マジック・タイム3幕
3、出勤(第3幕)
4月5日午前10時57分
家を出た蒼は歩きながら会社に連絡しようと思い魔電(魔法電話)を取り出しかけた。
「もしもし、おはようございます社長どうしたんですか?」若い女性がでたようだ。
「あ、玲奈おはよう僕は今から会社行くから」
「分かりました。ところで社長に面会したいという者がいるのですがどういたしますか?」
「誰?何処かの会社が売り込みに来たの?」
「いえ、今日取材に来るTV局のプロデューサーが社長に是非あいさつときておりどういたしますか?」
「まあいいんじゃない。会社に行ったら5分後面会を始めるから」
「了解しました。予定に入れておきます。では失礼します」
「分かった。また後で」
通信が切れ魔電をしまい一旦立ち止りちょっと疑問に思った事を考えフッと笑みをこぼしまた歩き出した。
蒼が社長を務める会社、蒼神社は日国と言われる国の中心の都市天戸と呼ばれる場所にありこの都市は魔法技術の最先端都市でもあり蒼神社は刹羅社と並びこの国のツートップでもありその技術力は言うまでもない。
4月5日午前11時5分
蒼は最寄りの電車に乗り蒼神駅に向かう電車の中ではまだ春休みなので学生などが多く乗っており若い外見には似合わずスーツをきっちり着て顔もスタイルも上の上である蒼は電車の中では注目もこれでもかというほど集めている。
「え、あの人格好よくない?」女子高生A
「きゃ~~ヤッバイ」女子高生B
「モデルかなぁ?」女子高生C
女子高生に騒がれている蒼本人というと考え事をしていた。
そろそろ新商品を出すころ合いかなぁ?けどあれはまだ早いか?あれはまだ少し改良の余地があるから発表するのは後にしよう。などと考えていると「次は~蒼神駅、蒼神駅御降りさいは忘れものなどにご注意ください」という車内アナウンスが流れたので蒼は立ち上がり電車を降り蒼神社向かった。
4月5日午前11時15分
媛井・F・玲奈は蒼神社の社長代理である。
この事実を知っているの蒼と一部の幹部だけで一般従業員や一般人は社長は蒼ではなく玲奈と思っている。何故蒼はこのような事にしたかというと。
~ある日の会話~
「あっ玲奈」
「なんでしょうか?」
「もしこの会社が世間的に有名になったらその時は玲奈が社長という事で発表してくれないか?」
「えっ何故でしょう?」
「だって有名になったらいろいろと時間が無くなるじゃないかそしたら姉妹になにされるか分からないからハハハは、はぁ~」
「それは大変ですね・・・」蒼の珍しい乾いた笑い声に少し同情した玲奈であった。
閑話休題
蒼が会社に着きエレベーターに乗り社長室の扉の前に来た時ちょうど扉が開き一人の男が出てきた。少し長めのパーマのかかった髪に眼鏡、立派なスーツを着ているがどこかいやらしい感じがする男であった。
「おや、これは海塔さんじゃないですか」
「こんにちは、五党さん」
表面上は何気ないあいさつに見えるが五党は蒼を見下したような感じで話していた。
当の蒼はあまり気にした様子もなく、静かにあいさつだけすませ社長室に入ろうとした。
「そうそう、海塔さん社長はやっぱり色っぽいですね、いつかは抱いてみたいと思うのですが」と話している五党を無視して社長室に入っていった。
そこには珍しく怒って口調が乱れていた玲奈がいた。
「あのクソ眼鏡、いつか必ず凍りずけにしてから砕いてやる」と明確な殺意をだきながらブツブツつぶやいていた。蒼の存在に気付かないのかいつまでもブツブツと言い続けていた。
「あの、玲奈そろそろいいかな?」若干ひきながら聞くと
「あ、社長失礼しました。あのクソ眼鏡をどうやって殺そうかと考えておりました」
「玲奈抑えて抑えて、あれでも一応取引相手なんだから」
「ふう~、分かりました切り替えます。あの・・・」いきなり玲奈が頬を赤らめた。
「ん?どうしたの?」
「切り替えるためにあの・・・抱きついてもよろしいですか?」とまあ会社内で{氷の女王}と呼ばれている玲奈ではあるが、蒼とは幼馴染でもあり、昔はとても甘えん坊だったため今でも怒っている時など気持ち抑えるために蒼には抱きつくこともある。
蒼はいつもの事ながらドキドキして「いいよ」と返事をした。
玲奈は冷たい印象があるため一度照れて顔を下げ上目使いで寄ってくる破壊力はとてもすごく抱きつかれて大きすぎずかと言って小さくもない魅惑の二つの丘が蒼の体に当たり鍛えているのかきゅっと引き締まってはいるが女らしさを感じさせる柔らかさがありそれは舞い降りた戦乙女のようだった。
「蒼はなぜ抱き返してくれないのえすか?」上目使いにそう囁かれた。
蒼は自分の自制心を恨みながら意志とは関係なく玲奈の腰にいく手を恨んだ。
蒼の手が玲奈の腰に触れた瞬間玲奈の口から「んっ、はぅ~」と聞こえ、蒼はグッと唇を噛み玲奈の体を離した。
「も、もういいよね、待たせるのも悪いしね」
「そうですね社長」口調はいつもどうりだが、まだ頬は赤らめ荒い息をしていた。
息を整えた玲奈がいつもの秘書モードに切り替わった。
「それでは今日の面談なのですが社長いつものように私が社長でいき、社長は秘書という形でよろしいでしょうか?」
「うん、それでいこう、あちらは今どこに?」
「面談室でお待ちです」
「よし、行こうか」と蒼も気持ちを切り替えて社長室を出た。