引越しました!
「美蘭さんはお兄ちゃんのなんですか?」
「・・・・・・・ど、奴隷です」
「お兄ちゃん。なんでそんなことになっているんですか?」
「美蘭が自分に変な薬を使ったからです」
僕と美蘭は正座していた。
そして苗未の拷問いやさ詰問にあっていた。
「じーーーー」
苗未はなぜか声に出して疑いの眼差しを送ってくる。
「僕はただ拉致されただけなんだよ。信じてくれっ!」
「無理」
ガーン
「私はこいつに無理やり・・・・・」
「嘘つけ!無理やりはお前の行為だ!」
「こっちにも事情があるのよ!バカ」
「そこまで」
「「はいっ!」」
苗未の一言で背筋が伸びた。
そして
「もういいです」
お許しの言葉をいただいた
「二人とも出て行って下さいね」
わけではなかったらしい。
僕らは五月の空のしたを二人で歩いていた。
「そういえば、私もあなたの名前聞いてなかった」
「そうだったな。僕は川島啓だ。なんかごめん」
「こっちこそごめなさい」
「二人で協力して生きて行こうな」
「そうだね、喧嘩なんかしてる場合じゃないよね」
どうやら家を追い出された結果僕らには絆の卵ができたようだった。
「まずは雨風しのげる場所を探そう」
「それなら大丈夫!」
自信に満ちた表情だ。
「忘れたの?私は奴隷よ。つまりご主人様に不自由させないようにするのが仕事なの。だから奴隷になるといろんなステータスが上昇するのよっ!」
決まった。
と言わんばかりの表情。
美蘭は月並みなくせに表情だけは豊富らしい。
「それで、その上昇したステータスでどうやって雨風しのぐんだ?」
重要なのはそこだ
「家を作ればいいのよ!」
「・・・・・・は?」
何を言っているんだこの月並み宇宙少女は?
「おいおい、家を作るってどんだけかかって作る気だ?」
「二日」
「いや、無理でしょ?」
「材料さえあれば余裕よ?」
自信に満ちた表情再び。
だがこれだけ言うってことはあるいは・・・・・。
「良しじゃあ家は任せた。僕は食材を確保してくる」
「おっけー。任せて」
お互いに最高の笑顔を向けてそれぞれが作業に入った。
僕は大きな見落としをしていたのだが、この時は全然気づかなかった。
まさかあんな結末が待っていようとは・・・・。
うんぶっちゃけるよ?
というかなんで気づかなかったのだろう?
二日後には本当に一戸建ての家ができていた。出来は最高だった。
「そうだった、すっかり忘れてた」
「私も、全然気づかなかった」
「「この土地誰の!?」」
つまりは誰かの土地に勝手に家を建ててしまったのだ。
「いくら山の中といえどもまずいよな?」
「多分ね」
「どうしよう?」
「さすがに土地ばかりはどうにもならないよ?」
「ですよね〜」
もっと良く考えればよかった。
今更後悔しても遅いのだが、後悔が捨てられない。
今日はこどもの日。
つまりはゴールデンウィーク中だが、それももうすぐ終わる。
するともうすぐ学校が再開される。
宿題もやってないし、
住む場所もない。
流石にもう宿代もない。
高校生の財布なめんなよ!
「もう野宿しかないのか?地元で野宿なのか!?」
「あっ!そうだ!」
美蘭だ大声を上げる。
「宇宙船。私の宇宙船ならいいんじゃないかなっ!」
表情が輝いている。
眩しいぞ。
だが、
「なるほど、確かに二人で住むスペースはあるし、それだ!」
決まった。
家とは言えないが住処は見つかった。
「でもこれはどうする?」
指差す先には立派な一戸建ての家。
「・・・・・・・取り壊し?」
「だよね」
その先は簡単だった。
奴隷パワーとかいう怪力で制作二日の家を十分で取り壊し(あっけない)、二日間調達した食料を宇宙船に運んだ。
ちなみに宇宙船の名前は『ジョン』らしい。