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腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第一章  高校2年生3月
28/111

これっていじめですか!?(一週間目)

 椅子を蹴ってはいけません。

 早いものであれから一週間が過ぎた。


 向井様はあれ以来何もしてこない。

 やっぱりこの間の件は嫌がらせだったんだ。


 なんて質の悪すぎる冗談なんだろう!?


 イケメンだからってなんでも許されると思ったら大間違いなんですよ!


 いっそ四分一様にチクろうかな?


 いや……それはやめておこう。

 今度こそ音楽室が全壊する。


 いじめの方は相変わらず。


 ……嘘です!ごめんなさい!

 意地を張りました!


 実際は悪化してる。


 今朝は靴箱にゲルバナナが入ってて吹いた。


 さすがに緑色ではなかったけど、熟しすぎて皮が真っ黒で中身がどろどろになってた。


 ほんとこういう変なゴミをどこから持ってきてるの!?




 ……ってことがありつつ、今は四時間目。


 お昼休みが待ち遠しいのはわかる。


 けど後ろの席のお兄さんや、椅子を蹴らないでくれませんか?

 

 さっきからノートの文字がガッタガタになってるんですよ!


 居眠りした時のノートよりもひどい!


 最初は極めて局地的な地震かと思ったけども!


 ボキッ。


 それはチョークの折れる小さな音なのに、教室中が静まり返った。


 阿部先生が折れたチョークを拾ってから、黒板から生徒の方へ振り返る。

 

「山崎くん、高槻さんの椅子を蹴るのをやめなさい。他の生徒の迷惑です」


 静かな厳しい声でに先生は椅子を蹴っていた生徒を注意する。


 だけどそれを素直に聞くような生徒ではない。


 先生が黒板に向き直してしばらくしたらまた蹴られ始めた。


 しかもさっきよりも強い。


 ちょっと!?今、私が座ってるのに浮いたよね!?


 身長に対した体重で女子平均より軽めかもしれないけど、どんだけ脚力強いの!?


 浮くだけじゃなくてがたがた揺れるからすごく怖い!


 まさか椅子から振り落とされる!?


 私はカウボーイよろしく椅子にしがみつく。

 

 今ならあの人達の気持ちがわかるかも……。


 長くて短い攻防が続いた。


 阿部先生はチョークを置いて、教卓に広げていた教科書を閉じる。


「キリがいいので今日はここで終わります」


 阿部先生がいい終わった直後に授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。


 今日も先生の授業は時間ぴったりに終わった。


 阿部先生の体内時計はデジタル時計並みに正確だ。


「山崎くん、高槻さん。今から一緒に生化学準備室に来なさい」


 阿部先生から名指しで呼ばれました。


 え?なんで私も?


 疑問に思いつつも鞄に教科書とかをつめて、先生の後をついていく。


 あ、山崎くんも一緒に。




「二人ともなぜ呼ばれたのかわかりますか?」


 山崎くんは不機嫌そうな顔を隠そうともしないし、何もいわない。


 私はなんて答えたらいいのかわからずに黙っている。


「高槻さんがあなたに何かしたのですか?それとも何かいいたいことがあるんですか?」


 山崎くんは固く口を閉じて何もいわない。


 多分彼はいじめに便乗してたんだと思う。


 向井様を慕う人は多い。

 

 けど実は城野様みたいに向井様のために何かしようっていう人はあまりいない。


 カリスマ性がありすぎて近づくことも恐れ多く感じてしまうから。


 孤独とまではいかないけど、高嶺の王様。


 何も事情を知らない人からすれば私は虎の威を借る狐みたいに見える。


 だから皆、私が目障りで排除したがる。


 最初に私をいじめていたのは数人だったと思う。


 今はもう誰が私をいじめているのかわからないくらいに人数が増えてるけど……。


 私ってなんでここまで人望がないのかと別の意味で泣きたくなる。


「山崎くん、高槻さんにいいたいことがあるのなら暴力ではなくちゃんと言葉で伝えなさい。わかりましたか?」


 また山崎くんは何もいわない。


 まあ……当然だよね。


「わかりましたか?」


 阿部先生は少し声を強くして念を押す。


「………………はい」


 山崎くんは蚊のなくようなとでもいいそうなほど小さな声で返事をした。


「では話は終わりです」


 山崎くんは私を置いて先に(多分教室)に帰る。


「高槻さんもやられるばかりじゃいけませんよ。私でよければ力になります」


 阿部先生には全てお見通しみたい。


 気持ちはすごくありがたい。


 でも先生が介入してくれてもいじめが陰湿化するだけで解決までいかないって知っている。


 だから私は笑ってこういった。


「ありがとうございます。じゃあその時はよろしくお願いしますね」


 断ると遠慮するなってしつこくいわれるから、受け入れたような返事をする。


 私が先生に頼ることは絶対にない。

 例え何が遭っても。


 元はといえば自業自得だしね。

 

「それよりもどうして私まで呼んだんですか?」


 阿部先生は少し納得のいかない顔をしていたけど、それ以上その話はしなかった。


「高槻さんと先週以来話す機会がなかったので作ってみました。少々強引になってしまってすみません」


 阿部先生は少し申し訳なさそうに眉を下げる。


「いいえ!私も色々とお話したいことがあったので嬉しいです!ありがとうございます!」


 ただ話すだけなら大歓迎!


 あの後に向井様とどうなったのか気になる!


「そういってもらえてなによりです。では昼食をとりながらお話しましょうか?」


 先生は鞄から私の掌よりも二回りほど大きなお弁当風呂敷を取り出して机の上に乗せた。


 風呂敷を解き、蓋を開けるとと中から美味しそうなお弁当が顔を出す。


「わあ!相変わらず先生のお弁当は美味しそうですね」


 焼き魚やひじきの和物とか和食中心の低カロリーでヘルシーなお弁当!


 季節の食材が入ってて、彩りも綺麗!


 同じ年代の人はあんまり料理をしないらしいけど、阿部先生は別みたい。


 女子より女子力が高い!


 さり気なく魔法瓶の水筒から温かいお茶(先生の好きな緑茶)をくれることといい、ポイント高いなあ。


「高槻さんのお母様には負けますよ。ですがよかったら食べますか?」


 さすが阿部先生!

 私のおかずをとる加東先生とは違う!


「先生ありがとうございます!いただきます!」


「はい。お好きなものをどうぞ」


 阿部先生はにこっと人の良い笑顔を浮かべる。


 これが大人の余裕というやつか!? 


 ああっ!先生がイケメン過ぎて辛い!


「先生ならいいお嫁さんになれますね!」


 個人的にエプロン姿がとてもよく似合うと思う!


 いやエプロンよりも割烹着の方が似合う!


 なんかこう日本の人妻って感じがすごくいい!


「そこは婿ではないんですか?」


 ふふっと声をあげて上品に笑う。


 阿部先生って笑うと実年齢よりもずっと若く見えるんだよね。


 男の人だから美魔女ならぬ美魔人だ。


 表情や雰囲気とかから優しさと穏やかさがにじみ出てる。


 でも中身は肉食なんだよなあー。

 

 何度もいうけどギャップ萌え最高です! 


 その後は阿部先生と他愛もない話をして教室に帰った。

 

 恋バナも出来てほくほくです!

 阿部先生はほんとにロールキャベツ系だ!

 

 本命さんが落ちるのも時間の問題じゃないかな?

 

Q.主人公(?)高槻憩の第一印象は?


葉山蓮「地味でどんくさい馬鹿な子ね」



Q.主人公(?)高槻憩の現在の印象は?


葉山蓮「第一印象とあまり変わらないわね。ただ服のセンスは悪くないと思うわ。他人じゃなくて自分自身を磨けば化けるのにもったいないのよね。今度メイクでもさせようかしら?」

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