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腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第一章  高校2年生3月
26/111

これっていじめですか!?(一日目の放課後)

 人前で服を脱いではいけません。

 先生の弱み……じゃない。

 好きな人を知ったお昼休み。


 普段は飄々と生徒をからかう先生が取り乱す姿は見ていて面白かった。

 

 なんでも好きな人は先生と同じこの学校の卒業生で、卒業までの二年間生徒会長を務めたらしい。 


 ちなみに歴代の生徒会長は一人しかいない。


 なぜならいつの年代でも風紀が悪すぎて行事がほとんどないため生徒会が必要ないから。


 学校行事の定番の体育祭とか、文化祭はもちろん。

 修学旅行や遠足もない。


 ただし! 

 その人が在学していた時期だけ普通の学校と同じレベルまで風紀がよかったから、行事もたくさんあったみたい。


 その三年間になにがあった!?


 気になるけどヤブベヒになると怖いから聞けない。


 パソコンのディスクトップの画像は卒業式の後に撮ったもので、奇跡的に見切れなかった。


 と先生は嬉しそうに語っていた。


 見切れなかったって……元生徒会長様は希少な野生動物ですか?

 

 他にも色々な伝説を聞いた。

  

 けど話を聞けば聞くほど、ほんとにそんな人がこの学校にいたのかと信じられなくなっていく。


 そもそもあんなに可愛い人がうちの学校に入学する?


 普通の親だったらうちの学校なんかには絶対に入れないよ!


 まあその裏話は数ヶ月後に御本人の口から聞かせてもらえるのだけど、当時の私は半信半疑ですべてを聞いていた。

 



 昼休みが終わるとと一日はあっという間に終わる。


 六時間目終了のチャイムにまた私は全速力で教室を飛び出した。

 

 目指す先は旧校舎の音楽室。


 勢い良く階段を駆け上がり、廊下を走り抜け。扉を開ける。


「お、お邪魔します!」 


 元気よく声をかけたのに返事はない。


 事前に関元様へ放課後に掃除をすることをメールしていたから、今音楽室には誰も居ない。

 

 いつもはゲームセンターみたいに賑やかなのがしんとしていて少し寂しいな。


 寂しいってなんだ、私!

 勘違い、勘違い!


 さっさと掃除を終わらせて、関元様にメールを送って帰ろう。


 ジャケットを脱いでスカートに手をかけたところで扉の開く音がした。


 誰だろう?


 そう思いながら顔だけ振り返える。


 予想外の人物がそこにいて驚きすぎて声が出ない。


「……お前ここでなにしてんだ?」 


 向井様は扉に手をかけたまま、目を見開いてました。


 それはこっちが聞きたいです!


「えっと……今から掃除をしようと思いまして」


「だったらなんで脱ごうとしてんだ?」


 向井様の視線がスカートへと移る。

 

「ああ。これですか?汚れるといけないので脱いでいたんですよ。制服ってなかなか洗濯できないので」


 制服って洗濯機で洗濯できないから、学期が終わる時とか衣替えの時期にしかクリーニングに出さない。


 クリーニングって高いしね。


 できればそのお金でアニメとかのグッズを買いたい。


「馬鹿かお前」


 なんで急に……いや何度もいわれてるけど、このタイミングでいわれたの?


「今は誰もいねえけどいつもは男ばっかだろ?そんなとこで服脱ぐとか誘ってんのか?」


 サソウ、さそう、誘う?

 誰が誰を?

 どういう意味で? 

 

 うぇえええええ!?


「いやいやありえないですよ!?こんな私なんかが服を脱いだところで皆さん何とも思わないでしょ!?」


 関元様みたいなかっこいい人とか、葉山様みたいなエロい人とか、城野様みたいな可愛い人が脱ぐならわかるけど。


 第一!私の体はここにあったエロ本のお姉さん達とはほど遠い!


「やっぱお前は馬鹿だ」


 向井様はジリジリと私との距離を縮める。


 私は離れようと後ろに下がるけど、すぐに壁に追い詰められてしまった。


 まさか向井様は……。


 いやいやいやいや!ないないない!


 男女問わずに選り取り見取りな向井様が私なんかを相手にするわけがない!

 絶対に!


 顔の横に手をつかれ、逃げ場所を奪われる。


 二回目の壁ドンだけどちっとも嬉しくない!?


 向井様!近い、近すぎます!

 恐怖で心臓が潰されそうです!


「男は好きでもねえ女でも抱けんだ」


 向井様の切れ長な目が私を捕らえて離さない。


 今までと別の恐怖で動けない私を無視して、手がシャツのボタンに向かっていく。


 エ?ウソデショ?


「や、やめ、て、くだ、さ、い」


 自分だと思えないようなか細い声が喉奥から漏れる。


 すると向井様の動きが止まった。


 ああ、よかった。

 もう向井様ってば冗談がすぎますよ!?


 そういうのは私じゃなくて魅力的な受けさんとしてください!


 おすすめは葉山様!

 あ、でも関元様や城野様もいい!


 そっと腕の檻から抜け出そうとしたのに、向井様はそれを許してくださらなかった。


 「え?」


 顎を綺麗な指で掴まれて上を向かせられる。


「さっきの顔もう一度しろ」


 目の前には向井様の真っ黒な笑顔。


 ほんとに向井様は俺様ドS!


「い、いや」


 怖すぎて体が震えてきた。

 

 もう泣きたい。

 けど泣いたら喜ばれそうな気がする。


 今まで色んないじめを受けた。


 でも幼かったからか貞操の危機はなかった。


 実際にするつもりも結婚するまで守るつもりもないけど、私だって女だ。


 好きな人としたいって夢くらい見る。


 だからいくらお相手が向井様でも嫌だ!


「しゃわりゃないでくだしゃい!」


 しまった!?

 肝心な時に噛んだー!?


 なにいってんだ、私!

 

 向井様は再び動きを止めて、顔をうつむかせる。


 小刻みに肩が揺れている。

 そんなに怒らせてしまったんだ!?


 ど、どど、どうしよう!? 


「……っふ。フハハハハッ!」 


 向井様は急に笑い出した。

 しかもそれはそれは楽しそうに笑われる。


 え?今の間に笑うところなんてありました?


「あー。ヤル気なくなった」


 今度は向井様の方から距離をとる。


 そしてそのまま音楽室を出て行った。


 パタンと閉まる扉の音を聞いて、私はようやく動けた。


 全身から力が抜けて、へなへなとその場に座り込む。


 今のはいったいなんだったんだろ?


 新手の嫌がらせ?

 

 まさかほんとにヤろうしてたとか?


 いやいや!ありえない、ありえない!絶対にありえない!

 

 嫌がらせに決まってる!


「でもさっきの笑った顔は少し幼くて可愛かったなあ。向井様ってあんな顔もするんだ」


 ハッ!?

 私はなにいってるの!?


 今のを向井様に聞かれでもしたら殴られるよ!?


 全方位を確認!

 オールグリーン!よしセーフ!


 おかげでちょっと落ち着いた。


 さあ!関元様達が来る前に掃除を終わらせよう!

Q.主人公(?)高槻憩の第一印象は?


関元湊「真面目で大人しい子かな」



Q.主人公(?)高槻憩の現在の印象は?


関元湊「拓哉や俺達を怖がるから普通の子だと思ったけど、ゾンビゲームを喜んでやっていてよくわからない子だね。でも正義と仲がいいし、いい子だと思うよ。そういえば時々、賢者様っていわれるんだけどなんか恥ずかしいからやめてほしいな」

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