派手な人達でしたが皆いい人でした。


 それにしても綺麗に咲いてるなあ……。


 このまま帰るのは惜しいくらい。


 せっかく来たんだし、ちょっとくらいならいいよね?


 一人のんびりとお花見をしていると後ろから声をかけられた。


「いっちゃん?」


 爽やかだけど低い声に振り返ると友達の葉ちゃんがいた。


 葉ちゃんは中学時代からの友達。


 綺麗な黒髪ストレートをポニーテールにして、メンズのシャツとスキニージーンズを履いているから遠目だと男の子にも見える。


 スタイリッシュなワインレッド色のハーフリム(眼鏡の上の縁がないタイプの)眼鏡は知的にも魅せる。  


「葉ちゃん!?どうしたの?今日は補修じゃなかったの?」 


 今日は前にメールをした時に都合が悪い日だったのだ。


「あー……補修が午前中で終わってさ。午後から学校の友達と遊ぼうってなったんだ。いっちゃんが来てるなら誘えばよかったな。ごめん」


 葉ちゃんはほんとに申し訳なさそうな顔をする。


「そうだったんだ。そういうことなら気にしないで。私、知らない人とか苦手だから」


「いっちゃんってコミュ障だもんな。俺もだけど。でもあの友達ならいっちゃんも仲良くなれるって。性格いい人ばっかでかなりキャラが濃い」


 葉ちゃんがキャラが濃いっていうなんて相当な人達だ。


 少し気になったけどコミュ障だからろくに話せそうにない。


「そうなんだ」


 友達の話をする葉ちゃんは楽しそうで羨ましくて、ちょっと寂しかった。


「いっちゃんは?そういう人達いない?」


 どう答えていいのかわからない。


 四分一様や関元様とは仲良くさせてもらっているけど友達とはいいづらい。


 葉山様は知り合い止まり。


 向井様は論外だし、城野様は別枠の存在になりつつある。


「いっちゃんの友達ってレイヤーなんだな。あれ『不良と風紀委員長の秘蜜の淫らな午後』の藤堂総司様だろ?あんなに完成度高いレイヤー初めて見た!もう本人だろ!?」


 レイヤーとはコスプレをする人のことである。


 私にそんな友達はいないはずだけど……?


 心の中で首をひねりながら葉ちゃんの視線の先を見て、後悔した。


 なぜなら絶対零度の視線をこちらに送りながら向井様が近づいて来ていたから。


 ひぃいいい!?

 死亡フラグ再び!?


 まだ距離があるというのに、私の体は震え出し、視界がぼやけ出し始めたのだった。

Q.虎刈り赤さんの第一印象は?


高槻憩「恐ろしかったです。虎刈りの人に囲まれるなんて生まれて初めての経験でした」



Q.赤さんの現在の印象は?


高槻憩「ゲームの神様です!赤さんのコントローラーさばきはもうほんとかっこいいです!赤さんは言動は素っ気ないんですけど優しいんです!私がゲームしたいなあって思ってると付き合ってくれます!あ!赤さん!え?付き合うっていうな?勘違いされる?は!?すみません!赤さんの彼女さんに失礼でした!これからは距離に気をつけますね!」

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