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腐った乙女と俺様イケメン不良  作者: 真下地浩也
第四章  高校3年生6月
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高校イベントといえば文化祭ですか!?その6

 

 食べ終わった私達は他の模擬店を見て回ることにした。


 模擬店は大きく分けて三種類。


 一番出店数が多いのが飲食系で、南並さん達のようなコンセプトのあるカフェ系から、校外の屋台のようなものまであるらしい。


 スイーツ系からお好み焼きや焼きそばなどのお祭りの定番メニューから、焼き鳥やうどんなど飲食系メニューなど種類が多いらしい。

 

 ちなみに四分一様は……。


「正義さん、ほんとにそれ食べきれますか?」


 今、四分一様は両腕に料理がぱんぱんに詰まったビニール袋を数個ぶら下げ、両手にはから揚げ棒と苺クレープを握っている。


 え?さっき南並さんのところで五人分くらい食べてましたよね?

 私の幻覚ではないですよね?


 身長が高くて筋肉質な体格+食いしん坊。


 しかもリスのように両頬を膨らませて、幸せそうにもぐもぐ食べている四分一様のギャップに生徒もお客様も二度見していた。


 ギャップ萌えぱない!

 今日も安定の癒しオーラ……いや四分一様もいつもより楽しいのか倍以上のオーラが出まくってますよ!


 はぁああああああ!癒される!

 この姿を見られるならいくらでも料理を貢ぎたい!

 

「……憩も食べる?」

 

 何を思われたのか、苺クレープを私の方へ差し出してくださいました。


 南並さんのカフェで甘いものを食べたから、甘いものよりもから揚げの方がいいんだけど、そんなことよりも四分一様の優しさが嬉しい!


 癒し系で優しいとか最強じゃないですか!


 リアルで鼻血を拭きそう!


 四分一様の優しさはお気持ちだけ受け取って、丁重にお断りした。


 四分一様のお金で買ったものだし、食べてる姿を見るだけで十分です。

 

 それにそんなにお腹は減ってないしね。


 

 次に多いのは展示系で、普段使っている教室の内装を変えたお化け屋敷や迷路などや、美術部や写真部、研究会と同好会などが日頃の成果を展示していたりしていた。


 お化け屋敷では生徒が本気を出し過ぎていたようで、中からお客様の盛大な悲鳴が絶えず聞こえた。


「葉ちゃん、ほんとにこれ大丈夫?」


「大丈夫だって。ほら比良吉不二介様が書いた『呪呪シリーズ』最高傑作より全然怖くねえから」

 

 葉ちゃん、その例えはおかしいと思うよ!?


 ちょっ!腕を引っ張らないで!なっ!ゆーくんまで!?

 私、ほんとにこういうの二次元しかしかダメなんだって!やめっ!アッ-!


 無理やりお化け屋敷に連れて行かれた結果どうなったかというと。


「……いっちゃん、大丈夫?気分悪いなら何か飲み物でも買ってこようか?」


 関元様の優しさが恐怖で疲れた心によくしみます。


 このままじっとしてたら元に戻ると思うので、飲み物とかは大丈夫です。 


「返事がない。ただの屍のようだ」


 葉ちゃん、さすがに私でも怒るよ?


「憩ちゃん!ごめんね!ゾンビ系とかホラゲとか平気で頭ぶち抜くから平気だと思ってたよ!」


 ゆーくん、大声で頭ぶち抜くとかいわない!

 受付の人とか通り過ぎた人が驚いてる……っていうかドン引きした顔でこっち見てるからね!?


 遠まわしにガッツリ減った私のHPをさらに減らさないで!


 二次元と現実は全くの別物だから!


 あと展示系にはロボット研究会の展示もあって、そこで椎葉くんと自由さんに会いました。


 というより、この二人は研究会に所属しているそうです。


 ん?よく考えるとなんで自由さんが当然のような顔してここにいるんですか?

 どう見ても成人済みですよね?


 私としてはお二人が常に一緒にいることは腐女子的においしいんですけど、現実問題がある。


 学校って警備の都合で生徒や先生以外の部外者を校内に入れることはほとんどない。


 なのにロボット研究会に所属してるっておかしいんじゃないのかな?


「自由は俺のSPみたいなもんで学校におることを特別に許してもらっちょっとよ」


 まさかの本物のSP(みたいな人)!?


 だから護衛対象の椎葉くんと常に一緒にいるんだね。


 椎葉さんってもしかしてお坊ちゃま!?

 もしくはご両親が何かすごい研究者とか!?


 気になるけど、人様の家庭のことを根掘り葉掘り聞くのは失礼だ、と思っていたのにあっさりと教えてくれました。


「俺の両親はロボットの研究をしちょっとよ!俺は二人のような研究者になることが夢やとよ!」


 目を輝かせて自分の夢を熱く語る椎葉くんは、名前の『日向』のみたいに眩しい。


 椎葉くんは両親を尊敬していることもその言動からよくわかった。


 彼のように誰かに胸を張って夢を語れる人はどれだけいるんだろう。


 幼い頃は誰もが当たり前のように語っていたのに、年を重ね、大人といわれる年齢に近づけば近づくほど、現実を知り、それが叶わぬ夢だと挫折を知り、気づけば語らなくなっていく。


 もちろん。そうでない人もいるとは思う。

 でもその数は圧倒的に少ない。


 だから語る夢をもたない私には椎葉くんがとても、とても眩しく見えた。 

 


 なんてらしくもないことを考えていられたのも、少しの間だけだった。

 

 気づけば私は向井様達とはぐれて一人、迷子になっている。

 高槻は油断するとボッチになる系主人公です(笑)。

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