公園での出来事 2
「(・・・あいつは私を気絶させこんなところに連れてきて拘束した奴だわ!絶対痛い目をみせてやるんだから)」
私はできる限りの眼力で女を睨む。気絶させられた時は顔をぼんやりとしか見てなかったが、今回は彼女の顔をしっかりと目に焼き付けた。意外にも整った顔をしていて目、鼻、口の位置のバランスがいい。おそらく美人の部類に入るであろう。年齢は見た目だど、20代後半~30代前半といったところか。
「やっと、目を覚ましたか。おっと、そんな目で睨まないでくれよ。こわいこわい。私は金で雇われただけだからね、恨むなら私の雇い主を恨みな。そんな気のどくなお嬢ちゃんに情報をひとつ、もうすぐ迎えがくる。どこに連れていかれるかは知らないけど覚悟はしておいた方がいいよ、色々な意味で。あと、お嬢ちゃんの得意な魔法を防ぐために頭のなかに超音波流しているから、脱走するなんて諦めな」
じゃあな……すまない、と最後にそういい残し女は部屋を出ていった。
「(・・・えっ!?うそでしょ!私おれからどうなるの?どこかに連れていかれるってことはまさか……。いや、いや、いやだよー。このままだとマズい。なんとかしなくちゃ・・・っていっても私のこの状況じゃなにも出来ないじゃん)」
すると、再びドアが開き3人の男たちが入ってきた。
「おっ!可愛いお嬢ちゃんじゃん」
「そうだな。俺の好みのタイプだ」
「お前は若い女が好きだからな」
「連れてくいく前に一発できないかななぁ」
「バカやろう!もしばれたらどうするんだ。俺たちの全員の命がないぞ」
「そうだった、わりー、わりー。つい、可愛いかったもんで。でも触るだけならバレないしょ?」
ぐっわはっはと卑猥は笑いが部屋のなかに響きわたる。
「(・・・あーっ、誰か助けて)」
さっきから心の中で神様にお願いしているけど、誰も助けにきてくれない。
男たちはニヤニヤと汚い笑みをうけべて私の方へ近寄ってくる
「・・・(いやっ、もうだめ!)」
そう思った瞬間、私の脳内にお兄ちゃんの姿が。
「(助けて!お兄ちゃんーー!)」
私は心のなかで叫んだ。・・・・・・しかし、くるわけないよね。まず、ここがどこだかもわかんないわけだし。お兄ちゃんはやってこない・・・そう思いかけた時。
「おい!お前ら人の妹になにをしようとしてる!」
「あん?お前どころから入ってきた!あれ?消えた!?」
「ぐっはっ!」
「やっりやがっ・・・ぐっはっ!」
「うゎーにげ・・・ぐっはっ!」
お兄ちゃんは男たち3人を「空間移動」を使いタコなぐりにした。部屋の隅に気絶した男どもが積みあげあれていた。
「美咲!大丈夫!?何もされていないか?今ほどいてやるから」
お兄ちゃんはそう言って私を縛っている縄を全てほどいてくれた。
「う……ん、ありがとう、お兄ちゃん」
私はお兄ちゃんに飛びついた。お兄ちゃんは私のことを優しく抱きしめて、慰めてくれた。
私がもっと子供だったころ、野良犬に追いかけられたことがあった。私は必死になって逃げたが犬相手に子供の私が逃げ切れるわけもなく、犬に噛まれると思い目をつぶった。しばらくしてもなにも起きないので再び目を開けると、犬と私の間にお兄ちゃんの姿があった。お兄ちゃんは身体を張って私を守ってくれた。私が水族館で迷子になった時もお兄ちゃんが見つけてくれた。お兄ちゃんはいつも私を助けに来てくれる。
その瞬間、ドックンドックンと胸の鼓動が高まる。そして次第に身体が熱くなってきた。
「(何この胸が締めつけられるような感じは?これってもしかして恋い??私お兄ちゃんちゃんに恋いしちゃたの!?やばいさっきの鼓動お兄ちゃんに聞こえちゃたかも、恥ずかしい)」
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「(ふぅー何とか間に合って良かったぜ)」
俺は抱きついてきた美咲を慰めながら、少し遅れてたら大変なことになっていたと思いブルブルと身震いする。
俺が美咲を助けにこれたのは数分前、ある一つ策を思いついたからだ。その策とは新しい「空間移動」の使い方だ。
そもそも「自己能力」はその能力を持っている個人によって様々な使い方をする。たとえ同じ名の「自己能力」を持っていたとしても十人十色の能力となるのだ。逆に言えば、「自己能力」は自分に合った使い方でしか使うことができない。そのため、持っている能力名が同じだったとしても、他人が使っている使い方で自分がその能力を使うことはできない。「自己能力」とはその名の通り自分だけの能力ということである。
だから今まで俺は「空間移動を自分又は自分が触れているものを自分がいる位置を基準にして半径1キロ以内にあるイメージした場所へ飛ばすことができる能力として使ってきた。
たが、ここで俺は思いついた。「空間移動」の新しい使い方を。それは自分の意識だけ飛ばすという方法だ。以前ではイメージした場所に移動するのが物理的に不可能である場合やイメージが曖昧な場合は能力を発動出来なかった。しかし、実体のない自分の意識というものをはいくらでもどんな場所へでも移動することができる。そのため、俺は開いているベンチに座ってから意識を飛ばす。意識を飛ばしている間は自分の身体は無防備な状態になるが今はベンチに座っているため、周りからは眠っているだけと思われるだけで済むだろう。俺が意識を飛ばす時にイメージしたのが美咲の姿。すると、倉庫がかたまっている所に移動した。目の前にある倉庫の中を覗くと、なんと美咲が監禁されているではないか!俺はすぐに自分の身体に意識を戻し、再び「空間移動」を使うと、なかには三人の嫌らしい男どもがいた。そいつらをボコボコにして美咲を助けることが出来たというわけだ。
美咲の顔を見てみると赤くなっていた。
「どうしたんだ!美咲!?」
「・・・な、なんでもないよ。大丈夫だから」
「いや、そんなことないだろう。風邪でもひいたんじゃないのか?」
「ちがうの、わ、わたしは、おぉ、おに・・・」
ガラガラ
突然、ドアが開かれたその音で美咲の声を最後まで聞き取るとこはできなかった。
読んでくださった方、本当にありがとうございます。
さて、今回で翔太の名案というのがわかりましたね。どうでしたか?また、今回で美咲は翔太に惚れてしまいましたね。このあとどうなっていくのでしょうか。ヒロインは美咲だけではありませんのでご期待下さい。次回をお楽しみに!
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