列車と宇宙人の組み合わせはかわいい
私はアリアだと肯定もしていないのだが、
何故かグイグイ来るプレアデス星人様はこちらの手を掴んで来てさらに言う。
「アリアと話したいんだけど、その前に一緒に見て欲しいものがあるんだ。お願い、来て。」
私を連れて展望室から続く通路へ歩き出した。
体格差がすごいので、大型犬のリードに引っ張られて振り回されてる子供みたいになっている。
そもそも手を握られて引っ張られてる辺りから、
ああ、この急すぎる都合のいい展開は絶対夢だなと確信した。
いや、逆に夢じゃなきゃなんなんだろう?
VR?VRでももっと手順を踏むと思う。
そう思ったら逆に落ち着いて来た。
夢なら楽しまないと損である。
覚めないうちにプレアデス様と関わっておこう。
「さっき見失っちゃったんだけど…ほらほらいたよ。」
コナーは長身を曲げて小声でしゃべった。
というか巨体があるので何も見えない。
私は彼の後ろから何かを覗いた。
「小さくてかわいいよね!」
かわいいと言われたそれは、ウッキウキで廊下をスピンしてるシロリアンだった。
▲▽▲▽▲▽
私とコナーとシロリアンは車内の四人で座れるレストランの席にいた。
シロリアンは私の隣で浮いていて、コナーは私たちの目の前にすわっている。
「シロリアンていうんだ。かわいいなあ。」
コナーはバタバタと長すぎる手足を動かして喜んで話した。
新幹線は進行中だけど、これだけの大きさの宇宙人が動いてもびくともしない技術はスゴイ。
続けて彼はしゃべる。
「僕はコナー、シロリアン友達になってよ。」
「お断りします。」
速攻でシロリアンに断られている。
シロリアン苦手そうだよねグイグイ来る人。しかもお楽しみ中を中断されているのだ。
断られて当然だろう。
「えー!」
コナーは不服そうな声を上げる。
私は先ほどから予感というか、疑問に思っていたことを聞いた。
「あの、コナーさんておいくつですか?」
「僕は60才だよ。」
そう答えた。
あー、やっぱりか。
プレアデス星人として60才はまだ子供だ。
人間でいうと成長が早くて背だけ高い小学生と同じ感じがした。
でもこんな子供が1人で新幹線に乗るんだろうか?
ただでさえ宇宙人はVIP扱いの人が多いのに。
「一緒に来てる人はいないんですか?」
「あーえーと、逃げて来て1人で新幹線に乗っちゃった。」
コナーは天井を見てそう言った。
これニュースになるんじゃない?
日本に来た外交官の息子が失踪みたいな感じなんじゃない?
私は聞く。
「連絡先は?私から来てもらうように伝えます。」
「えー!ヤダ。」
コナーは駄々をこねている。
なんだろう。最初はカッコいいしか入って来なくて夢かと思ったけど、多分これ夢じゃない気がするわ、と思った。
「というか私が新幹線に乗っていたのを何で知ってたんですか?」
「うーん、人間てプライバシーをすごく気にしてるけど、実はプライバシーってないんだよね。
宇宙人てテレパシーで話せるんだけど、そしたら相手の気持ちなんて筒抜けだし、
そもそもプレアデス星人からしたら人間の情報はAIを使ってもすぐ分かるようになってるし。」
予測はしていたけど、対宇宙人との関係で人間にプライバシーはないらしい。
ルイとのコミュニケーションも私の位置情報も簡単に分かるんだろう。
私は意見した。
「でも私は人間ですし、ここは地球ですよね?地球のルールではプライバシー侵害は違反です。」
「大丈夫、それはプレアデス星人には適応していないから。宇宙人版日米修好通商条約みたいなものだよ。」
真顔でコナーが受け答えた。
大人顔負けのめんどくさい小学生感がすごい。
すっかり彼に恋愛感情はなくなっていた。
自分は精神的に大人なプレアデス星人様が好きなんだと理解できた。




