来世は普通の人になろうと思った
「実は私、プレデアス星人のオタクなんです。」
幼少の頃からその神秘的かつ、美しく、巨大な見た目と精神を愛していること。
色々なプレデアスの男性を好きになったこと。
でも彼らは希少で一般人の自分には手が届かないこと。
おそらくリアルでは一度も見たことがないこと。
そんな話をした。
話していて涙と鼻水が出て来る。
まさに雲の上の人。
何てバカなんだろう、そもそも雲なんか掴めるわけないのに。
聞いていたルイにポケットティッシュを手渡されて言われた。
「私じゃダメですか?プレデアス星人では
ないですが。」
告白なのだろうか?
おそらくそうなのだろう。
「ムリです。…でも何星人なんですか?」
きっぱり断った。
こっちはオタク歴長いんだぞ。
割り切るなんて無理。
鼻を思いっきりかむ私を見ながら彼は少しシュンとして言う。
「シリウス星人です。」
えっ?それって
「始祖様ー!」
普段の口癖が出てしまった。
今の世界の常識だが、元々人間は宇宙人の遺伝子と猿人を掛け合わせて進化した生物である。
そしてプレデアス星人の遺伝子ももちろん入っているが、その他の宇宙人、シリウス星人もその中に入っていた。
いや、シリウス?そう、あのシリウス星人である。
ルイは言う。
「シリウスは日本と関わりが深く、日本人にシリウス星人の遺伝子が残されています。
なので私の祖先が始祖といえばそうです。」
始祖様である。
というか古◯記や日◯書紀に出て来る神々にはシリウス星人がいる。
その末裔が日本人として暮らしているというのは宇宙人たちの証言もあり、教科書にも載っていた。
ガチガチの始祖様である。
しかし私の意思は揺るがない。
が続けて彼は言った。
「友達でもいいです。あなたと一緒にいたい。」
フラれたのに一緒にいたい?
?なんだろうこの感じ?
「愛してます。」
もちろん友人として、とルイは付け加えてからコーヒーを一気に飲んだ。
そんな彼を見ながら考えていた。
正直、現代人はリアルに生体同士で恋愛なんかしないのだ。
してもVR空間でだし、生身の体で付き合うわけじゃないからアバターや空間を変えるごとに相手を変えてる人も多い。
私もVRとリアル両方でプレデアス星人の設定にしたAIと付き合ったことはある。
でもそんなに経験がある訳じゃない。
頭がぐるぐるしてきた。
えーとまず、現状を整理しよう。
①証拠はないがルイはシリウス星人らしい。
②彼の話しが全て本当だと仮定したら、宇宙規模の元要人なので本気を出せばこちらは抵抗出来ないのでは?
…この目の前の人物が宇宙人を語る一般人の説を推したい。
そう思った。
カフェを包む金属とガラスの繭にまた光が反射した。
くしくもこの場所は宇宙船のような見た目をしている。
2人の未来はどうなるのか?
宇宙だけは知っている。
雰囲気はロマンチックだ。
しかし
「私はやっぱりプレデアス星人が好きです。
あくまで友人にならなりましょう。」
と伝えた。
それとこの流れから感じるが、
今後彼の連絡がしつこそうな予感がするので連絡はほぼ返さない主義で、あまり通知が来るようならブロックし友人も辞めると言った。
シリウスさんには悪いが、どうしてもプレデアス星人しか愛せないことを分かってほしい。
こちらも自分の好みと頑固さには手を焼いている。
始祖様ー!なんて叫びたくない。
来世は普通の人になろうと思った。




