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腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第一章  高校2年生3月
3/111

絶対に行きたくないんですが!?

 ※途中で主人公のBL妄想がありますので、苦手な方は注意してください。

 翌朝。

 私はいつも通り起きて、学校に行った。


 昨日は向井様とお話しするなんてとんでもない体験をしたけど、もう二度と話すことはないと思う。


 私みたいな地味子はきっと記憶にすら残ってない。


 いや~偶然って恐ろしいものだなあ。

 あんなところに向井様がいるなんて思いもよらなかった。


 学校では健全な絵だけを描くようにしててよかったよかった。

 

 がっつりヤってる最中の絵とかだったら気まずいというか、いたたまれなかったと思うし。


 もしそうだったら逆セクハラになるのかなー?


 向井様にセクハラとか死亡フラグしかない。


 私刑で死刑だ。

 公開処刑だけは勘弁してほしい。


 全校生徒の前で晒し者になるのを想像しまった。


 嫌な幻想を頭から払うように首を横に降った。


 これ以上向井様のことを考えるのはやめよう。

 胃に優しくない。


 それよりも楽しいことを考えよう。


 あ、そろそろ歌ってみるの『フォール』さんと『new』さんが新曲をビーム動画に投稿する頃だ。

 

 この二人はすごく仲が良くて二人で歌うことも多い。

 付き合っているんじゃないかって噂もあるくらいだ。


 私はチケットが取れなかったんだけど、友達が行ったクリスマスイブのライブで二人が初の顔出しをした。


 数年間活動しているのにそれまで一度も素顔を晒してなかったから、目も当てられないほど不細工なんじゃないかって、ネットでいわれてたのにいい意味で裏切られた。


 二人の顔写真代わりに使われていたイラストよりも顔が整っていた(公式サイトの顔写真を見た)。


 newさんなんて人間とは思えないほど美人さんだった。


 本当にあんな人がいるんだ。


 でも私が二人を好きな理由はそれだけじゃない。


 newさんの熱烈アタックとツンデレなフォールさんの組み合わせが腐った心を刺激するのだ。


 フォールさんは無意識誘い受けで、newは腹黒ヤンデレ攻めっぽい。

 二人のカップリングはおいしいです。


 動画やツイッターで二人がイチャイチャするのを見て、妄想するのが私の癒しの一つでもある。


 たまに動画にも参加する二人の共通の友人で作詞担当の『シュガー』さんもいいキャラをしている。

 

 二人に対して歯に着せない毒舌っぷりがたまらない。

 シュガーさんは絶対Sで攻めだ。異論は認めない。


 内心の高ぶりは顔には出さないようにしながら、校門を潜り、下駄箱で靴を履き替え教室へと向かう。

 

 窓際の一番前の席に座り、鞄を机の横にかけたところで、ふいに背中に視線を感じた。

 

 なんだが今日はやけに見られている気がするけど気のせい?


 私がこの学校で浮いているのは自覚してる。


 メイクもしてないし、ピアスもつけてない。

 服装だって規則通り着てるだけ。


 誰かと一緒にいることもなく、いつも一人でラノベを読むかスマホでビーム動画を見ている。


 だからか、時々クラスメイト達の嘲笑の的にされる。


 何をいわれているかまではわからないけど、直接暴力を振るわれるわけじゃないから気にしていない。

 

 どうでもいいし、一人でも別に辛くないから。

 強がりとかそんなじゃなくて本当に。


 だいたい私とはタイプの百八十度違う人達と仲良くしましょうっていうのが無理だ。 

 そういうのは義務教育までで十分。


 余計な干渉はお互いのためにもならないと私は思うわけでして。

 今日も今日とて私はボッチを満喫中(笑)。


 そんなわけで気のせいだと結論づけて私はなかったことにした。


 制服のポケットからスマホを取り出して、ビーム動画にアクセスし、パスワードを入力する。

 予想通りnewさんが動画を投稿していた。

 

 主コメ(動画の説明文)に書かれた言葉とフォール巡回済みのタグに思わず、堪え切れなかった笑い声が漏れた。


 私の笑い声は誰の耳に届くことはなく教室の喧騒にかき消される。


 フォール巡回済みのタグはいつものこと。


 でも主コメの『フォールのことを思って歌いました。全裸で(事実)』なんてもう狙っているとしか思えない。


 フォールさんはこれをどんな気持ちで聞いてたんだろ?


 例えばこんなシチュエーション……。


【新曲を投稿したと聞いてnewさんの家に遊びに来たフォールさん。


 newさんのパソコンを借りて、椅子に座ってイヤホンをつけてそれを聞く。


 いつもの爽やかな声とは違った色気のある声に聞き慣れているはずなのにドキドキしてしまう。

 

 自分が恥ずかしくなって俯くフォールさんを背後からnewさんが抱きしめて囁く。


『そんなに僕の声が聴きたいならいくらでも聞かせてあげるよ』


 newさんの声に恥ずかしがるフォールさんの姿に彼の理性はすでに崩壊していたのだ。


 そして、二人はそのまま椅子の上で新曲よりもエロイ声でお互いを感じ合う……】


 なーんて!

 二人の妄想だけでご飯三杯はイケる!

   

 フォールさん、newさん、新鮮な萌えをありがとうございます!

 いつもおいしくいただいてます! 


 これは後でツイッターの方もチェックしなくちゃ。


 画面に表示されてる時計を見れば、ちょうどこの曲が終わるころに先生が来る時間だった。

 イヤホンをつけて、曲を再生する。


 エロい歌詞とnewさんのセクシーな声が合っていて聞いているこっちが恥ずかしくなるくらいだった。

 

 普段の爽やかな歌い方も素敵だけど、歩く十八禁は伊達じゃない。

 これならフォールさんも惚れ直すんじゃないかな。


 それにしても本当に仲良しな二人だなあ。

 私の萌えのために末永く爆発しないでほしい。


 あー、ついつい口元がにやける。

 やばい、やばい。


 緩む口元に手を当てて隠す。


 でもこの歌声を聞いてにやけるのを抑えるとかどんな無理ゲー?


「おい」

 

 至福の時間に浸っていると声をかけられた。

 

 顔を上げれば虎刈りのお兄さん達(同年代)が私を見下ろしている。


 慌ててイヤホンを外す。

 こういう人達には逆らってはいけない。


「お前昨日向井さんと会ったか?」


 目に痛い金髪のお兄さんが私に聞く。

 なぜそれをこの人が知っているの!?


 まさか向井様に近づくなって脅しですか!?


「な、何のことですか?」


 時間稼ぎにもならない答え。

 とてもじゃないけど怖すぎて顔を合わせられない。


 お兄さん達は顔を見合わせた。


「人違いじゃねえのか?」


「いやでも他に似たやつっていねえだろ?」


 どうやらお兄さん達は誰かに私を連れて来るようにいわれたらしい。


 誰だよ、そんなことをいったやつは!

 一言、文句をいってやる!


「そういわれればそうだな。おい、お前。俺達についてこい」


 腕を引かれて強制的に立ち上げられる。


「え?どこに行くんですか?」


「お前にいう必要はねえ。黙ってついて来ればいいんだよ!」

 

 私に拒否権はないらしい。

 最初から抵抗するつもりはないけど、どこに行くのか教えてほしい。


 もしかしてテンプレな旧校舎とか?使われていない教室とか?

 それともまさか廃虚!?


 そこでお兄さんとお仲間さんから私はフルボッコにされる!?


 痛いのは勘弁してください!

 まだ観終わっていないアニメもやりきってないゲームもあるんです! 


「お前達、高槻たかつきを連れてどこ行くんだ?」


 ちょうどいいタイミングで先生が来てくれた。


 俯いていた顔を上げて視線で助けを求める。

 

「先公がうるせえよ。向井さんがこいつを連れてこいっていったんだ」


 え?向井様がなんで?

 勘違いかも知れないけど昨日のことを覚えていた?


 あああああ!

 死亡フラグぅううう!



「ああ、そうか。なら仕方ないな」


 先生は可哀想な子を見るような目をしていた。


 仕方ないってなんですか!?


 目の前で連れて行かれそうになっているんですから助けてくださいよ!


「高槻」


 先生は優しく私の肩に手を置いた。

 

 疑ってすみません。

 私が馬鹿でした。

 

 今から助けてくれるんですね。


「何かあったら大声で助けを呼ぶんだぞ」


 先生、なんですか、その対応の仕方!

 何かある可能性があるってことですよね!?


 そう思うのならほんとに助けてくださいよ! 


 私の無言も叫びも虚しくお兄さん達に引きずられるように連れて行かれた。


 主人公の妄想はだいたい合ってます(笑)。


 

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