逆転
ライブが終わってからブラウンがルイに話しかけて来た。
「どーも、質問して下さってありがとうございました。」
「いえ、疑問を聞いただけです。」
ルイの答えは固い。
元々知り合いで打ち合わせてた訳じゃないみたいだった。
ブラウンはテディベアの顔をぐるりとひねり、今度は私に話しかけて来る。
「もしよければですが、さっき笑ってしまったお詫びもしたいので、もう少し話しません?」
「いいですよ。私の名前はアリアです。」
承諾すると、ルイは驚いた顔をしてこっちを見てからすごく嫌な顔をした。
そして同じく渋々名乗った。
本当に顔に出やすい人、いや宇宙人だなと思う。
そのクマさんは最初に座っていた椅子に座った。私とルイはそのまま動かず座っている。
さらに彼は3人の座っている空間に半透明の半円のドームを作った。
今、私たちは宇宙空間が見える半円の中にあるさらに小さな半円の中にいる。
小さい半円は周りの人から自分たちの声や侵入などをシャットアウトする物で、
よくVR空間で特定の人と話す時に使われる機能だ。
そしてブラウンが話し出した。
「あの、気のせいじゃないと思うんですけど…ルイさんって宇宙人ですよね?」
すごいさすがチャネラーだ。
「そうですけど何です?」
ルイは相変わらず塩ぎみの対応だ。
塩が効きすぎた赤飯くらいの塩さだ。
「いや、今の時代でも本物の宇宙人の方って以外と少ないので、話してる間
『俺、今宇宙人と話してるー!』て思ってドキドキしてました。」
彼としたらちょっとした有名人と話してる気分なのかもしれない。
ルイが答える。
「前世の方が宇宙人なんですからいつも話しているのでは?」
「それは前世の自分なんで、あともう慣れてるのでドキドキはしませんよー。」
クマさんはそう言って手を振ってから私の方を見て話し始めた。
「アリアさんは知ってたんですか?」
「はい、でも人間なんじゃないかなと思ってました。
宇宙人であると言っても何か証明でもされないと普通の人間には分からないので。」
私は話し終わってからルイの顔を見た。
ルイは困った顔をしてから少し笑顔になってこちらを見つめている。
「いやー何かカップルさんの邪魔みたいなんで、すぐ要件を言いますね。
このチケットを差し上げます。」
ブラウンはそう言うと私に2枚のチケットを渡した。
カップルじゃないですと言おうとしたのだが、タイミングがずれてなんとなく言えなくなってしまった。
そのチケットはVRの『某格闘ゲーム観戦チケット』だった。彼が続けて話す。
「お2人がご興味あるか分からないんですが、よければどーぞ。いらなければ誰かにあげてもいいので。」
「ありがとうございます。すごい何でこのチケット持ってるんですか?本当にいいんですか?」
私はいわゆる一般的なゲームと言うものは全然しないが、しない人間でも知ってる有名ゲームだ。正直行ってみたい。
「知り合いから貰ったんですけど、その日用事が出来て行けそうもないのでどーぞ。」
そう言うとクマさんは終始軽くにらんでいるルイをちらっと見てから半円のドームを解除した。
「では。」
ブラウンは素早く去って行った。
もうすぐこのVR空間は終わるみたいで、アバターはほとんどいなくなっている。
私はルイに話す。
「ルイさん。ずっとブラウンさんをにらんでましたよね?私は彼女ではないのでそうゆうのは困ります。」
「すみません。」
ルイはシュンとしてしゃべった。
私は続けた。
「もし恋愛感情が止められないなら…」
「お願いします。それ以上は言わないで下さい。」
彼は私の言葉を遮った。
何だろう。こっちが恋愛感情がある相手を手玉に取って振り回してる感じがする。
…いや、してるのか今。
こんな立場になるのは初めてだ。
いつも雲の上のプレアデス星人を勝手に好きになって私が振り回されてるばかりだった。
逆転すると相手の気持ちも分かるから悪者になったみたいで居心地が悪い。
ルイは話した。
「私はあなたと一緒にいれるだけで幸せなんです。
それ以上望まないので友達でいてください。」
何も言えなくなった。
そして私たちはログアウトしてその場を解散した。
いつも評価をして下さってありがとうございます。




