初陣 3
勝利の余韻に浸っていられたのは少しの間だけであった。なぜななら、戦闘のあと処理をしなくてはならないからでる。
俺は目の前の光景に絶句していた。そこに広がっていたのはたくさんの戦死者たちだったからだ。辺り一面、人が転がり血だらけだった。
元々502人いた千葉少佐の部隊の人々は今ではその半数の248人になってしまったのだ。しかも、今回の戦闘時間は移動時間を抜いたら、わずか15分。たった15分で部隊の半数がやられたことになる。
俺たちは奇襲攻撃でダメージを与えられなかったため、運良く敵に気づかれなかった。そのため、俺たちは『アギス』の攻撃を受けてない。
その結果、本隊の隊員たちが『アギス』の注意を引きつけることになった。その隙を利用し、美咲の作戦で俺たちは『アギス』を倒すことが出来たが、『アギス』の注意を引きつけることになった、本隊は多大なる被害をくらうことになってしまった。
美咲はこの光景を見て、さっきから暗い顔をしている。きっと、自分の作戦で人が死んでしまったと自分の責めているのだろう。
「(ここは兄として励ましてやらないとな)」
俺はそう思い、美咲に話しかけた。
「美咲、そんなに気にすることではないさ。彼らは自らの意志でこの場所に来たんだ。そして懸命に戦い、命を散らした。その結果、僕たちは勝利することが出来たんだ。だから、ここで死んでしまった彼らの分まで喜び、これからは彼らの分まで戦えばいいだけだよ。それに、そんな顔をしていては彼らは嬉しくないだろうしさ。」
「そうかなぁ。でも、そう考えるとなんだか元気が湧いてきた。ありがとうお兄ちゃん!」
それのあと、亡くなった254人の火葬し、簡素なお墓を作った。そして、生き延びた全員で黙祷を捧げた。
「よーし!しんみりしていいのはここまでだ、ここからは彼らの分まで生き、彼らの分まで戦うんだ!では、前線基地にもどるぞー」
千葉少佐の一言でどんよりとした雰囲気がなくなる。千葉少佐はこういう時は本当にしっかりしている。本当は自分も悲しいはずなのに、その感情を表に出さず、兵士たちを励ます。だからこそ、みんなから信頼され、うまくまとめることが出来ているのだろう。
帰り道は何事もなく、無事に帰還することが出来た。前線基地にたどり着くと、すれ違う人全員から祝福された。
そんな中、俺と美咲はともにこの基地の司令官に呼ばれていることを千葉少佐から伝えられ、今はその人物がいる場所へと向かっている。
「ここが司令のいる部屋だよ。僕は外で待っているから、翔太君と美咲さんは中に入って」
「えっー、千葉少佐は入らないですか!?」
「うん、司令に呼ばれいるのは翔太君と美咲さんの2人だけだからね。」
俺は少し緊張しながら部屋のドアをノックする
「トントン、自分は岡野翔太上等兵です。」
「自分は岡野美咲上等兵です。千葉少佐から司令がお呼びになっていると聞き、只今、参りました。」
「どうぞ、入ってくれ」
奥から許可の声が聞こえて来た。
「「失礼します」」
前線基地の司令官がいると聞いて、俺はすごそうな部屋をイメージしていた。たが中に入って周りを見ると、白を基調と部屋で、装飾品のたぐいは少なく、質素で清潔のある部屋だった。
「俺は地球防衛軍団、日本第7基地、司令官 田之上典之だ。2人の活躍は聞いたぞ、ご苦労であった。」
「「ありがとうございます!」」
田之上司令を動物で例えるなら虎。ドスの効いた低い声に、赤ちゃんが見たら絶対泣くであろう、いかつい顔。それに加え、高身長で身体の筋肉はいたる所が盛り上がっている。俺はこの人を敵にまわさないようにしようと心に決めた。隣の美咲は完全に顔が引きつっている。
「ほれほれ、そんな所にたってないで座りたまえ。」
「・・・はい」
「(一刻も早く帰りたかったのに、ソファーを勧められるってことは長話しになるかも・・・)」
「2人に来て貰ったのは、本日の任務の成果についてなのたが・・・・・・」
「(なぜそこでためる?俺なんか悪ことでもしたかなぁー。ドックン、ドックン。心臓の鼓動が聞こえてくる。うぁ~緊張するー)」
「・・・・・本当、本当にありがとう。2人には心から感謝する」
田之上司令は感謝の言葉をのべ、俺たちに頭を下げた
「(えっ、えっーーー!そうくる!?)」
「頭を上げてください、田之上司令。俺たちはやるべきことしたまでです。なぁ、美咲?」
「はい、兄の言う通りです。私たちは任された任務をこなしたまでです。」
「そう言ってもなー、『アギス』をあれだけ徹底的にやっつける事が出来たのは今日が初めてだから、みんなの志気が高まり奴らに勝てる希望が見えたのは事実だ」
「今までに『アギス』を倒したことなかったんですか!?」
「うーん、そうだな。何度か『アギス』を撤退させることは出来たけど、倒したことはないな。それにかなりの割合で勝てないからな」
「そうなんですか・・・」
「そういうことで特別報酬として、2人には100万ペケを受け取ってほしい」
「100万ペケもですか!?」
読んでくださった方、本当にありがとうございます。
お金の単位ですが、説明は次回話で書きますので今は気にしないでください。
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