3 密猟者
パンっ!!
銃撃音が平和だった草原に鳴り響く。
『ウィン!!』
前を走っていたウィンの姿が見えなくなる。
嘘だろっ!?どうか無事であってくれっ!
ブロロロロローー!!
どんどん音が近づいてくるのが分かる。
何処だっ?何処にいる、ウィン!?
早く密猟者より先に見つけなければっ!
風にのって血の匂いが微かにする。
ウィンっ!無事でいてくれっ!
匂いの元に駆けつける。
『ぅっ…』
草むらのなか、蹲るように、前脚から血を流しているウィンを見つけたっ!
良かった!生きてる!
『ウィンっ!大丈夫?もうすぐ人間がくるぞ!走れそうかっ?』
『あ、足に力が入らないんだ…』
『クソっ!』
どうしよう…早くここから逃げなければ!
きっと奴らは最近ジャングルで動物達を捕まえてる密猟者に違いない。
『ウィン!バズ!』
『母さん!こっちだっ!ウィンが足をやられて動けないんだ』
『バズっ!私が囮になるから、その間にウィンを連れて、逃げなさいっ!いいわね!やるのよっ!』
『母さんっ!』
サラは俺達に逃げるように言うと、近くで停まったエンジン音の方に走っていってしまった。
「なんだ?この辺りで鳴き声がしたな」
草原の草をかき分け、踏みしめる音が聞こえる。
「おいっ!気をつけろよ?」
っ!!
相手は2人か?
俺達が全員助かるには、母と俺で同時に銃を狙わなければ、どちらかに撃たれて終わる。
俺は覚悟を決めた。
『ウィン、俺と母さんが飛び出したら、出来る限り、走れ!足が痛くても、今は死ぬ気で走ってくれ!』
『バズっ!!』
俺はウィンから離れ、母の元へと草原に隠れながら進む。
「確か、この辺りだよな?」
ガサガサと人間の足音と、声が聞こえる。
どうするっ?母さんは何処だっ?!
ドクドクと自分の心臓の音がうるさい。
ウィンも母さんも失いたくない!
考えろっ考えるんだ!
相手は銃を構えてる人間だ。
それに対して、チーターは110キロくらいの速度で走れる。
武器がなければ、人間は全速力で逃げるチーターには敵わない。
『母さん、手を狙うんだ!』
母に届いてくれとばかりに、俺は叫んだ。
そして駆け出す。
「ち、近いぞっ!何処だっ?」
男が銃を構える。
その瞬間――
俺は走った。
チーターの身体が弾丸のように地面を蹴る。
一瞬で距離を詰めた。
「なっ…!」
男の銃に体当たりする。
ガジャンっ!!銃が地面に落ちた。
「ジャック!クソっ!」
もう1人が銃を構えようとした時、母が密猟者の手を目掛けて齧り付く。
「ギャーっ!!いでぇぇぇ~~!!」
俺は振り返って叫んだ。
『母さん、ウィンを咥えて全速力で!!』
俺も既に、駆け出す。逃げるが勝ちだっ!
全速力っ!
チーターの本気を見せてやるっ!!




