4 弱肉強食の世界
桜が先始めましたね〜。
お花見にいって、ベビーカステラが食べたいなぁ…。
何とか生き延びることが出来た。
密猟者のところから、どうにか拠点まで帰ってこれた。
『ハァ、ハァ、ハァ……』
俺は息も絶え絶えで苦しいが、助かったという高揚感もあり、心拍数が上昇しているのが分かる。
ウィンは前脚から血を流しているが、命には問題なさそうだ。
良かった……。
咥えていたウィンをそっと横たえるように降ろすと、母が俺を叱りつけた。
『バズ!逃げなさいって言ったでしょっ!!』
『ごめんなさい…。それでも母さんに死んで欲しくなかったんだ』
はぁ、と短くサラが息を吐く。
母のお叱りは幾らでも後で聞こう。今はウィンだ。
『それより、ウィン。足の具合はどうだ?』
いつも元気がある兄がグッタリしている様子に、俺は居てもたってもいられず、周りをグルグルと回る。
銃弾が右脚の付け根をかすったように、筋状に傷が出来ている。出血はだいぶ止まってきたようだ。
出来れば、綺麗な流水で傷口を洗って、包帯を巻いてあげたいが……。
『足が熱い…。力が入らないや…』
『俺がさわってるの分かるか?』
傷口より下の部分にそっと俺の前脚をおくと、ウィンはフルフルと弱々しく首をふる。
傷口はそこまで深くない様子だから、神経損傷まではいってないと思うが、もしかしたら、麻酔銃だったのかもしれない。
しばらく様子をみるしかないな…。
母がピクっと何かに反応し、辺りを警戒し始めた。
俺もウィンから視線をあげて周囲を伺う。
『おやおや、血の匂いに誘われて来てみれば、サラ殿ではないですか?』
ジャングルの厄介者、3頭のハイエナが俺達の周りを囲んでいた。強いライオンにはペコペコするが、それ以外では、相手の獲物を横取りする卑怯な奴らだ。
『……なんの用かしら?』
嫌悪感と警戒が籠もった声で、母が応える。
『俺達、いつも腹ペコでさ〜。血の匂いがすると誘われちゃうわけよ』
『そうそう!旨そうな匂い!最高』
『御馳走の匂いがこの辺りからプンプンするだよね〜』
ニヤニヤと、笑っているのが癪に障る感じで、いけ好かない。
『何もないわよ。帰って!』
母が威嚇するように言い放つが、奴らはニヤニヤしながら俺達の周りをウロウロと徘徊する。
『サラさんよ〜。俺たちも手ぶらじゃ帰れないんだよね〜』
『このままじゃ帰れないんだよなぁ〜』
『帰れない、帰れない』
チラチラと、怪我をしておるウィンを、盗み見ているのがあからさまに分かる。
どこのチンピラだっ!って思うが、ここは弱肉強食の世界だ。
いつもなら強気でいけるが、今は手負いのウィンがいる。弱いものは喰われるのだ。
どうする?




