表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第一章  高校2年生3月
23/111

これっていじめですか!?(一日目の朝)

 冗談でも蛇を入れてはいけません。

 昨日までの出来事を一言でいうなら、パシリは大変。


 関元様が私を抱えて逃げてくださらなかったら、向井様と四分一様の喧嘩に巻き込まれてました。


 関元様、マジ賢者!

 あなたの弟子になりたいです!


 絶対に嫌がられるでしょうけど!


 それまでお二人(特に喧嘩に関して)の噂は半信半疑だった。


 だけど昨日の件で全部ほんとのことだと知りました。


 正直、そんな恐ろしいこと知りたくなかった。


 お二人はアニメのアクションシーンのような動きで喧嘩をされていた。


 喧嘩を画面越しに見るのと、直接見るのとでは全く違う。


 何が違うかって?

 

 二人の全身からとんでもない殺気が出てた。


 怖すぎて腰が抜けた……。


 もう二度とお二人を怒らせるまい、と固く誓う程度には恐ろしかった。



 

 なんて誓った翌日。

 さっそく誓いが破られそうです。


 しかも不可抗力。


 ついに今まで恐れていた事態が起きた。


 それは……“いじめ”。

 

 向井様達と(半強制的に)関わっていたら、いつかはと思っていた。


 けど向井様と関わるようになってから、まだ十日くらいしか経っていないのに早くないですか!?


 なんでだろ?

 

 あ、鬼ごっこのせい!?

 

 そういえば翌日には向井様達と鬼ごっこをしていると広まっていたっけ!?


 なんてこった!


 目の前には二年B組の私に割り振られた靴箱。


 上履きと下足用に上下二つに仕切りられているだけの簡単な構造のそれに、あふれるほど詰め込まれたゴミ。


 多すぎて地面に落ちてる物もある。


 これ、どこから持ってきたの?


 目に浮かぶのは昨日の暴れる四分一様。

 

 こ、ここ、こんなことが優しい四分一様にバレたら(相手が)殺されるっ!?


 四分一様が前科持ちになってしまう!?


 どないしたらいいんや!?

 わいじゃ止められへんで!?


 いや……落ち着け、私。

 

 過去の経験を活かす時が来たのだ!

 

 こういう時のために学校に私物は一切置いていない。


 だから学校の備品が汚れるだけで私に実害はないのである!


 通学鞄から上履きを取り出し、履いてきた靴と入れ替える。

 もちろん靴は同じように通学鞄の中に入れる。

 

 続いて取り出すのはビニール袋と手袋。

 

 昔、素手で片付けをしたときにカッターの刃が入っていたことがあったからね。


 多分、まだそこまでこったことはしてないと思うけど、念のため。念のため。


 靴箱からゴミを取り出して、ビニール袋に入れていく。


 中には手のひらサイズの小さな蛇が入っていて、驚いた。


 なんと玩具や死体ではなく、ちゃんと生きていたのである。


 この蛇どこから連れてきた!?


 幸い冬眠中だったようで動きが遅い。

 無毒の蛇だったから、外に離すと草むらの中へと消えていった。


 寝起きの蛇は状況がいまいちわかっていないみたいで、キョロキョロしていた。

 

 なにこの子!?

 すごく可愛い……っ!?


 と、あまりの可愛さに一人でたぎってしまった。


 爬虫(はちゅう)類いいよね。

 あのクリクリした丸い目と冷たくてすべすべの鱗がたまらない。


 また会えたら生肉をプレゼントしよう。


 天敵に負けずに大きくなるんだよ。

 

「憩、なにしてるの?」


 後ろから声をかけられて、心臓が激しく縮んだ。


 いつからそこに!?


「四分い……正義さん、おはようございます。蛇がいたので人目につかない場所へ逃がしてました」


 四分一様と呼ぼうとしたら少しだけ嫌そうな顔をされました。


 四分一様は苗字で呼ばれるのが嫌いみたい。なにか嫌な思い出でもあるのかな?


「おはよう、憩。優しいね」


 四分一様は爽やかな笑顔を見せてくださいました。


 朝から素晴らしい癒やしをいただき、いじめで少し削られたMP(精神力)が回復しました!


 ありがとうございます!

 

 でも四分一様の方が私の何千倍もお優しいですよ。


「なんで憩はゴミ持ってるの?」


 ヤバイ!

 隣に置いていたゴミに気づかれた!


「えっと……その、これは」


 なにか……なにかうまいいいわけは……。


「そ、そう!マイブームなんです!」


「ゴミを拾うことが?」


 四分一様は首を傾げる。


 ええ。自分でも変なマイブームだと思います。

 でもいってしまったからには押し通せ!


「はい!ゴミがなくなって綺麗になった場所を見ると気分がスッキリしませんか?地域の奉仕作業でやってからはまっちゃって!四分一様もお暇な時にでもいかがですか?」


 背中と脇の冷や汗が半端ない……。

 制服が冬服でよかった。


 夏服とかだったら隠せなかった。


「……そう。憩すごい。俺も見習う」


 四分一様は私を尊敬の眼差しで見る。


 良心に1000の大ダメージ!

 残りMP三分の一以下!


 いじめよりも四分一様に隠しことをする方が精神的に効くようです……。


 ああ、四分一様。

 あなたを騙してごめんなさい。


 でもいじめられているなんて絶対にいえません。


 なんともいえずに私は曖昧に笑う。


 ちょうどいいタイミングで予鈴が鳴る。


「それじゃあ、正義さん。また後で」


「ん。また」


 手を振ると振り返してくださった。


 ああ!今日も四分一様は素敵です!


 いつかほんとに萌え殺される!


 でも四分一様に殺されるなら本望だ!


 四分一様、ラブ!

 ただし!親愛的な意味で!

Q.主人公(?)高槻憩の第一印象は?


向井拓哉「黒髪でチビ、眼鏡に根暗ないつも一人でいる女」



Q.主人公(?)高槻憩の現在の印象は?


向井拓哉「バカな上に逃げ足が早え。くだらねえことには頭が働くくせに普段は察しが悪い。少し脅しただけで泣くうぜえやつ。湊や正義が邪魔しねえなら今すぐ山へ埋める」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ