最強少女?川島苗未
「帰って来たぞ、ちーきゅーうー!!!」
僕は叫んだ。
「あの、ご主人様?家に行かれるのでは?」
「あ、そうだった」
うっかりしていた。
なんかテレポートだったかワープだったかで三時間。
ようやく生まれ故郷の地球に帰って来た。
「じゃあなっ!」
僕は少女にそういい、家に走る。
流石に浦島太郎現象も心配したが、街並みもそんなに変わってないから大丈夫だろう。
勢い良く玄関を開けて言い放つ
「帰ったぞ!」
「あれ?お兄ちゃんいつの間に出て行ったの?」
僕の妹川島苗未は普通の反応で返して来た。
ここに宣言しよう。
僕の妹は超絶可愛いとっ!
身長は小さいがスタイルは良く、日本人らしい黒い髪の中に茶髪が少し混じった長い髪、おまけに性格も良し。
完璧ではないかっ!
「というか後ろの人は誰?」
「ん?」
・・・・・・・・・・・・。
振り向くのが怖い。
「着いて来たのか?」
二つ確認するために聞く。
ついて来たのかどうかと
それがあの少女なのかを。
「当然です、ご主人様」
聞こえたのはあの月並み宇宙少女だと確定した。
「お、おおおおおおおおおお兄ちゃん!?なに?ご主人様ってなに!?」
「落ち着けマイリトルシスター。これにはいろいろと事情があってな?」
「お兄ちゃんが変態さんになちゃった!!!!!!!うぇ〜ん」
「苗未、誤解なんだ!!!!」
その言葉も虚しく苗未は自室へ走り去った。
「・・・・・なぜだ。なぜついて来た!お前っ!!!!!!!」
「全てご主人様のせいです」
「うるさいっ!だいたいなんで急に敬語なんだよ!」
「あなたが私のご主人様だからです!」
不満そうに返された。
「大声で公表するなーーーーー!!」
と、まあそんなやりとりを一時中止して、なんとか苗未を部屋から引っ張り出せた。まさか自室の押入れに隠れてるなんて思いもせずあちこち探したものだ。
「お兄ちゃん、この人はどこの誰?」
少し言葉に怒気が混ざっていたが気にしない方が身のためだろう。
そういえば
「お前誰?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
二人とも黙った。
苗未は笑顔だった。
怒気を含んでいたけど。
月並み宇宙少女はなんだか、
『しまった』
という顔をしている。
そして僕自身今だに月並み宇宙少女の名前を聞いていなかったことに驚いていた。
最初に口を開いたのは
「じゃあなに?お兄ちゃんは名前も知らない女の子にご、ご主人様なんて言わせてるの?」
怒った苗未だった。
苗未は怒るとヒマワリのような笑顔を咲かせる。
可愛いのだが怖い。
「いや、あの、弁解させてください」
「却下」
本日何度目かの却下が出た。
「えっと、私の名前ですよね?」
なんか一人マイペース!?
「私は地球言語にすると美蘭と言います。地球人の名字に当たるものはないですけど」
「地球人?」
苗未が疑問を持ったらしい。
「信じてもらえないと思うけど、こいつは宇宙人なんだ」
「へーそーなんですかー」
信じてない。ここまで棒読みで返されたのは久しぶりだぞ。
前は確か僕が高校入学した年で苗未が中二の時だから一年振りだ。
「本当だって、信じて下さい!!」
「無理」
「無理でしょう」
二人して断言。
しかも美蘭(仮)はなんかイラつく言い方だし。
「美蘭だっけ?敬語ウザいからやめて!お前の敬語に『敬う』が入ってない!」
「本当?やったね、私もやりづらかったんだよね〜敬語」
「お兄ちゃん、この人どうするつもりなの?」
「どうするって、どうしよう?」
「ここに住むっ!」
「「却下」」
ハモった。
嬉しいな〜。
じゃなくて、
「お前図々しいって言葉知ってるか?」
「さ〜ね〜」
「なんかさっきまでと別人みたいだな」
「さっきのは強制的に敬わされてただけで今はもう必要ないもん」
「・・・・・・・・・・」
「ププ。ばーか、ばーか!」
「うるさいドジっ子月並み宇宙少女めっ!」
「その呼び方やめてよね!バカご主人様!」
「なっ!この月並み〜」
「なによこのバカ〜」
僕と美蘭が睨み合ったところで
「そろそろ」
声が聞こえた。
とても静かで、
「よろしいですか?お二人とも」
殺気のこもったそんな声だった。
「「は、はい」」
今度は僕と美蘭がハモった。